インテリジェントネッククーラー「Metaura Pro」レビュー

ペルチェ素子を用いたネッククーラー(ヒーター)

Makuakeにて販売されていた、ネッククーラー「Metaura(メタウラ)」を購入しました。Metaura Proという名称になっていますが、名前が変わっただけで無印との違いはないそうです。(アプリ内では”AICE 1”と表記されるのでProじゃない気もするんですが……。)

連日の猛暑をなんとか乗り切ろうと思い、購入したのですが……。今回辛口レビューでお送りいたします。

良かった点

  • ペルチェ効果を活かした首の冷却(または加熱)機能
  • 大型の冷却パッド
  • 細かな温度調節機能
  • アプリを使った制御
  • USB PDに対応した充電

悪かった点

  • ないよりはあった方がいいレベルの扇風機部分
  • 違いが分かるほど風は冷えていない
  • 最大風速にしても風が非常に弱い(アップデートで改善した?)
  • 送風方向は変えられないので風が当たらない人もいる(アップデートで風量が増えた結果当たるようになった)

ハンディ扇風機やネッククーラーの問題点に対処

Makuakeのキャンペーンページでは、以下のような問題を解決したのがMetauraであると紹介がされています。

  • 風は当たるけど全然涼しくならない
  • 両手がふさがってしまい不便
  • 風量を上げたいが顔に強風が直で当たり続けるのは不快
  • 冷却面が小さくて物足りない
  • 装着感がイマイチで動くとズレる
  • 自動温度管理機能がなく冷たすぎたり暑すぎたり不快

個人的に、Metauraはこれらの問題点のほとんどを解決できているとは思います。ええ、一番上以外はですけれども。

仕組み上どうしても涼しくならない状況下があることや、正しく装着しないとズレやすかった点を考慮すると、完全解決はしていません。

襟が挟まるとズレやすい

Metauraは面積の広いシリコンのパッドが使われていますので、しっかりと肌に触れていればズレることはないです。

しかし、服の襟が間に挟まっているときなど、肌と触れていない状態では滑りやすくなってしまいます。ちゃんと装着したつもりでいましたが、Metaura本体の長さが短くて視界に入らないので、気がついたら横を向いていたということがありました。気をつけて装着しましょう。

クールな外見をチェック

なにはともあれ、無事届きましたので早速開封していきます。

箱は大きめの段ボール箱でした。Metauraは専用ケースに入った状態です。

この専用ケースの中には本体とC to CのUSBケーブルが入っていました。日本語の説明書もあります。

今回購入したのは本体色が黒色の「クールブラック」です。白色のモデルは「フレッシュホワイト」となります。

結構コンパクトな作りで、とても短いです。iPhone 12(幅71.5mm 高さ146.7mm)を置くと、少しはみ出るぐらいですね。首に掛けたときに視界に入らないぐらいの短さとなっています。

左側に電源ボタンと風量・温度調節ボタンがあります。未装着時の自動停止と装着時の運転再開用にセンサーがついていますので、写真に写っている保護シールは剝がしておく必要があります。

保護シールは底部のUSB Type-C充電ポートにもあるので忘れずに。

背面は放熱用のファンが装備されており、運転時は設定したモードに応じて背面の白・青・赤にLEDが光ります。電源ボタンも光るので、そちらも連動して色が変わるようになっています。

側面には設定温度と電池残量の表示もあります。

Bluetooth接続を用いるので、認証表示なども書かれています。

内側の3枚の大型パッドがシリコンの温度伝導シートで、開いている穴は送風口です。髪の毛が巻き込まれることはなさそうですが、髪の毛が突き刺さって内部に接触するとジジジと異音はしますね。

冷たいが涼しくはない

Metauraは121対の特殊半導体によるペルチェ効果を利用することで、最低16℃の冷却パッドで首を冷やすことや、周囲温度-4℃の冷却風を送風することができるとのアピールがされています。

この冷却風に少し期待して購入しましたが、風は冷たくないどころか風力も弱く、ほとんど風を感じられませんでした。送風口の位置調節や風向き変えられないので、ちゃんと風が当たるかどうかは個人差があります。

