PICO 4 Ultra使用時において、VRChatのマイク音声が割れたり歪んだりした状態で相手に聞こえてしまうのを回避するための設定です。マイク音質が悪い、こもって聞こえる、声にやたらと圧があるといった状況がいくらか良くなるはずです。
声について何か言われてガッカリしたり、嫌な思いをするようなことがないようにという思いで書きました。この内容が上手く当てはまらない方もいらっしゃるかもしれませんが、参考となれば幸いです。
注意事項
- 声質や声量には個人差がありますので、あくまで目安としてご参照ください。
- 技術的な内容については推測も含まれており、正確でない場合があります。
- PICO 4 Ultra(PICO OS 5.15.4.U)とPICO Connect 10.6.6あるいはVirtual Desktop 1.34.16での動作を想定しています。
- PICO 4やPICO 4 Proも傾向は似ていますが、マイクの音量バランスが異なります。PICO 4 Ultraよりも少し小さめとなるようです。
機材とバージョン
- PICO 4 Ultra(PICO OS 5.15.4.U)
- PICO Connect 10.6.6
- Virtual Desktop 1.34.16
- VRChat (Build 1802)
マイク音量以外のセットアップについてはこちら。

【雑な要約】
・PICO Connectの音量は15ぐらいで「ヘッドセットのマイクのノイズ削減」オン、VRChatの音量は100%で「ノイズの削減」オフ
・Virtual Desktopの場合は音量10で「noise cancelation」オフ、VRChatの音量は25%ぐらいで「ノイズの削減」オン
・PICO Connectのマイク遅延対策はWindowsの設定で「Pico Streaming Microphone」のプロパティを開いて「このデバイスを聴く」を設定する(マイク音声をSteam Streaming SpeakerやVB-Audioなどに流しっぱなしにする)(Pico Streaming Speaker宛に設定しないこと!)
・PCと接続した時点でマイク遅延しているならWi-Fi周りを見直そう(「ヘッドセットのマイクのノイズ削減」のオンオフを数回行うことでもリセットできます)
- 音割れ(クリッピング)が起こる理由・声がガビガビな理由
- PICO Connectのマイク設定
- VRChatのマイク設定(PICO Connect)
- OBSで確認しながら調節するには
- Virtual Desktopのマイク設定
- 比較
- マイクが遅延しないように予防をする
- PICO Connectでマイク遅延が発生する理由について
- VRChat内での聞こえ方を確認する
- PICO Connectのノイズキャンセリングを「使用しない」場合は?
- 【コラム】VRChat内での音質劣化について
- 【コラム】PICOでの音声処理の流れについて
- 【コラム】QuestとPICOのマイク入力比較
- 【コラム】PICO 4 Ultraのマイク位置について
- どうにもならなかった方は
音割れ(クリッピング)が起こる理由・声がガビガビな理由
マイクの調整をする前に知っておきたい大前提がありますので、先に説明します。
VRChat側の音声処理でブーストされる
Windows上でマイク音量を確認したときは大丈夫そうなのに、VRChat内で音が割れたり圧のある声になってしまうのは、VRChat側のマイクブーストなどが原因です。
VRChatでは声を聞き取りやすくするための処理がいくつか存在します。Player Audioのドキュメントによると、Voice Gainがデフォルトで15dBブーストされるという記述がありました。(※軽いコンプレッサーや6dBのブーストについて記載されていたVRC_PlayerAudioOverrideは廃止)
Set Voice Gain
in Decibels, Range 0-24 Add boost to the Player’s voice in decibels. Default is 15.
