PICO 4 Pro/Enterpriseとは
PICO 4 Proは中国専売で、PICO 4 Enterpriseは法人向けの製品です。
ハードウェアとしてはほとんどが無印のPICO 4と同一ですが、アイトラッキング・フェイストラッキングに対応していたり、メモリがLPDDR4からLPDDR5に切り替わってるといった違いがあります。
PICO 4 Proについて
ソフトウェア面でもPICO 4と同等の安定性がありますが、PICO 4 Proは基本的には中国向けのストアしか利用できない事になっています。但し、グローバル版のOSでアップデートすると国内版のPICO 4のように使うことができます。AliExpressなどで入手すると、グローバル版OSで上書きされた状態で届くことが多いかと思います。
OSアップデートについて十分な検証はしていません。グローバル版にしてあると恐らくOTAが配信されないので、新しいグローバル版OSを公式サイトで入手してからオフラインアップデートを行う事になります。誤って中国版のOSでアップデートを行うと次のバージョンが出るまで戻せなくなるので、日本の公式サイトからPICO 4/PICO 4 Pro用のパッケージをダウンロードするのを推奨します。
PICO 4 Enterpriseについて
PICO 4 Enterpriseは法人向けのEnterprise OSが設定されている製品です。ハードウェア的にはPICO 4 Proと変わりませんが、ビジネス設定やBusiness Suite、Businessストアが用意されているのが特徴です。デバイスの基本設定やホーム画面の設定、LBE(Location-Based Entertainment)の対応、オブジェクトトラッキングなどなど……特殊な機能が豊富にあります。
とはいえ、色々と仕様が異なるせいで割り切らないと扱いにくい状況となっています。
PICO OS 5.9.9で更新が止まっているので、どうしてもそれ以降のバージョンが使いたいのであれば、PICO 4/PICO 4 Pro用のパッケージで手動アップデートを行う事になります。
通常のストアは使えないようになっていますので、PCVRで使用するときは基本的にBusiness Streamingを使用します。Business Streaming 2.1であればPICO Connectベースのものになっています。PICO Connectを入れればほぼPICO 4 Proのように利用できますが、公式の入手経路がありません。(非公式に再配布されている物を使用することになる)
注意点として、Business Streaming 2.1ではアイ・フェイストラッキングを使用するためのVRCFTモジュールが動作してくれませんでした。また、PICO 4 Enterpriseを強制的にPICO OS 5.13.7.Sなどにアップデートしている場合、PICO 4やPICO 4 Proと違ってPICO Connectでハンドトラッキングが動作しません。アイ・フェイストラッキングよりもハンドトラッキングを使いたいという場合はBusiness Streaming 2.1を使用することになります。(※公式に使用できる最終バージョンであるPICO OS 5.9.9の場合はハンドトラッキングに非対応と明記されている)
PICO 4 Ultra Enterpriseは?
こちらも法人向け製品ですが、PICO 4 UltraのEnterprise版にはアイトラッキング・フェイストラッキングが搭載されていません。
どんな感じで動くのか
VRCFTモジュールのソースコードやアバター側のアニメーターセッティングを少し改変していますが、大体以下のような感じで動作します。使ってる本人はPICO 4 Proの口元の挙動に四苦八苦してますが、傍から見ると機材の違いはあまり分からないと思います。
現在はVRCFT側のアップデートでパラメーターの出力調整ができるようになりました。詳細は後述しますが、以前よりも良い動きが可能です。少し壊れている部分も調整したアドオンを自前でビルドしてあります。
VRCFTモジュールは3種類ある
主にPICO Connect用が2種類と、ALVR用が1種類あります。派生として、それらを改変したモジュールが更に2種類あります。
PicoStreamingAssistantFTUDP
恐らく最も古くから存在するトラッキングモジュールです。VRCFTのモジュールレジストリからワンクリックでインストール可能です。Streaming Assistant及びPICO Connectで使用します。
詳細な経緯は分かりませんが、これを参考にして他のモジュールも制作されているように見受けられます。口を結ぶ表情をしてもSmileSadとして扱われずMouthSmile判定になってしまったり、口を開けただけでMouthSad判定されてしまうという特徴があります。
VRCFT-ALVR
ALVR用のトラッキングモジュールです。PICOに限らず、QuestやVIVEのサポートも行われています。PICO用のサポートは2025年に入りました。
挙動はPicoStreamingAssistantFTUDPとよく似ているように見えます。
VRCFTPicoModule
2024年に登場した比較的新しいトラッキングモジュールです。PICO Connectでの使用を前提としており、いくつかの微調整が行われています。VRCFTのモジュールレジストリにはないので、GitHubからzipファイルをダウンロードして手動でインストールする必要があります。
- CheekPuffRightとCheekPuffLeftが区別され、口の動きと連動
- MouthSmileなどのいくつかのパラメータの挙動を変更
- フェイストラッキングやアイトラッキングを個別に無効化が可能