炎天下では厳しいし、日陰でも特別冷たい風は出ない

周囲温度-4℃の冷却風が送風できるとのことですが、正直なところ自分には分かりません。手元に届いてからの数日間、夜間や日中、屋内などの環境下で注意深く利用してみましたが、残念ながら外からの風や他の扇風機との温度の差を感じる場面はありませんでした。冷房の効いた部屋で使い始めて、十分に冷却した状態で外に出たときに、1分程度冷たい風が出ていた気がする……というぐらいです。

また、連日の猛暑でこそMetauraを活用したいと思うのですが、そういった場面ではあまり役立てることができません。例えば、気温が36℃であれば4℃下がっても32℃の風ですし、炎天下においては温風のままです。これは仕方ありません、そもそも外出するべき気温ではないのです。

更に言えば、直射日光が当たる状態ですと、本体色が黒のモデルは不利な状況に陥っているかもしれません。直射日光により、ほんの数分のうちにMetaura本体が熱を持ってしまい、放熱が間に合っていないように感じられました。そのようになってしまうと、上手く冷却が行えなくなり首元の冷たさすら感じられなくなってしまいました。

流石にこれは日本の夏が暑すぎるのが悪いです。ちょっとでも期待した自分も悪いですが、過酷な炎天下での利用は期待してはいけません。また、地域による差もあるかもしれません。少なくとも愛知県春日井市(多治見が近い)でのMetauraの屋外利用は無力であり、地獄です。

日差しを避けて利用しよう

炎天下はダメだと言われてもやっぱり暑いものは暑いです。そのような状況でも、日陰に入ればちゃんと温度も下がって多少楽にはなります。風通しの良い屋内であれば随分と楽になります。

しかし、外から吹いてくる風との温度差はよく分かりません。一応、日陰で利用する分には、不快な熱風が吹いてくることはありませんでした。ですが、Metauraからの風を冷たく感じたときは、外からの風も同じく冷たいという状況です。

ちなみに、Metauraを装着した状態で冷房の効いた部屋に入るとそれはもう最高なので、冷房環境下でもしばらく運転させておいて良いと思います。

とにかく日差しは避けるべきだとは思いますが、直射日光に当たってしまった時の事を考えると、本体色は白い方が有利かもしれません。

高温多湿下では厳しい

雨が降ったときなど、湿度が高くて不快な日もMetauraで涼しくはなりません。というのも、Metauraはエアコンのように乾いた風が出せるわけではありませんから、流石に対処できません。高温多湿な日本、あまりにも厳しすぎる……。

しかし、冷却パッドで首を冷やすことはできるので、体温の上昇を抑えることはできると思います。

扇風機としてよりも、冷却パッドでの首の冷却

Metauraのファンは風量が小さく、最大でも風速2.3m/sとそよ風程度になります。正直、その辺のネックファンの弱風よりも弱いです。内部で冷やしてから送風することを目的としているので、冷却部をすぐ通り抜けてしまうような強い風を出すわけにはいかなかったのだと思います。しかし、結局ちゃんとした冷たい風は出せないので「ただの弱々しい扇風機」となってしまったのがとても残念です。

風量を求めている人にとっては不満を感じるかもしれませんが、特殊半導体によるペルチェ効果とベイパーチャンバーを活用した大型の冷却パッドはしっかりとしています。適切な温度に設定して使えば、冷たくなりすぎる事もなく、常に冷たさを感じることができました。(※但し炎天下を除く)

冷却パッドはシリコンなので負担が少なく感じます。設定温度に合わせて常に調節されるからでしょうか、冷たさに慣れて冷たく感じなくなるといった場面は少なく、とても驚きました。程々の温度に設定するのがコツのようで、最低温度の16℃にしてしまうと逆に冷たく感じられなくなりました。

ただ乱暴にペルチェ素子で冷やすだけの安価な製品とは違って、ここはしっかりと作られていますね。背面ファンからの放熱も不快なレベルではありませんし、運転を終了したときに熱が首元に戻ってきて熱くなるということもありません。ベイパーチャンバーによる熱伝導と放熱処理が上手くいっているのだと思います。とても良いです。

問題点を強いて挙げるならば、それなりに首が太くないと左右のパッドに肌が触れないということぐらいでしょうか。最も冷たいのは首の後ろの部分なので、あまり問題にはなりませんが少し勿体ないですね。尚、首の幅は96-118mmを元に設計しているとのことです。