これらの調整はワールドによって異なり、ゲイン設定や声の減衰、ローパスフィルターなどはPlayer Audioの設定で行えます。距離による減衰など色々と関わってくるはずなので常に15dBブーストされる感じではなさそうですが、OBSのレベルメーター読みで12dBぐらいはブーストが掛かっているように思えました。
あまり詳しくないのですが、音量が6dB上がると倍率が2倍、12dBだと4倍です。+12dBは体感だと2倍より大きいぐらいの感じになるそうです。そのため、音が割れたり潰れたりしやすいようです。
それとPICOに限らず、Questでもマイク設定が大きすぎると声が割れたり歪んだりしていることがあります。Questの場合はマイクにコンプレッサー等の処理が入ってなさそうに見えるので、クリッピングしたときの影響がPICOほど大きくはありませんが、上げすぎないようにしておくと良いでしょう。
状況は非常に限られますが、特にメガホンなどのワールドギミックは距離の減衰無しでダイレクトに響くので、音が割れていると感じやすいです。
PICO Connectのマイク設定
15dBブーストされる前提で、音量を下げておけばOKなわけです。
ヘッドセットのマイク「15~25」
デフォルトは音量50ですが、VRChatで使用するので音量を15~25ぐらいまで下げます。
声量のある方は15ぐらいと小さめ、かなり小声の方は上げるとしても30ぐらいが基準です。声が大きかった場合の微調整はVRChat側で行えますが、基本的にPICO Connectの音量は下げる方向で弄ってください。但し、15よりも下になってくると小さい音を無理やり持ち上げるような感じになるので、下げすぎないように。
普段の声量でテストを行って、OBSなどの音量メーター読みで-24~-18dBあたりを安定して出せるぐらいが目安です。個人差が大きい部分ですので、あくまでも目安です。
※OBSのレベルメーターで確認しながら設定する方法は後述します。
ヘッドセットのマイクのノイズ削減「オン」
デフォルトで有効になっているPICO Connectのノイズキャンセリング機能です。マイクブーストが同時に掛かるので、音量15~25というのはこれがオンになっている前提の目安です。このノイキャンは結構強力で、ノイズの考慮をしなくてもよくなるので、音量設定はPICO Connectのノイズキャンセリングをオンにしておいた方が比較的楽です。
ちなみにノイズキャンセリングによる遅延は0.1~0.2秒程度でした。(他のUSBマイクと同時録音をしてズレを確認)
VRChatのマイク設定(PICO Connect)
マイクの出力音量100%が前提の場合は「PICO Connectは15が目安」
VRChatのマイクの出力音量が100前提で設定する場合は、PICO Connectの音量は15ぐらいまで下げます。
これはPICO 4 Ultraの場合なので、PICO 4やPICO 4 Proなら20~30ぐらいが目安です。声の大きい人はもう少し下げる必要があると思いますので、PICO Connectの音量を1ずつ調整してみましょう。
ちなみにPICO Connectの音量を15未満まで下げてしまうと、VRChatのコンプレッサー処理で持ち上げるにしても小さすぎるようで、フレンド曰くなんとも言い難い違和感があるとの事でした。声質や相手との距離にもよるでしょうから、調整が難しいところです。
ノイズの抑制「オフ」
PICO Connectの方でノイズキャンセリングが動作しているので、VRChat側のノイズキャンセリングは使用しません。二重で動作させると声が上手く聞こえなくなる可能性があります。但し、あまりにも周辺ノイズが多い場合はあえて有効にしてみると上手くノイズキャンセリングできる場合があります。やむを得ない状況なら試してみましょう。
マイクが有効になる音量「1%」
PICO Connectのノイズキャンセリングでかなり抑えているので、部屋にひとりで居る場合は0%でも割と大丈夫ですが、小さい音も入りやすくなるので注意が必要です。
設定をしておきたい場合は1~2%ぐらいにしておきましょう。同じ部屋で家族が喋っているといった状況だともう少し上げる必要があるかもしれませんが、ここを上げてしまうと喋り始めが途切れる原因になるので、通常はほぼ設定しないような状態で問題ありません。
これらはあくまでも目安ですので、自分に合った設定を探してみてください。
OBSで確認しながら調節するには
できるだけ正確な値を取るために、OBSの「設定>音声>メーター>ピークメーターの種類」を「トゥルーピーク(CPU使用率高い)」に変更しておいてください。(一応ね)
音声デバイスは「PicoStreamingMicrophone」に指定します。
レベルメーターを確認して、いつも通りの声の大きさで話して「-24dBあたり」となるようにPICO Connectのマイク音量を下げてください。(およそ15~20ぐらいになるはず)
PICO Connect側でマイクブースト処理が入っているようなので、既に音の密度が高い状態になっています。そのため、ピーク付近を狙うと音が割れる危険があります。音量はかなり控えめで大丈夫です。
以下の画像は、VRChatのマイク音量が100という前提の設定例です。(※VRChatを2つ起動して比較)