VRCFTPicoModuleは他のモジュールと挙動が異なる
PicoStreamingAssistantFTUDPやVRCFT-ALVRと処理の仕方に違いがあり、前述のSmileSad問題に対しての補正が行われています。その為、VRCFTPicoModuleでしか出せない表情がいくつかあります。
- 口角を下げる表情を状況に応じて補正
- JawOpen(口を開く)有効時はMouthFrown(口角を下げる)を弱めに補正
- MouthRollLower(下唇を巻き込む)場合に強調することでMouthSadが上手く動作するように補正
- 口角を上げる表情の補正
- mouthSmileからMouthRollLower分を引いて、特定の表情で口角が上がりすぎないように補正
- MouthRollLower(下唇を巻き込む)場合に笑顔にならないように補正
- 口をすぼめる表情の補正
- MouthPucker(唇を外に押し出す)とMouthPress(口を強く閉じる)の2つを使用して補正
- MouthPuckerを主体とし、唇を閉じずに口をすぼめている状態をMouthFunnel(口をすぼめる)として補正
口を結ぶ表情(唇を内側に巻き込む)をするとMouthSad判定になるので、悲しい表情がちゃんと出せるようになっています。また、単に口を開けたときに悲しい表情判定になってしまうのも防いでいるのが特徴です。
トラッキングの無効化方法
VRCFTのOutputログを確認すると、[VRCFTPicoModule] Infomation: The configuration file will be in ~といった形で設定ファイルの場所が書かれているので、エクスプローラーで開いてください。
%AppData%\VRCFaceTracking\CustomLibs\ランダムな文字列
ここに.disable_eyeや.disable_expressionといったファイルを置くことで、フェイストラッキングやアイトラッキングを個別に無効化できるとのこと。
非公式版VRCFTPicoModule
VRCFTPicoModuleを改変した非公式バージョンです。いくつかの修正や変更点があります。
後述する非公式版VRCFT-ALVRと同様に、パラメーター出力を増幅させて笑顔が出しやすくなったりします。口が半開きになっていたり、口周りで左右に変な偏りがあったのでシンメトリー化する処理も入れてあります。

アイトラッキングが壊れている環境や目が動きすぎる人向けに、config.iniで視線移動の倍率を変更できる機能も追加してあります。
【config.ini】 # ===== Tracking ===== eye-tracking:enable expression-tracking:enable # ===== Eye Gain ===== eye_gain:1.0,1.0 # ===== Debug ===== test-mode:disable
%USERPROFILE%\AppData\Roaming\VRCFaceTracking\CustomLibs\f3df57d5-1c5b-887d-abb0-be555e14bf09
主な変更点一覧
- パラメーターの出力を増幅しました
- JawOpen
- JawLeft/Right
- MouthLeft/Right
- MouthSmile
- パラメーターをシンメトリー化しました
- MouthSmile
- 口を閉じていても僅かに開いてしまうのを修正しました
- NoseSneer
- MouthUpperUp
- 視線パラメーターの出力を設定ファイルで調整可能にしました
- 終了時にクラッシュするようになっていたのを修正
- Config.iniでアイトラッキング・フェイストラッキングの無効化や、視線ゲインの調整、テストモードへの切り替えが可能(※テストモードではVRCFTPicoModule固有の補正を使用しなくなりますので、PicoStreamingAssistantFTUDPに近い動きに変わります)
ダウンロードとインストール
ZIPファイルからインストール可能にしておきました。モジュールIDを変えていないので、本家のVRCFTPicoModuleと排他になってしまう点を気をつけてください。本家と区別するために(modified)の表記があります。
オリジナル版との動作比較(右が改変後)
非公式版VRCFT-ALVR
ALVR用モジュールもVRCFTPicoModuleに寄せた感じに変更を行いビルドしました。別モジュールとして分けたりするのもややこしい(というかよくわからん!)ので、正規のALVR用モジュールと置き換えて動かす事になります。
以下の場所にある「ALVRModule.dll」を上書きして使用してください。
%USERPROFILE%\AppData\Roaming\VRCFaceTracking\CustomLibs\699750bf-e217-4bd8-8039-3d5f97ee80ba
VRCFTPicoModuleの内容をいくつか取り入れたほか、実験的な修正としてSmileのパラメーターを倍にしたり舌が誤爆しないように閾値を上げたりしてみましたが、正常に動作しているかどうかは分かりません。自己責任でお試しください。
余談ですが、PICO側の角速度の実装に不具合があるらしく、ALVRもその影響を受けてしまっている可能性があります。頭を傾けて動かすとトラッキングに違和感があるかもしれません。(※PICO 4 Ultraは2026年1月の5.15.4.Uアップデートで修正済み、PICO 4なども順次修正されるとのこと)
【番外編】SteamLink VRCFT Module
