Ryzen 7 5800X3Dを購入しました。
マザーボード新しくしてしまったし、AM4もこれで終わり(のはず)なので最終形態にしてしまおうということで……買っちった。
Ryzen 7のくせにRyzen 9よりも高価で、2022年6月時点においてトップであるRyzen 9 5950Xの次という価格帯に位置しています。(※2022年11月時点では5万を切りました)
そうなると、Ryzen 9 5900Xを買った方が良いのでは?(というか、5950Xも探せば安いのある。)となるのですが、「3D V-Cacheによる96MBもの大容量L3キャッシュ」というロマンには勝てませんでした。
Ryzen 7 5800Xより僅かに低い性能でありながら、ゲーミング用途ではRyzen 9 5950XやCore i9-12900KSを上回る結果を出すこともあるという点もなかなか面白いです。(もちろんL3キャッシュがバッチリ決まる条件ならばですが……。)
今後はCPUのキャッシュを増やした製品が次々と登場すると思います。ですが、これからSocketAM5へ切り替わるというタイミング。恐らくAM4世代においてはRyzen 7 5800X3Dが唯一無二の大容量キャッシュ搭載製品となることでしょう。
どうやら省エネらしい
色々と調べていると、「Ryzen 7 5800Xの省電力版」として考えると5800X3Dはとても美味しいという話がありました。最大で30W程度の消費電力の削減が確認されているのは興味深いです。
また、1.35Vから電圧を下げるとパフォーマンスにあまり影響を与えることなく省電力・低発熱になるという検証もありました。
そんなわけで、省エネ運用してみようと思いました。元よりフルパワーで回すのは個人的に好きではありません。グラフィックボードですら65%のパワーリミットを掛けています。
ゲームよりも他のクリエイティブな作業の方が多いので、Ryzen 9 5900Xとかのが良かった気もしなくはないですが、Ryzen 5 3600からはしっかりとパワーアップしています。ゲームもまぁまぁ嗜むのでこれでいいんです。(実はL3キャッシュが良い感じに仕事してVRChatのフレームレートが安定したりしたらいいなってちょっと思ってる)
PC構成
カテゴリー | 製品名 | 備考 |
---|---|---|
ケース | Versa H26 White | |
M/B | ASUS TUF GAMING B550-PLUS | |
CPU | Ryzen 7 5800X3D | VDDCR CPU Voltage 1V |
CPUクーラー | 虎徹 MarkⅡ SCKTT-2000 | |
RAM | Team DDR4-2666 16GBx2 | |
GPU | ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Blower | Power Limit 65% |
メインストレージ | SAMSUNG PM963 U.2 SSD 2TB | 変換アダプター経由 PCIe 3.0 x4で接続 |
サブストレージ | Transcend SSD370 TS256GSSD370S 256GB | |
サブストレージ | WD Blue WD80EAZZ 8TB | しれっと交換 |
電源 | 玄人志向 KRPW-BK650W/85+ | 「国民の税金で買った電源」 |
OS | Windows 11 Pro |
メモリが低速ですが、Ryzen 7 5800X3Dが得意とする状況ではメモリアクセスは減るはず(ホントに?)なので気にしないことにします。DDR4であるうちは微々たる差だと思います。
自作PC初心者、落とし穴にはまる
BIOSアップデート、ヨシッ!
各種ケーブル接続、ヨシッ!
念のためCMOSクリア、ヨシッ!
POSTのビープ音、ヨシッ!
