PICO 4/PICO 4 Pro用のPICO OS 5.13.3.Sが6月末頃からOTAが順次配信されています。まだアップデートされてない方は確認してみてください。公式サイトにも反映済みです。
アップデート内容
バージョン:V5.13.3.S
リリース日:2025年7月3日(2025年7月9日)
サイズ:411MB(OTA)3.41GB(フルパッケージ版)
- Added the PanoScreen workspace option in “Settings” > “LAB”. Supports up to 3 windows simultaneously. (Note: Enabling this feature may cause display issues or reduce battery life.)
- Added the Seethrough Environment option in “Settings” > “LAB”. When enabled, the virtual environment will switch to a Seethrough view, and activities in the Home Space will no longer be limited by the Play Boundary.
Note: The Seethrough view may go black during controller updates. Please stay aware of your surroundings! - The Virtual Environment now supports generating AI environments. By setting the style, scenery, atmosphere and elements, you can generate unique custom environments.
- Upgraded Motion Tracker algorithm
- Improved posture stability during long periods of sitting and lying down, reducing waist tracker drift and false standing.
- Full-body motion tracking can now update more frequently, increasing motion smoothness.
- Enhanced stability and accuracy for complex lying poses, especially when used with a waist tracker.
- Improved system stability.
日本語
- [設定] > [ラボ]にパノラマスクリーンワークスペースオプションが追加されました。同時に最大3つのウィンドウに対応します。(注:この機能を有効にすると、ディスプレイの問題が発生したり、バッテリー寿命が短くなったりする可能性があります。)
- [設定] > [ラボ]にシースルー環境オプションが追加されました。(注:コントローラーの更新中は、シースルー画面が真っ暗になることがあります。周囲の状況に注意してください。)
- バーチャル環境がAI環境の生成に対応しました。スタイル、風景、雰囲気、要素を設定することで、独自のカスタム環境を生成できます。
- Motion Trackerアルゴリズムがアップグレードされました。
- 長時間座っている時や横たわっている時の姿勢の安定性が向上し、バーチャルキャラクターのドリフトや立ち位置の誤差が低減しました。
- 全身のモーショントラッキングデータの更新頻度を上げ、動きの滑らかさが向上しました。
- 腰部トラッカーと併用することで、寝ているときの複雑な姿勢をより柔軟かつ正確に認識できるようになりました。
- システムの安定性が向上しました。
パノラマスクリーンモードに対応
パノラマスクリーンモードが実装され、3つのアプリを同時に使用できるようになりました。
まだ開発中の機能ということになっていますので、表示が乱れたりバッテリー消費が激しくなったりする可能性があります。
PICO 4 Ultraとは異なり、ウィンドウは奥行きのある形での自由配置は行えません。必ずパノラマワークスペース上への配置となるので、ウィンドウが湾曲します。
アプリは最大で3つまで同時起動可能ですので、4つ目のアプリを起動すると最初に起動したアプリが終了します。
また、PICOブラウザは1画面のままなので、マルチウィンドウでブラウザを使用したい場合は、FirefoxなどのブラウザをインストールしてPICOブラウザと同時使用する事になります。
その他にはPICO 4 Ultraでは行えた、PICO ConnectでSteamVR実行中に他のアプリを使用するのは、PICO 4では行えませんでした。ほぼシングルタスクな事に変わりありません。
ホームスペースがシースルーモードに対応
ホームスペースとしてシースルーモードを選択できるようになりました。この機能を有効にすると、シースルーモードへの切り替えスイッチがドック上に表示されます。PICO 4 Ultraとは異なり、シングルカメラでのシースルーなので立体感はありません。シースルー越しに歩き回る際は周りに十分注意してください。
シースルーモードは負荷が高く、発熱やバッテリー消費が激しくなったりする可能性があります。
バーチャル環境のAI生成に対応
バーチャル環境のAI生成をPICO 4でも利用出来るようになりました。
デフォルトのバーチャル環境とは異なり、環境の動きや3Dレンダリングされたオブジェクトがほぼない状態になるので、恐らくホームスペースの中では負荷が最軽量となります。ちなみに足元に表示される床は消すこともできます。
PICO Motion Trackerの最適化
PICO 4 UltraのPICO OS 5.13.3.U相当の最適化内容となっています。
トラッキング頻度が向上して滑らかに動作するようになったほか、足首2点だけで使用する場合でも徐々に立ち姿勢になる問題の改善や、寝転がった姿勢の違和感が大きく軽減しています。