現在ベータとして提供されているSteamLinkもアイトラッキング(瞬き不可・視線追跡のみ)に対応していますが、PICO 4 Proが中国でしか販売されていないという事情があり、公式にサポートはされていません。
ちなみにSteamLinkのAPKはSteamVRのインストール先にあるので、手動でインストールが可能です。
"C:\Program Files (x86)\Steam\steamapps\common\SteamVR\drivers\vrlink\resources\android-steamlinkvr-release.apk"
Virtual Desktopは対応しないと明言
グローバルのストアでは対応プラットフォームとしてPICO 4 EnterpriseとPICO 4 Proが記載されていますが、本来このふたつの機種ではVirtual Desktopをストアから正規に購入・ダウンロードができません。
PICO 4 EnterpriseはBusinessストア、PICO 4 Proは中国専売なので中国版ストアでしか使えないことになっています。その為、非公式にグローバル化したPICO 4 Proでインストールすることになるので、Virtual Desktopではサポートをしないと明言されています。
その他にも、フェイストラッキングに非標準の実装が使われているのでHTC VIVEとPICOはサポート対象外となっています。(※Steam Linkと同様に視線追跡によるフォービエイテッドストリーミングは対応)
仮にPICO側でフェイストラッキングがopenXR標準の実装で提供されたとしても、グローバルの一般消費者向けに販売されない限りVirtual Desktopは対応しないとも言っています。今更グローバル版PICO 4 Proは出ないので、対応される可能性はないでしょう。(Swanがどうなるかは気になるところ)
これはVirtual Desktopの公式Discordで何度も質問されている事なので、PICOのフェイストラッキングなどに対応するかどうかの問い合わせはしないようにしましょう。その答えは「対応しない」です。
大まかな違いを画像・動画で見る
ざっくりとした違いを比較してきました。アバター用の設定はFermata Shopの「Milltina(ミルティナ)’s FacialTracking Setting」を使用しています。
あいうえお
悲しい表情ができるかどうか
「PicoStreamingAssistantFTUDP」では口を開けただけで悲しい表情になりやすく、口を閉じた状態では悲しい表情ができません。
「VRCFTPicoModule」では唇を巻き込むようにして口を結ぶと、口を閉じた状態で悲しい表情がしっかりと出せるようになっています。反面、口を開けた状態で悲しい表情をするのは困難でした。
口をすぼめるときの違い
口をすぼめるときの大きさに違いがありました。アバター側のセッティングにもよるので、あまり影響がない場合もあります。
動画で観る
PICO Connectの設定
【最重要】プロトコルを切り替える
settings.jsonを編集して、faceTrackingTransferProtocolを「2」に変更する必要があります。ここが適切に変更されていないと動作しません。念の為、再確認を推奨します。
%USERPROFILE%\AppData\Roaming\PICO Connect\settings.json
(%AppData%\PICO Connect\settings.jsonでも可)
"lab": {
"quic": true,
"faceTrackingMode": 1, ←1は顔のみ 4はハイブリッド
"faceTrackingTransferProtocol": 2, ←ここを変更
"bodyTracking": false,
"controllerSensitivity": 50,
"superResolution": false,
"gamma": 1
}faceTrackingModeについて
フェイストラッキングモードも設定ファイル内で変更できます。
「顔のみ」となる1のままにしておくことを推奨します。「ハイブリッド」の4にする場合、ARKit用のリップシンクアニメーションなどを用意する必要があり、それらがないと声を出したときに口が閉じるようになってしまいます。VRChat側のVisemeが用意されている都合上、ハイブリッドモードでの動作は恐らく考慮されていないはずなので、変更せずにそのままにしておきましょう。
| オフ | “faceTrackingMode”: 0 |
|---|---|
| 顔のみ(フェイストラッキングのみ) | “faceTrackingMode”: 1 |
| ハイブリッド(フェイストラッキングとリップシンク) | “faceTrackingMode”: 4 |
GUIで設定したい場合は中国版をインストール
フェイストラッキングモードをPICO ConnectのUIから変更したい場合は、中国版をインストールすると行えるようになります。しかし、やってることはsettings.jsonのfaceTrackingModeを変えるだけなので、わざわざ中国版をインストールする必要はありません。
フェイストラッキングパラメータ
参考情報。
PICOのフェイストラッキングパラメータ
何故かUnity用のドキュメントはリンク切れしているので、Unreal用のドキュメントとなりますが参考情報は以下。
VRCFTで扱われるパラメータ
QuestやVIVEと比べて動きが控えめ
PICOは口元のカメラが小さめ
PICO 4 Pro/Enterpriseは口元のカメラの取り付け位置や角度、センサー数の都合などでQuest Proなどと比べてしっかりとしたトラッキングができていないように感じられます。