❓❓❓
映らない……。どうして……。
周辺機器をキーボードのみにして、DisplayPort接続のモニターだけにしても一切映らなくて頭を抱えました。そのまま待っていればOSが立ち上がるかと思いきや、そういやCPU換装してるんだからBIOS/UEFIのセットアップ待ちの画面が出るはずなんだが……と悩みました。
結局なにかが壊れてたわけでもなく、裏ではちゃんと「F1を押してセットアップを続行してくれ~」って感じの画面で止まっていました。ええ、HDMI接続のモニターだけにしたら映りました。DisplayPort接続だと割とよくあるみたい……。(その逆もある)
電圧を下げてみる
さて、無事起動したので気を取り直して電圧を下げてみます。
ASUSのマザーボードなので、AI Tweakerにある「VDDCR CPU Voltage」をManualに切り替えて、設定値を1Vとしました。それだけです。
基本的にRyzen 7 5800X3DはPBOが利用できないということになっているので、その辺りも気にする必要はありません。(安いマザーボードだと多分電圧ぐらいしか触るところがないと思う)(ASUS TUF GAMING B550-PLUSを使用しています)
ガッツリ突き詰めるのも良いですが、自分はそこまでやらない(やれない)のでこれだけに留めておきます。発売当初から「実はオーバークロック出来るよ!」とか、色々弄れるよって話を見かけてはいるのですが、そこそこエコに動作してくれれば嬉しいなって感じなので手は出してません。
クロックが4.5GHzまで上がらないときは
UEFIで余計なところを弄ってしまい、CPU Core Ratioが36.00とかの数値が入ってしまっている場合があります。ここがAutoだとちゃんとブーストされて4.5GHzになります。ベンチマークなどをしても3.5~3.6GHzで頭打ちしてしまう場合はチェックしてみましょう。
1V設定は虎徹で冷やせる?
バッチリ冷やせる。
CPUクーラーは空冷式で、虎徹 MarkⅡ(SCKTT-2000)での冷却となりますが、室温23℃湿度70%の環境においてアイドルは43℃程度となりました。直前に確認したRyzen 5 3600では45~47℃だったので冷えてますね。夏場でこの温度なので、冬だともっと下がって30℃台になります。
負荷を掛けた場合はどうなのか?ということでCinebench R23を回してみたところ、夏は62℃で頭打ちしました。(冬場は55℃ぐらい)探してみるとBTOで虎徹をチョイスしているところもあるようなので、多分定格でも冷却は間に合うのだと思います。しっかり冷えていて嬉しいです。
消費電力もRyzen 5 3600と変わらないか、少し小さいような感じです。(いや、気のせいかも。でも大差ない。)CPUIDのHWMonitorで見ると、Cinebenchi R23をぶん回している状態で65Wぐらいと出ています。
動画の視聴やブラウジングなど、軽く使う感じではシステム全体で大体100Wに収まっています。ゲームをしても200Wちょいですね。
ほぼアイドルの状況ではシステム全体が95W、CPUは25WでGPUは21Wと出ています。これを全面的に信用していいのかはなんとも言えませんが、ディスプレイが9Wなので、マザーボードとその他諸々が40Wぐらいとなりますね。B550-PLUSがアイドル30Wぐらいとのことなので、まぁこんなもんかと。
【追記】マザーボードがPBOに対応してる場合
Ryzen 7 5800X3DはPrecision Boost Overdrive非対応だったと思うんですが、いつの間にかASUS TUF B550-PLUSでもPrecision Boost Overdrive 2が設定出来るようになっていた(というかデフォルトで有効のようで?)ので、弄ってみることにしました。
よく見かける情報では、Curve Optimiserは-20~-30の範囲がお勧めと出てきますが、下げすぎると落ちるので個体によっては-30でもダメな場合はあるとのこと。-20から様子見していき、今回は-25(Negative 25)に設定してみました。Thermal Limitも気休め程度に85℃へ変更しました。
PPT TDC EDCはお好みで。PPT142 TDC95 EDC140がデフォルトのようですので、用途に合わせてここから下げる感じで設定します。上記のCO-25 85℃制限かつPPT100 TDC65 EDC90の設定を試したところ、虎徹から換装したK4クーラーで最大79℃ちょっとぐらいでした。TDP 65W相当となるPPT 88に設定するともっと下がるんじゃないかなとは。