謳い文句にあったように涼しい風で快適!とはなりませんが、首をしっかりと冷やして体温の上昇を抑えてくれます。扇風機のみを使用しているときと比べて、汗の量は減っていますし、身体の負担も少なく感じます。ちなみに、防水等級はIPX3との説明がありましたので、汗ぐらいは気にしなくても大丈夫そうです。でも雨は避けたほうが宜しいかと思います。

暖房だってやれる

ペルチェ素子を使っているということは、電流を逆に流せば冷却と加熱をする面を入れ替えることが出来るわけです。Metauraは35~55℃の範囲で首を温めることが出来ます。

低温やけどが気になりますが、設定温度ぴったりを維持するのではなく、温度は常に上下推移するようになっています。低温やけど対策はしてありますが、不快感のある時や長時間の利用は避けましょう。

さて、夏場は暖房機能をどこで使うのかという話になりますが、冷房が効きすぎて寒いって方にお勧めです。冷房がガンガンに効いた部屋で使ってみましたが、温かくて凄く気持ちがいいです。いやはや、なんという贅沢……。

冬が来たらこの暖房機能をレビューしたいと思っています。

専用アプリで細かく操作

AndroidとiOS用に専用アプリが提供されています。

app-jp – Metaura

Android版は野良アプリ扱いなので、Playストアからのインストールしかしたことがない人は手こずるかもしれません。

いつの間にかGoogle Playにも出ていました。

機能の差はほぼ無いのですが、Android版にはフローティング機能が付いてます。とはいえ、ウィンドウは動かないようなのですが。(※現在は存在しない機能です)

フローティング機能

APKをダウンロードしてインストールする形

アップデートも手動

アプリを使うことで、温度と風量の調整や、モード切り替えを手元で細かく制御することができます。バッテリー残量は製品紹介にあったような時間表記ではなくパーセント表記です。

左上にフローティングボタンがある

温度と風量のスライダーはタップした指の位置に連動しているわけではないので、1%単位での調整が行いやすいようになっています。その分、大きく値を操作するのは不向きなので、0から100%まで上げるといった場合は何度もスワイプする必要があるかもしれません。

冷却モードとオートモード、暖房モードへの切り替えもアプリで行えます。

簡易的な操作説明

AIスマートモードと送風モードについて

AIモードで利用していると、周囲の温度に合わせて冷暖房が切り替わるようになっていますが、よく見ると葉っぱアイコンの時があります。恐らくこれが「送風モード」で、ペルチェ素子を使わずに送風だけを行っているようです。送風のみなのでバッテリー消費も小さいです。

周囲の温度に合わせている関係上、送風モードになる温度は固定ではないようです。その都度アプリから「葉っぱアイコン」に切り替わる温度に指定をしないと、送風モードには切り替わらないので要注意。前回27℃で送風モードになっていたからとそのままにしていると、急に暖房になったりしてビックリします。

再接続はちょっと手間かも

おけ

Bluetoothを使って接続をしているため、電波干渉などで接続が切れてしまう場合があります。その後、再接続してくれれば良いのですが、一度接続が切られてしまうと切れたままになってしまい、手動で繋ぎ直す必要がありました。また、再接続しても操作できない時があるので、その場合は一旦アプリを終了してから接続操作をすると良いでしょう。

これらはiOS版のアプリバージョンv1.0.2、ファームウェアバージョンはv9での話なので、今後のアップデートで改善される可能性はあります。現時点では安定性・完成度は低めです。

充電はUSB PDに対応、約2.5時間の充電で最大5時間動作

USB Type-Cケーブルでの充電に対応し、23W以上の充電器の使用が推奨されています。定格入力は8Wで、5V/3Aと9V/2.2Aで入力が可能です。5800mAhのバッテリーをフル充電するのに約2.5時間掛かります。

取扱説明書に「PD/QCプロトコル」と書かれていることから、Quick Chargeにも対応しているようですが、恐らくUSB PD互換での動作を想定しているのだと思われます。

安全のため、充電しながらの利用は出来ないようになっているそうです。

フルパワーなら約2.5時間

温度18~20℃、風量最大で1時間半程度利用したところ、バッテリーを半分以上消費しました。この使い方だと、3時間は難しいかなという感じです。

風量最大でもそよ風レベルなので、送風せずに単なるペルチェクーラーとして利用すればバッテリー消費は抑えられると思います。「送風モード」であれば8時間利用可能とのことですが、今のところ手動設定する方法は存在しないようです。アップデート対応を待ちましょう。(取説に送風モードの記述はなく、アプリ上でもそれらしきものは見当たらない)