QuestやVIVEと比べると、どうしても控えめなトラッキングとなってしまうため大胆な動きができません。OSCで送られてくるのも0.45~0.5程度になるパラメータが多く、かなり頑張って動かすと0.75まで行くかどうかといった具合でした。1.0まで振り切れることはまずないと考えた方が良いです。
VIVE XR Eliteでの挙動
BOOTHで販売されているアバター用のフェイストラッキング設定はQuest Proなどが前提の設計になっているので、それらをPICOのフェイストラッキングで使用すると各表情の最大値まで到達できないものが殆どです。
VRCFTの初期設定では、かなりしっかりめに表情を作らないと綺麗に反応しない場合があります。VRCFTのParameter Adjustmentで調整することをおすすめします。
各パラメーターの可動目安
Face Tracking Debugでの動作テストを行った際の大まかな目安です。数値は適当な感じで丸めてありますし、人によって違いが出ることが予想されます。取得されていないものがあったりもします。正確な情報ではないので、モジュール毎の傾向の違いがなんとなく分かれば幸いです。
VRCFTのキャリブレーション等は使用せずにデフォルト値のまま計測しています。
| パラメーター名 | PicoStreamingAssistantFTUDP | VRCFTPicoModule |
|---|---|---|
| jawOpen | 0.8 | 0.8 |
| mouthClose | 0.125 | 0.125 |
| jawLeft/Right | 0.125 | 0.4 |
| jawForward | 0.25 | 0.25 |
| mouthRollUpper | 0.4 | 0.4 |
| mouthRollLower | 0.8 | 0.8 |
| mouthFunnel | 0.125 | 0.75 |
| mouthPucker | 0.8 | 0.75 |
| mouthUpperUpLeft/Right | 0.7 | 0.7 |
| mouthLowerDownLeft/Right | 0.8 | 0.8 |
| mouhtLeft/Right | 0.4 | 0.4 |
| mouthSmileRight/Left | 0.6 | 0.4 |
| mouthFrownLeft/Right | 0.6 | 1.0 |
| mouthStrechLeft/Right | 0.125 | 0.4 |
| mouthDimpleLeft/Right | 0.0 | 0.0 |
| mouthShrugUpper | 0.6 | 0.6 |
| mouthShrugLower | 0.75 | 0.75 |
| mouthPressLeft/Right | 0.5 | 0.6 |
| tongueOut | 1.0 | 1.0 |
| eyeLookOutLeft/Right | 0.9 | 0.9 |
| eyeLookInLeft/Right | 0.9 | 0.9 |
| eyeLookUpLeft/Right | 0.75 | 0.75 |
| eyeLookDownLeft/Right | 0.75 | 0.75 |
| eyeBlinkLeft/Right | 1.0 | 1.0 |
| eyeSquintLeft/Right | 0.1 | 0.1 |
| eyeWideLeft/Right | 0.0 | 0.0 |
| browDownLeft/Right | 0.6 | 0.6 |
| browInnerUp | 0.75 | 0.75 |
| browOuterUpLeft/Right | 0.75 | 0.75 |
| noseSneerLeft/Right | 0.65 | 0.65 |
| cheekSquintLeft/Right | 0.0 | 0.0 |
| cheekPuff | 0.9 | 0.9 |
Parameter Adjustmentで調節可能
後述するVRCFTのTracking Settingsで「Parameter Adjustment」を設定すると、各パラメーターの効き具合を調整できます。
アイトラッキングのキャリブレーションとIPD調整を行っておこう
上手く動作させるために、アイトラッキングのキャリブレーションを行っておくことをおすすめします。
IPD調整も自動で行えますが、眼鏡をしていると行えないので自分しか使わないのであれば自動設定はオフのままで良いかと思います。
アイトラッキングが故障している場合の挙動について
キャリブレーションエラーが表示されてしまい、再起動や初期化でも改善しない場合はハードウェアの故障です。入手経路や発売時期的に公式サポートからの修理は困難かと思います。
ハードウェアの故障でアイトラッキングが片目しか動作しなくなっても、ある程度は機能します。
前述したとおり、アイトラッキングが片目だけ動作している状態では、キャリブレーションが実行できません。その為、目の可動域が小さくなる可能性があります。Unityでアバターのフェイストラッキング設定を弄る気力があれば、0.45ぐらいを上限にアニメーターのパラメーターを調整すると良いかもしれません。
……が、そういうのは面倒なので、視線移動の倍率を変更できる機能をVRCFTPicoModule(modified)に追加してあります。
片目しか動かない場合でも、数回瞬きを行うと両目が同時に動作するようになります。ウインクが行えませんが、一応動作します。左右の目を同期する仕組みがあるフェイストラッキング設定であれば、片目しかなくても安定してトラッキング可能です。参考までにFermata Shopのフェイストラッキング設定は「EyeLid LR Syncトグル」があります。