電圧1V設定と合わせるのはややこしくなりそうなので、PBO設定を弄るなら電圧はデフォルトにしておく方が良さそうだと思います。多分。
性能アップ、ゲームも快適
Ryzen 5 3600比でかなりシングル性能が上がってますので、PhotoshopやCLIPSTUDIO PAINTのブラシ描画のようなシングルで殴るタスクが軽くなりました。元々そんなに重いとは思っていませんでしたが、1000px超えのブラシを使う機会が何度かあったので、体感で少し良くなった感じですね。
システム全体で見ても機嫌が良く、応答速度も速くなりました。Ryzen 5 3600でもそんなに遅くないと思っていましたが、Ryzen 7 5800X3D恐るべし。
原神も安定動作
FHD最高設定+αな感じで遊んでいます。
FHDで垂直同期ONなので60FPS以上にはならないのですが、最低FPSが上がったようです。フィールド移動中のちょっとしたカクツキがかなり消えました。解像度がFHDでの原神は重くないので、CPUはほぼ使われてませんし、GPUも30%程度です。しかし、これまでは時折引っかかるときがありました。
タスクマネージャーで確認する限りでは、原神のメモリ使用量は2GBちょっとで頭打ちしており、モバイル向けのものをほぼそのままPCで動かしているような感じがします。(※FHD最高設定時)
実際には制限をしていないのかもしれませんが、2GB程度のメモリ上限でやりくりしているような挙動をするので、その辺りでカクツキが生じているのかもしれません。特に2666MHzの比較的低速なメモリを使っているので、ここで足を引っ張っているかもしれません。
CPU使用率自体はかなり低いので、CPUの処理能力の恩恵というよりも、きっとL3キャッシュが良い感じに利いているのでしょう。同じエリア内をしばらくうろついていましたが一切の引っかかりがなく、あまりにも快適なので、つい4時間ほど連続して遊んでしまいました。絶対に引っかかりが起きないというわけではないので、Ryzen 7 5800X3Dといえども場所によりけりですかね。
VRChatはどうなのかをテスト
15人ぐらい集まっているところへお邪魔しました。
Quest 2をALVRで接続して、レンダリングサイズ100%と90Hzの設定でプレイしています。1VのRyzen 7 5800X3Dとパワーリミット65%のRTX2080というパワーセーブしまくりな組み合わせですが、全員視界内に入れてもほぼ90FPSをキープできていたので驚きました。カメラを出して視界内に入れると80FPS、カメラ無しでレンダリングサイズを150%にすると75FPSぐらいになりますね。
お邪魔していたのはかなり軽いワールドだと思うのですが、人数が居ても安定しているのが嬉しいポイント。Ryzen 5 3600のときはどこ行っても45~60FPSぐらいがデフォって感じだったので、とても良い感じです。重たいワールドだとそもそもの演算能力やVRAM容量の問題が出てきて厳しいかと思いますが、そうではない場合の安定感を実感できました。
ゲームの安定感を求めるならコレ
これまでは、GPUはRTX2080のままだし、CPU変えたぐらいじゃ……なんて思ってました。ホントすいませんでした、CPUとても良い仕事してくれてありがとうございます。
さて、今回は有用な比較対象もなく、体感的な話がメインとなりましたが、体感できるぐらい効果があったのは確かです。AM4世代においてはRyzen 9 5900Xや5950Xはゲームだけではなくクリエイティブな用途でも最高の選択肢ですが、うちの環境では低速なメモリが足を引っ張っていたかもしれません。
もちろん、動画のエンコードなどのコア数が物を言う使い方を含め、多くの場面でRyzen 7 5800X3DはRyzen 9には勝てないでしょう。それでも、Ryzen 7 5800X3Dは絶対的な性能が低いわけではありません。クリエイティブな用途でも十分快適ですし、最高のメモリやグラフィックボードを用意できない環境で安定したゲーミング性能を求めるなら、選ぶ価値はあるでしょう。大容量L3キャッシュ様様ですね。まぁ、性能を抑えてかなり省エネになったRyzen 7 5800Xとして見ると+26,000円程(※購入当時)となるお値段はなんとも言えないのですが……。
2024/04/21:Precision Boost Overdriveの設定について追記