PICO 4 Ultraと軽く比較した限りでは違いが分かりませんでしたので、恐らくほぼ同じ精度になったと考えてもよいかと思います。もちろん、PICO 4 UltraとはSoCの処理性能が大きく異なるため、PICO 4で高解像度・高ビットレートのストリーミングを使用しながらPICO Motion Trackerを使うと、パフォーマンスの問題が生じやすい可能性は考えられます。
一部環境でのVirtual Desktopの不具合について
【2025年9月11日追記】
9月10日にリリースされた「Virtual Desktop 1.34.8」にて解決したとの報告がありました。
以下は2025年7月28日頃に追記した過去の情報となります。
一部のPICO 4環境において、PICO OS 5.13.3.Sアップデート後にVirtual Desktopが正常に動作しなくなる問題が複数報告されています。デスクトップ表示のカーソルなどが動かせないほか、SteamVRを起動すると灰色の画面になって動作しないという問題です。PC側はAMD環境(映像が不鮮明なためドライバーバージョン不明、25.5.1かと思われる)とNVIDIA環境(566.36や576.88など)の双方で発生しているのを確認しています。
また、この問題は、PICO 4の初期化やWindowsのクリーンインストールでは解決しない事が複数人によって確認されています。
不具合のある環境に偏りが見られる?再現が難しい問題
手元のAMD Radeon RX7900XTとドライバーバージョン25.Q2(AMD Software:Adrenaline Edition 25.5.1~25.6.1の間ぐらいに相当)やRX7900GREのPC環境では問題が再現しなかったほか、RTX3090やRTX4070Ti SuperなどのNVIDIA環境でも問題はなかったという報告を頂いています。なので、確実に発生するのではなくほとんどの場合は正常であり、正常な環境下では再現が行えないという複雑な問題となっています。特定の組み合わせで正常に動作しないか、一部の個体にだけ問題が発生するのではないかと考えていますが、どうにも条件が分かりません。
不具合報告を複数当たってみたところ、NVIDIA製品ではGTX1070,RTX2080,RTX3060 Laptop,RTX4050 Laptopといった3〜4世代前の旧製品及びラップトップ向け製品での報告が多くありました。新しめのものでは、RTX4080(577.00)という例も1件あります。AMD製品は情報不明瞭な1件だけしか見当たらなかったので、なんとも言えません。
上記の中にはPICO 4 Ultraでも5月にPICO OS 5.13.3.Uへアップデートしてから問題が起きているというユーザーも1人いることから、PICO 4に限らない可能性もあるようです。
少なくとも公式以外からイメージを入手しないこと
とはいえ、いずれもPICO OS 5.13アップデート後から起こるようになったという部分が気掛かりです。PCとの互換性の問題ではなくPICO 4本体に異常がある可能性も完全に否定はできず、最近のグラフィックボードを使っているデスクトップPCなら大丈夫とは言い切れません。(PICO 4 Ultraでも起きたという報告があるあたり、ハードウェア故障ではなさそうな気はします)
個人的な憶測として、OTAでの差分アップデートとフルパッケージでのアップデートに微妙な差異があった可能性や、ユーザーが誤ってOEM版のイメージなどを使用した(中国版はインストール可能だがOEM版もインストール可能なのだろうか?)といった可能性も考えましたが、OTAでアップデートした場合でも問題は起きているとのこと。
手元のPICO 4は通常通りOTAでオンラインアップデートを行って正常に動作していますが、そもそもアップデート方法の問題かどうかすら不明です。ハードウェアのリビジョン違いなども考えられます。
不具合の有無にかかわらず、少なくともフルパッケージ版はまだ公式に提供されていないので、出処の分からないファクトリーイメージを使ってアップデートはしないようにしてください。
Virtual Desktopでないとどうしても困るという方は、今回は様子見して5.13.3.Sへのアップデートを見送ることはできます。
一時的にPICO ConnectやALVRを使用する・他に試せること
どこに問題が生じているのかは不明ですが、今のところVirtual Desktopだけに問題があるようです。本体のデコーダーそのものが完全に壊れているわけではなさそうです。Virtual Desktopは他と比較するとエンコードのパラメータ周りのセッティングが特殊であるように感じられるので、全体的に複雑なことをしているような気がします。(過去には音量ボタンが動作しなくなったり、通知が出なくなるなども起きていた)
PICO ConnectとALVRであれば大丈夫なので、少なくともPCVRのプレイ自体は可能です。
アップデート後に問題があった場合の確実な回避手段は判明していません。もしPC側のグラフィックドライバーが古かったり最新バージョンを使用しているのであれば、Virtual Desktop推奨ドライバーバージョンである566.36や25.3.1をお試しください。Virtual Desktopの問題が解決しなくても、PICO ConnectやALVRで使用する際に安定して動作することが期待できます。(RTX5000シリーズの場合は572.83など)
そして、解決しない可能性が高いのですが、ダメ元でとりあえずVirtual Desktopの再インストールやPICO 4の初期化などが試せます。ノートPCやタブレットなど、他にもPCがあればデスクトップ表示だけでも動作を確認してみて、PICO 4本体に問題があると結論付けられる場合は、残念ながら次回アップデートを待つ以外の選択肢はなさそうです。
とはいえ、何もせずに待つのではなくフィードバックは送信しておきましょう。これまでの対応具合や、現時点でのVirtual Desktop側の返答(調査中だが開発チームの環境で再現していない・再現が難しい)から察するにアプリ側で対応されるとしても時間が掛かりそうです。PICO側にも情報を提供するに越したことはありませんので、問題解決の為にもPICOへ「ログを含むフィードバック」の送信をすることも強くおすすめします。
「Virtual Desktop 1.34.8」にて解決したという情報がありましたが、もし今後も何かあれば追記する予定です。