また、当然ですがIPDの自動設定も故障していると動作しません。
VRCFTのTracking Settingsについて
2025年12月1日にVRCFT 5.4.0.1がリリースされました。
UIが日本語対応しているほか、Tracking Settingsが新たに増えています。

VRCFTのキャリブレーションについて
Tracking Settings内に「Calibration」があります。有効にすると一時的に顔が崩れますが、しばらくすると落ち着いてくると思います。規定で有効になっているようですが、どうにも挙動がおかしい場合はオフにしてください。
Parameter Adjustmentについて
パラメータの最小値と最大値が指定できるようになっています。例えば、MouthSmileが最大でも0.4までしか来ない場合は、VRCFTのParameter Adjustmentで最大値を0.4に設定すると、0.4を1.0として扱うようになります。効きが悪いパラメーターを調整するときに有用です。
Data Filterについて
One Euro Filterというものらしく、VRCFT側でジッターの除去やスムージングが行われます。
これにより精度が向上してスムーズに動作するようになりますが、自分から見えてるのはあくまでもローカルでの見え方なので、VRChatを経由して相手からどう見えているかは、アバターに組み込んだフェイストラッキング実装次第だと思います。
全く詳しくないので、間違ってそうな解説としては以下の通りです。
Minimum Cutoff
平滑化フィルターの強さを調整する設定のようです。初期値は1です。
0に近づけるほど強くフィルターが掛かり、鈍い感じの動きになります。最大値の2にすると、最もフィルターが弱くなるので応答が早くなります。Minimum Cutoffの数値を上げると高速に瞬きしても上手く反映されます。
Beta
動きの速さに応じたフィルター強度の調整らしいです。初期値は0.5となります。
0に近いほどフィルターが掛かりやすくなり、最大値の1にすると素早い動きでもフィルターが掛かりにくくなります。多分こちらもあまり弄る必要はないかと思います。
Derivative Cutoff
Minimum CutoffやBetaの補助を行ってると思われます。初期値は0.1です。
瞬間的なノイズや微細な揺れを動きとして誤認しないよう調整することで、それらをスムージングの判断材料としないための設定といったところでしょうか。動作の安定性に関係する設定だと思います。もし小刻みに揺れることがあれば、少しだけ値を上げると良さそうです。
One Euro Filterの仕組みについて詳しそうな解説は以下。
VRCFT本体の動作がおかしいときは
左下の歯車アイコンから設定を開くと、開発者向け設定に「Reset VRCFT」などの項目があります。
LinuxでもVRCFTを使いたい!
クロスプラットフォーム版のVRCFTとして、「VRCFaceTracking.Avalonia」という物が存在します。これは元々のVRCFTに似せることを目指して制作されています。
https://github.com/dfgHiatus/VRCFaceTracking.Avalonia
既にALVRやWiVRnが動作する環境であれば、AppImageに実行権限を与えて起動するだけで簡単に利用できました。モジュールのインストールもVRCFTと同様です。
Steam DeckとPICO 4 Proを使用して、ALVRで接続した場合の動作は以下のような感じとなりました。
度付きレンズについて
アイトラッキング用のカメラがある都合上、PICO 4/PICO 4 Ultra用の物は使用できません。
AliExpressにあるPICO 4 Pro用を適当に購入することになります。フレームの黒い物が欲しかったので以下の物を購入しました。

商品画像と異なる物が届いていますが、機能的な問題はありませんでした。少々分厚いのがネック。
PICO 4 Proで使えるアクセサリーについて
PICO 4対応製品であれば使用可能ですが、PICO 4 Ultra対応の後頭部クッションだけは取り付けができません。
Geekvr ヘッドストラップ・クッション
フェイスクッションと後頭部クッションのセット商品です。通常、PICO 4 Ultra用の後頭部クッションはツメの位置が異なるので、PICO 4に使用できません。(その逆も然り)その点、Geekvrのアクセサリーは後頭部クッションがPICO 4/PICO 4 Ultra両対応という珍しい物になっています。
AMVR コントローラーグリップ
見ての通りですので、説明不要でしょう。手を離しても落とさないようにグリップを追加できるアクセサリーです。
KIWI design A3 ヘッドフォン
充電とヘッドフォンの両立をしたい場合に使用します。未確認ですが、PICOの仕様を考えると充電用のUSBポートは恐らくデータ通信には非対応なはずです。
PICO 4やPICO 4 Ultraと構造が同じなので、取り付け可能です。
ヘッドセットイヤーマフ
電源やUSB接続が不要な物だと、PICO本体のスピーカーの音を伝えるだけのイヤーマフもあります。
KIWI design P5000 モバイルバッテリー
入手が容易で汎用性の高いモバイルバッテリーです。PICO 4向けのクッション一体型のバッテリー(BOBOVR P4)が入手困難なので、これを選ぶことになると思います。
KKCOBVR P4 ヘッドストラップ
BOBOVR P4的な感じのバッテリーとヘッドストラップのセットです。見たところ後頭部クッションは薄そうなので、そこが懸念点でしょうか。
Quest ProやVIVE XR Eliteと比較すると?