声質によっては-24dBではなく-18dBぐらいを狙っても大丈夫な場合があると思いますが、控えめの設定を心掛けましょう。
ちなみにOBSデフォルトの「サンプルピーク」設定ではグラフの見た目が異なります。「トゥルーピーク」のままだとCPU負荷が掛かるので、音量設定を終えたら戻しておいても構いません。
動画で音割れ(クリッピング)する様子を観る・PICO Connect編
昔、色々と設定を試していたときの動画です。音が割れる様子だけ分かれば十分ですので、動画内の設定値はあまり参考にしなくてもいいです。
Virtual Desktopのマイク設定
Virtual Desktopの音量は10%まで下げること
Virtual Desktopの場合、VRChat側のマイク音量が100である前提で調整すると、Virtual Desktopの音量を最低値の10%まで下げても音が割れてしまいます。
これは最低音量でも-12dB付近まで音が入ってしまうため、VRChat側で15dBブーストされてクリッピングするのが理由です。(※声の大きさは個人差があります)
VRChatのマイクを100から下げて対策
Virtual Desktopの音量10%設定で-12dBぐらい出ているので、VRChat側でどのぐらいマイク音量を下げれば良いのかを考えてみます。
VRChatのマイク設定の仕様は正確に分かりませんが、音圧レベルのdB=20log(A)という公式に従って計算すると、25%設定は20log(0.25)となります。log(0.25)が-0.60206ぐらい。
更に20(-0.60206)を計算すると-12.04となって、 25%は-12.04dBになるはずです。多分。
Virtual Desktopの音量10%設定で-12dBぐらい出ているので、VRChatの25%設定で-12dB分足すと-24dBになります。VRChat側のブーストを見越してマイク入力を-24dB付近にしておけば良さそうという考えに基づくと、ちょうど良いぐらいですね。
| VRChatのマイク音量 | 減衰量 |
|---|---|
| 15% | -16.48dB |
| 20% | -13.98dB |
| 25% | -12.04dB |
| 30% | -10.46dB |
というわけで、実際に聴き比べてみたときの目安としては以下の通りです。もちろん個人差がありますから、あくまでも目安です。
| Virtual Desktopの音量 | VRChatのマイクの出力音量 | |
|---|---|---|
| パターンA | 10 | 25~30 |
| パターンB | 15 | 20~25 |
| パターンC | 20 | 15~20 |
PICO Connectのときとは異なり、Virtual Desktop側ではマイクブーストが入らない?ようなので、Virtual DesktopとVRChatの音量の関係は概ね比例するようです。
Virtual DesktopのNoise cancellationは使用しない
Noise cancellationを使用すると、明らかに自分の声が入りにくくなりました。こちらは使用せず、VRChat側のノイズキャンセリング(RNNoise)に頼った方が良さそうです。
動画で音割れ(クリッピング)する様子を観る・Virtual Desktop編
比較
こちらも動画の内容が古いです。
マイクが遅延しないように予防をする
PICO Connect使用時に、VRChat上でマイクが0.5~1秒ぐらい遅延する場合の対策です。適切な設定を行ってネットワークも良好な状態であれば、アバターのリップシンクが0.1秒以内に動作する状態を維持できます。
VRChat自体の遅延について
まず大前提として、VRChatで会話するときの遅延は避けることができません。ワールドを立てるときに海外のサーバーを選んでいると大きく遅延するのはもちろんのこと、日本サーバーを選択していても経路によっては数百msのネットワーク遅延が起こる事があります。(※修正されているかは不明)また、Pingが僅か数十ms程度であっても音声が届くまで0.5秒程度掛かるようです。
PCからPICOへの遅延をなくしても、VRChat同士で0.5~0.7秒は遅延する
QuestやPICOのような無線のHMDを使ってお互いにVRChatをしたとしましょう。適当に見積もってHMDのマイクからPCまで0.1秒、VRChatの処理とネットワークを経由するのに0.5秒、PCからHMDのスピーカーまで0.1秒掛かったと仮定すると、手元のマイクから発した自分の声が相手のスピーカーに届くまでの間に0.7秒掛かるということになります。携帯電話並の違和感のない通話をするには150ms(0.15秒)以内の遅延に抑える必要があると言われていますので、結構厳しいです。
VRChatの2025年3月26日の更新(Build 1606)で声の遅延が受信側が最大で250ms短くはなっていますが、それでも0.5秒ぐらいは掛かるので、Discordのような低遅延ボイスチャットとは程遠いです。まぁ、これでも以前よりは会話がしやすくなっているとは思います。多分これまではトータルで1秒ぐらいは掛かってたんじゃないかなと……。
Reduced player voice latency.
By up to 250ms, on the receiver’s side.
