Virtual Desktop 1.34.10 アップデート、Monster解像度にPICO 4 Ultraが対応

2025年10月21日、Virtual Desktop 1.34.10がリリースされました。(PICOストアでは22日に公開)

今回のアップデートでは追加のシャープニング機能でのコントラストアダプティブシャープニング(Pre-Encoding CAS)や、PICOコントローラーのサムレスト対応、Monster解像度のPICO 4 Ultraでの対応などが含まれます。

PICO Store
コンピューターにワイヤレスで接続して、映画を見たり、ウェブを閲覧したり、2 Dゲームをプレイしたり、PCVRゲームをストリーミングしたりできます。

追加機能

Additional sharpening(Contrast Adaptive Sharpening)

恐らくAMDの「FidelityFX CAS」のことだと思われます。

AMD FidelityFX™ Contrast Adaptive Sharpening (CAS) - AMD GPUOpen
AMD FidelityFX Contrast Adaptive Sharpening (CAS) provides a mixed ability to sharpen and optionally scale an image.

一般的な設定ではないので、Virtual Desktop StreamerのADVANCED設定内にあります。

デフォルトでは無効で、有効時の初期値は70%に設定されています。この設定は再起動を必要とせず、リアルタイムに反映されます。

STREAMINGタブにあるSharpningとの違いは、映像のエンコード前にシャープニング処理をするという点です。仕組みとしてはどちらもContrast Adaptive Sharpeningなのですが、便宜上従来のシャープニング機能を「Sharpening」、Additional Sharpeningを「CAS」と呼ぶことにします。

(※公式コミュニティでもAdditional Sharpeningの方をCASと呼ぶことがあるため)(※従来通りポストプロセスで動作するシャープをPost-Decoding CAS、今回追加されたエンコード前シャープをPre-Encoding CASと表現する方も居ました)

簡易比較

従来のシャープニングは映像をデコードしてからVRヘッドセット側のポストプロセス処理で行われていましたが、それをエンコード前に行うことでこれまでより多くの情報を保持することができるとのことです。


どちらが良いかと言われると難しいところです。後処理するのか前処理するのかの違いですので、状況次第とも言えます。文字に関してはCASの方が若干見やすく感じられるので、エンコード前の段階で強調しておいた方が情報の損失を抑えられるのかもしれません。

シャープニングを重ねがけをしてしまうと過剰となるため、使用する際は片方だけにしておくのが良いでしょう。表示がチラついたりすることもありますので、Additional sharpeningのCASを使用するときはSTREAMINGタブのSharpeningは0%にします。

上手く活用すれば、Snapdragon Game Super Resolution(SGSR)との併用で低解像度設定でもぼやけの少ない映像で楽しめることかと思います。

PICOコントローラーのサムレストに対応

PICOコントローラーに備え付けてある、サムレスト部タッチセンサーがVirtual Desktopで利用可能になりました。PICO 4 Ultraコントローラーの場合は、ABXYボタン横のスペースがサムレストのタッチセンサーになっています。このアップデートにより、Quest Touchコントローラーと同等のキーバインドが行えます。

例えばミラーやカメラを表示するために設定したり、ハンドサインの組み合わせとして使用したりできます。ボタンとして設定し、タッチに割り当てが可能です。

PICO ConnectでもSteamVRのコントローラーテストでサムレストの反応はあるのですが、内部的には「/input/systemのtouch(システムボタンのタッチ扱い)」として送られてくるのでサムレストとして使用することができません。

VRChatでの設定例

ミラーやカメラは誤爆するので他の使い方をしたい場合は、ハンドサインの補助として設定することもできます。

例としてトリガーに人差し指を置く代わりにサムレストに親指を置くことで、デフォルトのハンドサイン(レストポーズ)になるようにしてみます。Tumbrestに「gesture_activator_index」を指定すると対応できます。

ここに「gesture_activator_thumb」を指定すると、ピースサインを出すのに使えます。

PICO 4 UltraでのMonster解像度

かなりの高解像度

片目3648pxとなる、Monster解像度がPICO 4 Ultraでも使えるようになりました。これはGodlike解像度(片目3120px)を超える設定です。

必要なグラフィックボードの目安は以下の通り(※過去のデータも基に加筆)

解像度(PICO 4 Ultra)グラフィックボードの目安
Potato(1488)GTX970 / RX580
Low(1776px)GTX1070 / RX5500XT
Medium(2064px)RTX2070 / RX5700XT
High(2544px)RTX3070 / RX6800XT
Ultra(2736px)RTX4070Ti RTX 3090/ RX9070XT RX6950XT
Godlike(3120px)RTX4090 / RX7900XTX
Monster(3648px)RTX5090

ちなみに目安の欄にRX9080XTやRX9090XTのような存在しないRadeonの型番が記載されていますが、Virtual Desktopは昔からそのような感じなので今に始まったことではありません。もしそれらが存在するのなら、そのぐらいの性能が必要という意味合いかと思われます。大まかな目安として参考にしましょう。

Monster解像度でH.264+の600Mbpsに設定すればとても綺麗に見えますが、かなりの性能を求められます。ひとりでVRChatのワールド巡りするぐらいならなんとかなるかもしれませんが、これで他人と交流するのは難しいです。RTX5090のパワーを持て余している方向けと言えるでしょう。

Hov Stencilでエンコード解像度を維持しながら使う手も

画面端はあまり見えてないことを利用して、中央部分の解像度はMonster相当を維持しながらレンダリング解像度を落とす方法も利用できます。例えばFOVを80%まで減らすと2916pxになります。この機能を上手く利用すれば、Monser解像度の恩恵を得ながら負荷を下げることが可能です。

Radeon環境ではH.264推奨

画面右端が伸びる

Radeon環境においてはMonster解像度に対応できるスペックの製品が存在しないほか、HEVC/AV1エンコードの不具合回避策がMonster解像度では機能しません。これについては「問題に対処するためのアイデアが本当に尽きてしまっている」とVirtual Desktopの開発者が言っているため、HEVC/AV1で使用するなら正常に動作するGodlike解像度までに留めておくことを推奨します。

また、Fov Stencilを活用する場合でも表示は壊れるため、Monser解像度を使う場合はH.264+コーデックでプレイするのが無難な解決策となります。

対応機種について

このMonster解像度はPICO 4 Ultraの他にはPlay For Dreamが対応しています。Play For DreamよりもSoC性能が劣るPICO 4 UltraやQuest 3において、何故PICO 4 Ultraだけが対応されたについてはVirtual Desktop開発者からのコメントがありました。その話によるとPICO 4 UltraはQuest 3と比べてオーバーヘッドが少なく僅かにクロックレートも高いため、Monster解像度の対応ができたとの事だそうです。

そういう事情もあってかなり攻めたことをしているように思うので、特にPICO Motion Trackerと併用する場合はシステムが不安定になったり応答しなくなったりするリスクを承知の上で試すことになりそうです。

また、バッテリー消費も増えることが予想されるので、予備を用意しておくと良いでしょう。

不具合の修正など

接続時間の短縮

PCと接続されるまでの時間が短縮されたようです。

セカンダリ画面のサイズ変更に関する修正

メイン画面を掴んだ際に、セカンダリ画面がリサイズされてしまう事がある問題を修正したとのこと。

SteamVR betaが起動できない問題の修正

SteamVR betaをインストールしている場合に、Virtual Desktop側からSteamVRの起動が行えない(起動に失敗する)問題が修正されました。個人的に地味に不便を感じていたので嬉しいですね。

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