Quest Proに関しては、PICO 4 Proユーザー視点での印象で書いています。最近登場しつつある「Quest/PICO対応の外付けフェイストラッキングモジュール」や、Galaxy XRなどは含めていません。VIVE XR Eliteは……察して欲しい。
フェイストラッキングの精度
精度については、Quest Proが最も良いというのは疑いようのない事実でしょう。舌は出し入れのみで動かせませんが、QuestとPICOに対応した「口の動きと連動させて動かせるようにしたVRChatアバター向けアドオン」があります。湿気によって壊れるという欠点があるので、VRCFT公式から注意喚起がされています。
PICO 4 Proはこの記事内にある通りですので割愛します。カジュアルに使えるというレベルなので、微妙な表現は苦手ですね。リアル系のアバターや顔芸向きではないです。
VIVE XR Eliteについては、口元のカメラが大きいので舌が動かせるというのが最大のメリットです。今後いくつか出てくる、外付けのフェイストラッキングカメラも似たような精度が期待できそうですね。口元のトラッキングに強いものの、いくつかの実装が壊れてるらしく目元の表現力は程々です。
レンズ・ディスプレイ
Quest Proの量子ドットLCDの発色はPICO 4 Proと比べて良いと思われるのですが、解像度は下がってしまします。(PICO 4:片目2160×2160 / Quest Pro:片目1832×1920 / Quest 3:片目2064×2208)
Quest 3から乗り換えた人が口を揃えて「ちょっと画質が……。」と言うので、解像度については惜しいところがありそうです。発色やコントラスト比などについて聞いてみたこともありますが、どうにも反応が薄いので元Quest 3ユーザー的には視覚的体験は若干損なってしまうようでした。
PICO 4 ProはPICO 4 Ultra比で発色と画面の明るさが劣りますが、解像度は一緒なので慣れると大差ないです。スイートスポットがQuestよりも狭い代わりに、垂直方向の視野角と内視野角は広めです。アイトラッキングを駆使して視界の端を見るときに気になるとは思います。
ちなみにQuest Proと似たような解像度のVIVE XR Elite(片目1920×1920)については、レンズに視度補正機能が付いているという利点はあります。しかし、視野がかなり狭かったりVIVE Hubの画質と接続安定性が絶望的だったりと、デメリットのが大きいです。
コントローラー
PICO 4 ProとVIVE XR Eliteのコントローラーは、昔ながらのリング付きです。トラッキング範囲や耐久性に大きな差はなさそうに感じます。VIVEはボタン周りに癖があるのと、コントローラーの電池が5~6時間しか持たないです。また、急にコントローラーの電源が入ってバイブレーションが鳴る現象もあって、微妙にモヤモヤとします。
PICOはコントローラー片手分で単3乾電池x2を使用して、大体1ヶ月ぐらいは使える感じです。頑丈ですが、スティックが帯電しやすい持病があるので、バインド設定で無効にする事になります。これはQuestでも起こる問題とはいえ、PICOの方が起こりやすいようです。頑丈ですが一切の公式サポートが受けられません。国内で予備は買えないので、万が一壊れたときはAliExpressで適当に調達することになります。
そして不具合さえなければ、Quest Proのコントローラーはトラッキング範囲の広さが優秀です。手を後ろに回しても自由に動かせるのが良いですね。
不具合がなければと書いたとおり、Quest Proのコントローラーは不具合が非常に多いです。ハードウェア的にはスティックがドリフトしやすいという定番の物がありますが、Quest Pro本体側の不具合で「頻繁にロストする(コントローラーの再起動が必要)」「発熱してないのに発熱警告が出る」というソフトウェアの問題が生じているのをよく見かけます。ロストしたときはコントローラーの再起動のために充電台に置いたり、ホームボタンを長押ししたりすることになります。ただ、そのうちボタンが壊れてくるというトラブルに遭遇している人も居ました。ソフトウェア的な不具合は直るまで待つか、安定しているバージョンを見つけたらインターネットから物理的に隔離してアップデートされないようにする感じになりますね。修理は受け付けてくれます。
尚、知り合いのQuest Proユーザー12人のうち、半数がIndexコントローラーかFlipVRに乗り換えていました。
ハンドトラッキング
Quest Proのハンドトラッキングについては、あえて言及する必要はないでしょう。少なくともPICOやVIVEよりも精度が高いです。手のひらを自分に向けるとシステムジェスチャーが使えるので、SteamVRダッシュボードを表示したり操作したりできます。