マイク遅延の確認方法
VRChatにログインして、ミラーの前で喋ってください。0.1秒以内にリップシンクが動作してアバターの口が動けばマイクが遅延していない状態です。
次にワールドを数回移動してから再度ミラーの前で確認をしてください。先程と異なり、恐らく0.5~1秒程度遅延してリップシンクが動作するはずです。以下で紹介するのはこれの回避策となります。
「このデバイスを聴く」を使って永続化する
「このデバイスを聴く」を使って、適当なデバイスにマイク音声を流しっぱなしにすることでも回避可能です。特に不都合がなければ、こちらの方法を設定しておくのが最も楽です。
「Windowsの設定>システム>サウンド>サウンドの詳細設定」と辿ると「サウンド」の詳細設定ウィンドウが開きます。「PicoStreamingMicrophone」のプロパティを開いて、「このデバイスを聴く」に適当なデバイスを設定するだけです。
「このデバイスを聴く」を設定する先のデバイスの候補として、「Steam Streaming Speakers」や「Steam Streaming Microphone」辺りが挙げられます。Steamがインストールされていれば自動的に用意されていることに加えて、これらはPICO Connect接続中は使用しないデバイスなので、ループして自分の声が返ってくることはないはずです。もちろん、VB-Cableなどの仮想デバイスを新しく用意しても構いません。
「Pico Streaming Speaker」はPICOのスピーカーに声が返ってくるので選ばないでください。
既に遅延している場合は繋ぎ直すか、ノイズキャンセリングのオン・オフを数回試す
PCと接続した時点でマイクが遅延してしまった場合は、左手コントローラーのメニューボタン2回押しでデスクトップ表示に戻ってPCと再接続をするか、PICO Connectの「ヘッドセットのマイクのノイズ削減」を数回ほどオン・オフすると戻ります。(大体3~5回程度、ひと呼吸置いて切り替えがおすすめ)
プレイ終了時は必ずPICO Connectを閉じる・またはプレイ直前に起動すること
現在PICO ConnectにはSteamVR実行中(VRストリーミング中)にハンドルリークする不具合が確認されています。毎秒およそ10ハンドルずつ消費して、PICO Connectを終了するまで解放しません。これはAMD・NVIDIA関係なく発生する不具合です。(※PICO Connect 10.6.6・RTX2080/RX7900XT/RX9070XTで確認)
VRが実行可能なPCであれば連続8時間程度は問題なく動作することを確認していますが、PICO Connectを立ち上げっぱなしにしたりそのままPCをスリープにしたりする方は、次回接続時に問題が発生しやすくなる可能性があります。
これがマイク遅延や予期せぬ切断、クラッシュなどの原因になり得るため、プレイを終えてSteamVRを閉じる際には、必ずPICO Connectも終了してください。
また、PICO Connectを終了したつもりでも「タスクトレイに最小化」している可能性があるので、「終了時にシステムトレイに最小化」は使用しないことを強く推奨します。
PICO Connectでマイク遅延が発生する理由について
VRChatでワールド移動を行うと、初期化中にマイクのバッファが蓄積されてしまうのが主な原因です。
良好な状態で大体0.1秒ぐらい
PICOからPCまでのマイク遅延は本来0.1秒程度で済みます。PICO Connect経由のマイクをUSBマイクと同時に録音を行ったところ、PICO Connectのノイズキャンセリングを有効にしていても0.1秒の遅延となりました。(※自分の声を確認しながらボイスチェンジャーを使いたいという人にとっては0.1秒程度の遅延でも致命的なので、これはボイチェンしない前提での話です。)
VRChatでワールドを移動すると、その間マイクが使用されなくなる
まず、VRChatでワールド移動する際はマイクが使用されなくなるので、ワールド移動中はタスクトレイのマイク使用中のアイコンが一旦消えることが確認できます。



次に、ワールド移動を短時間で複数回行った後にWindowsのマイクアクティビティを確認してみると、確かにマイクアクセスの要求がインスタンスに入ったときに行われているのが分かります。
VRChatから再度マイクが呼び出されてアクティブになったときにマイク遅延が発生します。これの対策として、「このデバイスを聴く」で他の音声デバイスにPICOのマイクを流しっぱなしにすることで、常にマイクを使用している状態を維持しておけば良いわけです。
詳細な動作検証レポートについて
この件について検証を行ったレポートが、2026年5月14日に公開されていました。
ざっくりとした内容としては、PICO ConnectはVRChatのワールド移動時にビデオチャンネルの再構築を行いますが、音声処理も同じキューに積まれているため、再構築が終わるまでマイクの処理が順番待ちになってしまってバッファが溜まるようです。
マイク遅延の流れ
- VRChatでワールドの移動を開始する
- SteamVRの状態が変化することで、再構築のトリガーとなる
- VRChatはワールド移動中にマイクデバイスを閉じる
- Windows側では「マイクを要求するアプリがない」状態になる
- 但しPICO本体からはマイク音声が送り続けられる
- PICO Connectがビデオチャンネルの再構築を行う