Metauraだけに頼らず、様々なものを組み合わせて

日本の夏は過酷です。Metauraだけでどうにかできるようなものでは到底ありません。帽子をかぶったり、日差しを避けて行動することや、腰掛け式の扇風機も併用するといった工夫が必要でしょう。もちろん、水分や塩分の補給をしっかりと行うことも大事です。Metauraを効果的に使うためには、そのような工夫をする必要があるのだと感じました。

外があまりにも暑すぎるのを差し引いても、扇風機としての送風能力はかなり低いと思いますし、体型の違いで風が当たらない人も居ます。ちゃんと風が当たっていても最大風量が弱すぎるのもマイナスポイントです。折角アプリから1%単位で風量を調節できるのに、あまり活かせてなくて勿体ないなと感じました。扇風機の部分が足を引っ張っているのがとても惜しいです。

オートモード(スマートモード)の詳細など、説明書に書いてない挙動がいくつかあります。アプリのアップデートなども含め、詳細は分かり次第追記する予定です。

ヒーターとしても使えるMetauraは冬も使い道がありますので、冬が楽しみです。(寒いの嫌だけどね……。)

首に掛けるクーラーで夏を乗り切る!超冷風&大冷却面スマートエアコンMetaura|マクアケ – アタラシイものや体験の応援購入サービス
Metaura – True Wearable AC that Blows Cold Air Flow

【2023年追記】冬場に使ってみた

マイナス3℃で無風状態の中、Metauraを持ち出して使ってみました。

ファームウェアバージョンはv12が出ていたので適用しましたが、詳細は不明です……。なんとなく挙動が変わったような感じはするのですが、半年ぶりなのでどう変わったのかがなんとも言えないところです。送風の具合(強さ)が違うようにも感じますが、既に冬になってしまったので比較できそうにありません。いくつかの違和感は気のせいだと思いますが、アップデート内容が分からないのはモヤモヤします。(細かな挙動を記録しておくべきだったかもしれない)

さて、ひとまず暖房モードで使おうと思ったのですが、どうやらAIモードで38~39℃程度に設定しておくのが一番暖かく感じられるようでした。40℃以上の設定だとバッテリーの消費が増えるのはもちろん、何故か全く暖かくなりません。ある程度設定温度を上げると暖かくなり、低温やけど防止機能による温度変動で動作音が大きくなったり小さくなったりします。

暖房モードの効き具合に関しては、恐らくマイナス3℃という気温のせいもあるのでしょう。これ以上気温が下がると流石にMetauraでも太刀打ちできないと思いますし、風が吹いていると寒すぎて全くダメです。

とはいえ、夏と違って冬は送風する必要はありませんし、適切に設定すればちゃんと首元が暖かくなって最高です。ヒーター付きのマフラーやジャケットと違ってMetauraはお手入れが楽なのも良い点です。寒い中、冷たい水で手洗いの洗濯はしたくありませんからね。屋内外問わず、冬場はしっかりと活躍してくれそうです。

ファームウェア V0.1.12 アップデート

V9からV0.1.12にアップデートされました。ファン速度が3000から3500に向上してるようです。

アプリも更新されており、画面上の空きスペースを上方向にフリックすると、プリセットが出てきます。

iOS版

Android版

言われてみれば、風がしっかり当たるようになったような気はします。去年の夏場に使用していて、風量にもの凄く不満を持った記憶があるので、暑くなってきたときにどう感じるかですね。まだ4月末ですが、日光に照らされて31℃ぐらいなった車内では結構ツラいものがあります。

今年はAICE3が出るようですし、この手の製品がどんどん改善されていくのは楽しみです。フィット感の向上とエアフローの改善がされるようなので、ピンポイントで不満を持っていた部分に手が入る事になりそうです。期待しています。

え?もう予約したのかって?そりゃもちろんよー。

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2022-08-15:AIスマートモードと送風モードについて追記
2023-01-22:冬に使ってみたので使用感を簡単に追記
2023-04-27:風量に関するアップデートがされたので追記
2023-07-08:AICE 3のレビューについて追記

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