PICO 4 Proのハンドトラッキングは、PICO Connectで接続したときに利用できます。(※PICO 4 Enterpriseでは利用できません)その際にシステムジェスチャーは動作しなくなるので、手の形だけがSteamVRに送信されるという割り切った仕様となっています。つまりどういうことかと言うと、VRChat内の操作以外は一切できません。SteamVRダッシュボードを表示したり操作したりはできませんし、XSOverlayを目の前に出していても触れることができません。その代わり、VRChatで使うことしか考えてないかのような変な実装なので、誤爆はしにくいです。Questと比較すると、動作はちょっと鈍いです。
VIVE XR Eliteのハンドトラッキングは、Questと同様に基本機能は備えています。しかし、適切な設定をしないと手の向きがおかしくなったり、奥行き方向のトラッキングがイマイチなのでVRChat内で前に進むことが困難だったりします。ハンドトラッキング補助のためにリストトラッカーを使うことも可能ですが、何故か通常のコントローラーと同時利用不可なので都度ペアリングし直す手間が生じてしまいます。どうして……。
後頭部バッテリー
PICO 4 ProとQuest Proのどちらも後頭部にバッテリーが搭載される形になっています。前後のバランスは良いと思われるのですが、装着感についてはQuest Proユーザーは快適に使うための試行錯誤を強いられているようです。そのままでは頭痛がするとのこと。
PICO 4 Proに関してはPICO 4 Ultraと同一なので、PICO 4シリーズ全般の評判がそのまま参考にできます。まぁ、クッションは取り替えた方が良いとは思いますが。
VIVE XR Eliteはバッテリーを外してメガネのような形で利用できるので、寝っ転がるのに適した構造になっています。
後頭部にバッテリーが来ないというのは寝る場合に大きな利点となりますが、「側圧が強すぎて頭痛がする」「側圧が強すぎてやがて本体が破損する」という構造上の致命的な欠陥があるので、3Dプリントしたパーツを取り付けて圧を減らしたり延命したりという状況にあります。どうして……。
マイク・イヤホン
「VRChat越しに聞こえてくる声は手元で聞こえる声よりも大きく劣化する」という都合上、思っていたよりも悪い音で相手に伝わります。VRChat側で+15dBのブーストが掛かるのが主な原因なので、PICO 4 Proのマイクは音量をしっかり下げておけばそこまで酷くはないという感じです。PICO 4 Ultraと比べると若干音を拾い損ねる事がありそうで、搭載するマイクの数が違うことが影響していそうです。PICO Connectのノイズキャンセリングを使うかどうかで扱い方が変わってくるのですが、VRChatの仕様を含め細かい話はここでは語らず以下にリンクだけ貼っておきます。

Quest ProのマイクはQuest 3と比較すると明らかに音質が悪くなります。マイク品質についてはQuest 3が頭ひとつ抜けているので、Quest 3を使っていた人がQuest Proに乗り換えると落差が激しく、随分と印象が変わります。まぁ、そのうち相手も慣れます。(慣れました)
また、Quest Proはスピーカーからの音をかなり拾うのでイヤホンが必須です。マイクの設定を変更してスピーカーから聞こえてくる他人の声が入らないように調整すると、今度は自分の声が頻繁に途切れて聞こえなくなります。自分の周りにQuest Proユーザーが一気に増えた時期がありましたが、声が聞き取れなくてコミュニケーションが取れない状況がしばらく続いていたのが印象に残っています。そのため、知り合いのQuest Proユーザーの殆どがスピーカーを諦めてイヤホンをする選択を取っているようです。外部マイクのDJI Mic Miniは買っても結局使わなくなったとのこと。他には、初代Questの頃から稀に発生している再起動しないとマイクが動作しないという不具合も、Quest Proでは起こりやすいように感じます。
ちなみに、3.5mmジャックがあるのはQuest Proだけです。PICO 4 Proでイヤホンが欲しい場合はUSB変換を使うか、Bluetoothイヤホンが必須です。
VIVE XR Eliteは……。うん。
Virtual Desktopについて
Virtual Desktopでフェイストラッキングが行えるのはQuest Proだけです。パーティクルが飛び交ったりするような場面での画質は、Adaptive Quantizationなどのエンコード機能に対応しているVirtual Desktopに軍配が上がります。
前述しているとおり、PICO 4 Proの場合はPICO Connect一択となります。Virtual Desktopに敵わない部分は確かにあるものの、メーカーが公式に提供するPCVRストリーミング用ソフトウェアとしては、かなりまともな部類です。
VIVE XR EliteもVirtual Desktopでフェイストラッキングが行えないので、VIVE Hubを使うことになります。しかし、ALVRを使おうという話が出てくる程度には厳しいです。PICO 4 ProはPICO Connectでまぁ十分だと思えるのに対して、VIVE XR EliteではVirtual Desktopを渇望するレベルと言っても過言ではないです。(WiVRnですらLaggyだと言うので、Virtual Desktopでもダメな可能性は高いが……。)どうして……。
