
zihaodream氏が製作したVIVEトラッカー(Ultimate)をWi-Fi経由で接続するツールの紹介です。
これは非公式の方法です。この方法を使った事による故障や事故、製品保証の失効などについて、当サイトでは一切の責任を負いません。全て自己責任で行ってください。
GitHubへのリンク
試す前に必ずガイドを読んでください。理解せずに操作を行うと、トラッカーの故障に繋がります。
大まかな概要
Wi-Fi接続かつVIVE Hubを使わないことで5台制限を突破する
VIVEトラッカー(Ultimate)は専用の2.4GHzドングルとVIVE Hub経由利用しますが、ドングルに5台までしか接続できない制限があります。また、ドングルは1つしか使用できません。
このツールは、トラッカーをドングルとVIVE Hub経由ではなく、5GHzのWi-Fiに繋いで動かすことで5台までの制限を回避できるというものです。詳しいことは分かりませんが、Business用の機能にWi-Fi LBEモードでの利用が行えるものがありますので、それらを活用しているのではないかと思います。
事前の準備としてトラッカーをPCとUSBで接続して、(内部的にはadb shell setpropコマンドで)ドングルモードからWi-Fiモードへの切り替えと、接続するPCのIPアドレス、SSIDとパスワードの設定が必要です。
VIVE Hubの代わりに使用するツール

SteamVRにトラッカーとしてデータを送るためにVIVE Hubを使用しなくなるため、代わりになるアプリが必要になります。
このツールを起動すると、SteamVRに指定したスロット数分のトラッカーを予め用意(デフォルトで10台)することができます。そこにWi-Fiで送られてきたトラッカーのデータを割り当てることで、通常通りトラッカーとして利用出来るようになります。
ちなみに手元に3台しかないので、6台目以降を接続できるのかは試せていません。
不用意にファームウェアを書き込まないこと
GitHubリポジトリ上に1.0.999.169のファームウェア(APQ8053_ROM_FB.zip)が置いてありますが、推奨バージョンに合わせたい場合や、文鎮化したなどの特別な事情がない限りトラッカーへ書き込まないでください。Wi-Fiモードへの切り替えと接続設定はadbコマンドによる設定変更だけで行われるため、必ずしもファームウェアを書き換える必要があるわけではありません。
このWi-Fi接続用ツールは1.0.999.168及び1.0.999.169で開発・テストしており、最新の1.0.999.178ではテストされていないので、ファームウェアのダウングレード手段が用意されているという形になります。
ファームウェア書込みの具体的な手順としては、adbコマンドでbootloader modeに入ってfastbootコマンドで各種イメージを焼くだけですが、何の話かピンとこない方や不安がある方は手を出さない方が良いです。
※本記事ではファームウェアのダウングレードは一切行わず、最新の1.0.999.178のままテストをしました。
大まかな手順
ADBを使用できるようにしておく
ツール内にADBは用意されていません。Android SDK Platform-ToolsをダウンロードしてPATHを通しておく必要があります。

Wingetコマンドでインストールする方法もあります。
winget install Google.PlatformTools
Android Studioを入れるという方法もありますが、今回はAndroid SDK Platform-Toolsをダウンロードして手動設定する方法をご紹介します。

ダウンロードしたZIPファイルを展開して、中に入っている「platform-tools」フォルダを適当なところに配置します。

配置したら、Shiftキーを押しながら右クリックをして「パスのコピー」をしておきましょう。

Windowsの設定を開き、「システム>バージョン情報>システムの詳細設定>環境変数」と辿ります。

「ユーザー環境変数」の「Path」を選んだ状態で「編集」を押します。

「新規」を押して、先程コピーしておいたパスを貼り付けて「OK」を押しましょう。パスの前後に付いているダブルクォーテーション「” “」は除いておくこと。(ドキュメントフォルダに入れた場合はC:\Users\ユーザー名\Documents\platform-toolsとなる)

最終的にトラッカーをUSBで繋いだ状態で、adb devicesコマンドが通る状態になっていれば準備OKです。デバイスドライバーはUSBでトラッカーを繋いでからしばらくすると勝手に入るはず。

Pythonを使えるようにしておく
Serverの動作にPythonが必要でした。とりあえずMicrosoft Storeにあるバージョン3.12で動作することを確認しています。
初回実行時にネットワークアクセスを求められるので、許可を出す必要があります。