搭載するOSについて
アプリや機能が最も充実しているのはQuest Proですが、アップデートで頻繁に壊れるのもQuest Proです。OSバージョン表記に含まれないようなサイレントアップデート(恐らくA/Bテスト)が行われるので、同じOSバージョンなのに不具合が起こる人と起こらない人が居るという状況も多々あります。安定していると気付いたタイミングでインターネットから隔離するか、開発者モードを有効にしてadbコマンドでアップデータを潰しておく等の対策が必要になってきます。
PICO 4 ProはPICO 4 Ultraと同様に安定性の高さが最大のメリットです。本来中国版しか存在しないPICO 4 Proにグローバル版のOSを焼いて使うという都合上、OSのアップデートは手動行わなければいけません。(※自動で降ってこない)新機能が次々実装されるということはなくて既にメンテナンスモードのような状態なので、現在の最新となる5.13.7.Sまでアップデートしたら放置しても良いかと思います。FluxPoseなどを使う予定なら、トラッキング予測の修正アップデートが来たらそれを適用しておくのがベストですが、OSのロールバックは行えないので手動アップデートは慎重に行う必要があります。
VIVE XR Eliteはホーム画面の使い勝手が独特です。使いたい機能に応じて場所を移動しなければならない感じというか、なんと言ったらいいんでしょうかね。OSバージョンは1年以上ぶりに提供された2.0.999.960が最新で、Android 9からAndroid 12にアップグレードされました。そのメリットはというと……。Steam Linkを手動でインストールしたら動くようになった、ぐらいでしょうか。悪いところはわざわざ自分が言う必要もないと思うので、良いところを挙げると……うーん、ホームに鯨が飛んでること……かな。あ、そういえばVIVEトラッカー(Ultimate)をVIVE XR Elite本体に繋いで使えます。でも素直にPCに繋いだ方が良いとは思いますね。
総評
Meta Quest Pro
ベースステーションとGripVRなどを用意してコントローラー対策を行い、Meta Horizon OSのアップデート情報を注意深く見て必要に応じてインターネットから隔離をしつつ、湿気で壊さないように細心の注意を払えるなら、Quest Proを選んでも良いと思います。Quest Pro特有の不具合を上手く乗り越えられるかどうかに掛かっています。購入の際は、eBayで新品を探して買うのが最安かと。大体13~14万ぐらいです。
PICO 4 Pro
PICO 4シリーズの着け心地の良さと不具合の少なさを活かしてカジュアルに使うのなら、PICO 4 Proをおすすめします。PICO 4 Ultraを使うときとは異なり、Virtual Desktopという逃げ道がないことがデメリットですが、利用までのハードルは最も低いです。Quest Proを使う場合もそうですが、VRCFTなどを裏で動かす事も考えるとそれなりのスペックのPCを準備しておく方が良いでしょう。Wi-FiルーターもQuest/PICO専用のAPをひとつ用意しておくとベストです。

肝心のフェイストラッキングについては、本記事に書いてあるような動きはちゃんとできます。但し、PICO Motion Trackerはフェイストラッキングと併用するとデコードが間に合わなくなって映像が乱れたりしやすいので、フルトラも考えるとなるとVIVEトラッカーかVIVEトラッカー(Ultimate)、あるいはFluxPoseの入手を検討することになります。また、入手経路がAliExpressに限られるので、90日返品可能なショップでリファービッシュ品を買うことになると思います。割引クーポンを使用しない場合で10~11万ぐらい。
本体とコントローラー共に頑丈ではありますが、公式サポートは一切ありません。(※国内未発売かつ正規購入ではないので修理依頼は受け付けてくれない)まぁ、最悪コントローラーはAliExpressで買い足せばなんとかなります。しかし、万が一本体が故障したら諦めるという覚悟を決めて買いましょう。
PICO 4 Enterprise
最初に書いたとおり、ハードウェア的にはPICO 4 Proと同じですが、内部のソフトウェアがEnterprise用として動作するので勝手が異なります。あえて選ぶことはおすすめしませんが、完動品が安く入手できるならアリです。
VIVE XR Elite
問題をある程度は乗り越えられる見込みのあるQuest Proとは異なり、こちらはなんとかなるという確信がありません。
フェイストラッキング有効時のVIVE Hubの動作に問題があるため、最終手段となるALVRを満足に動かせるかどうか次第です。色々と試しましたが、VRChatを複数人で遊ぶとなるとVirtual DesktopやPICO Connectと同じ水準で安定して動かす事ができなかったので、自分は諦めました。

他になにかあれば適当に追記します。






