初回設定をする
SteamVRは閉じておいてください。
- 5GHz帯のWi-Fiを使えるようにしておく
- appフォルダ内の「UTK-WiFiOnly-GUI.cmd」を起動する
- 「Initialize」を押してPCを静的IPアドレスに設定する(押さずに手動設定しておくのが良さそう)
- 「Start Service」を押してSteamVRドライバーの登録を行う(Pythonがネットワークアクセスを要求するので許可)
- アプリのウィンドウに接続するWi-FiのSSIDとパスワードを入力
- トラッカーをUSBケーブルで接続し、「Flash WiFi」を押して設定を変更する(台数分行う)
- SteamVRを起動して確認する
Start Serviceを押したときの挙動について(ビルドエラー)
&:用語 'cmake'は、コマンドレット、関数、スクリプト ファイル、または操作可能なプログラムの名前として認識されません。名前が正しく記述されていることを確認し、パスが含まれている場合はそのパスが正しいことを確認してから、再試行してください。ファイル名、ディレクトリ名、またはボリューム ラベルの構文が間違っています。
Exception: ...\steamvr_driver\build_driver.ps1:34
throw "Build failed with exit code $LASTEXITCODE"
Build failed with exit code 1というエラーが一瞬出てビルドがコケます。
しかし、「steamvr_driver/build_verify/utk_wifi_tracker/bin/win64」フォルダ内にビルド済みの「driver_utk_wifi_tracker.dll」が最初から同梱されているので、ビルドエラーが出てもドライバーの登録処理がそのまま実行されて問題なく動作します。

次回起動時の手順
- appフォルダ内の「UTK-WiFiOnly-GUI.cmd」を起動する
- 「Start Service」を押す
- トラッカーの電源を入れてLEDの状態を確認する
- SteamVRを起動する


トラッカー本体LEDステータスについて
青色:未接続
緑色でゆっくり点滅:接続したがトラッキングロスト状態
緑色で2回ずつ点滅:正常なトラッキング状態
その他
VIVE Space Calibratorが動かない
Space Calibratorを入れてそちらを使用してください。

Reference Spaceにコントローラーを指定しておき、Target Spaceで「utk_wifi_tracker」を選ぶと一覧が表示されます。
どのトラッカーが割り当てられているのかは、Indentify selected devicesを押しても分からないようです。電源を入れて接続が確立した順番でUTK_WIFI_0001から順に割り振られるので、キャリブレーションに使用したいトラッカーは一番最初に電源を入れておきましょう。

VIVEトラッカー3.0と混在させて使いたい
Space Calibratorが扱える座標空間が1つだけなので、混在させるのは難しそうです。
Wi-Fiモードを使った5台を超える接続は諦めて、VIVE HubとVIVE Space Calibratorと併用する従来の使い方をおすすめします。
Space Calibratorがエラーで起動しない
PICO Connect 10.6.6を使用していると、「Error writing IPC request. Error 233」で起動しない問題が生じます。面倒ですが、しぶとく5~10回ぐらい起動を試みると起動します。不具合の報告は複数されていますが原因は不明のままです。
Space Calibratorのバージョン2.0が出ているので、そちらを使用してみてください。(Steam版、2026年8月28日時点でベータリリース)
「Flash WiFi」を再度使用する状況について
- 書き込んだSSIDやパスワードが間違っていたとき
- SSIDやパスワード、PCのIPアドレスが変更されたとき
- ドングルモードに戻したとき
トラッキングマップを再構築したいときは
USB接続して「Dongle Mode」ボタンを押してドングルモードの切り替えます。そのあと、VIVE Hubを起動してペアリングを行い、通常通りマッピングを行ってください。マップの作成が終わったら、SSIDとパスワードを入れて「Flash WiFi」を実行してWi-Fiモードにします。
トラッカーの電源を一括で切りたい
メインUIの右上にある「Devices」ボタンを押すとデバイス一覧のウィンドウが開きます。右下の「Power Off All」を押すと接続している全てのトラッカーの電源が切れます。

Wi-Fiに繋がらない
Wi-Fiのチャンネルによっては接続できないことがあるかもしれません。Wi-Fiの5GHz帯が、W53やW56の範囲で繋がらない場合は、W52に変更してみてください。
また、Wi-Fi 7のMLOやバンドステアリングなどが設定されていると、上手く接続できないことも予想されます。
暗号化方式がWPA3だと繋がらないらしいので、WPA2にしておく必要があるかもしれません。
電池残量が変化しない
未実装らしいです。SteamVR側で表示されるバッテリー残量が100%のまま変化しません。
一時的に利用しないのでアドオンを無効にしたい
SteamVRアドオンの管理で「utk_wifi_tracker」をオフにすると無効にできます。
起動する度に10台出てきて煩わしい
「app\UTK-WiFiOnly-GUI.ps1」をメモ帳などで開いて、「$trackerCountBox.Value」を「10」から任意の数に変えるとデフォルト値が変わるはずです。
backupsフォルダ内のデータがどんどん肥大化する

ただのログファイルなので、アプリの終了後に消しても大丈夫です。
その他の細かな内容について
ガイドを読んでください。