- ServiceMainをビデオチャンネルの再構築中で占有(タスクの遅延が発生)
- 並列処理してないため、音声処理が順番待ちとなる
- その間、PICOから届いたがまだ処理されていないマイク音声がバッファに溜まる(許容する最大遅延時間100ms、 最大バッファーサイズ19200サンプル≒400ms)
- ワールドJoin後にVRChatがマイク入力を要求するが、溜まったバッファから読み込むので大きく遅延する(合計するとおよそ400~500ms)
(max_delay=100 ms, max_buffer_size=19200なので、PicoStreamingMicrophoneの48kHzで計算すると19200/48000=0.4sとなります。)
PICO Connect Microphone Latency Accumulation in VRChat https://gist.github.com/fz6m/337aa44c27a7bde449ccff0e352f3040
「このデバイスを聴く」を使用した場合
「このデバイスを聴く」やOBSなどでマイクを使用している状態であればマイク音声の行く先があるので、ビデオチャンネルの再構築中にバッファが溜まることがなくなります。
- VRChatでワールドの移動を開始する
- SteamVRの状態が変化することで、再構築のトリガーとなる
- VRChatはワールド移動中にマイクデバイスを閉じる
- 但しWindows側では「このデバイスを聴く」やOBSがマイクを使用している状態
- PICO本体からマイク音声が送り続けられる
- PICO Connectがビデオチャンネルの再構築を行う
- ServiceMainをビデオチャンネルの再構築中で占有(タスクの遅延が発生)
- PICOからのマイク音声は「このデバイスを聴く」やOBS側へ常に届いている状態(バッファに溜まらない)
- ワールドJoin後にVRChatがマイク入力を要求する(マイク遅延は蓄積されていないが、許容する最大遅延時間が100msなので0.1秒程度の遅延は常にある)
ネットワーク側の問題であることも
例えばWi-Fi接続が安定せずストリーミングの映像が引っかかるような事が何度か起こると、音声遅延が蓄積されてしまう可能性があります。また、Wi-Fiに問題があると、接続時点で既にマイクが遅延している状態になりやすいです。
Wi-Fi接続が途切れがちでしばらく使用していると遅延してくる場合は、一度PICO ConnectやVirtual DesktopからPICO本体を切断してから再接続を行うと改善する可能性があります。PC側のPICO ConnectやVirtual Desktop、SteamVRを終了しないように気をつけておけばちゃんと戻ってこられます。
あるいは前述したように、「PICO Connectのヘッドセットのマイクのノイズ削減」スイッチを操作するとリセットが掛かるような挙動をするので、何度かオン・オフを試してみてください。
QuestやPICOで遅延が起こる事自体は、Wi-Fi接続でVRストリーミングをするときの一般的な問題です。関連する情報として、Virtual Desktopのノイズキャンセリング機能は無音の送信を続けてしまうことを避けて、遅延を軽減するという目的もあるようです。
ネットワークの問題かどうかは、USB接続での動作を確認することでも判断できます。PICO Connectの設定を見直すという場合は、フレームバッファリングがデフォルトで有効なのでそちらをオフにして様子を見ることもできます。しかし、それらで改善するようであればネットワーク機器の構成やネットワーク設定の根本的な見直しをする必要があるかと思います。
VRChat内での聞こえ方を確認する
マイクテスト機能を使う
VRChatでの聞こえ方を確認する簡単な方法です……が、あまりアテに出来ない感じがします。
ビルド1695以降、VRChatの設定内にマイクテスト機能が搭載されました。自分の声を録音して再生することができます。ワールドの設定や相手との距離によって聞こえ方に違いはありますが、ここでは反映されないようです。
録音時に波形を見る事ができます。割と控えめにしても大丈夫です。フレンドに確認してもらうのも大事ですが、まずはVRChat内のマイクテスト機能を上手く活用してみてください。
ローカルテストで確認しよう
VRChatを2つ起動して、どのような声が聞こえてくるか確認する方法です。
アバターではなくワールド用のプロジェクトを作成してテストビルドするという手段を用いると、VRモードとデスクトップモードのローカルテスト用のVRChatを同時に起動できます。(もちろんデスクトップモードを2窓で立ち上げても構いません)
ローカルテストなので、VRChatアカウントは1つでも大丈夫です。
まず、アバターのアップロードをするときと同じようにUnityを使用します。ワールド用のVRChatプロジェクトを作成して、そのままVRChat SDKのBuilder画面を出します。VRで動かす準備をするために必ずPICO Connectを接続しておいてください。
「Force Non-VR」にチェックが入っているとデスクトップモードで起動します。まずは「Build & Test Your World」に設定してBuild & Testボタンを押してVRChatを起動してみましょう。
VRChatが起動できたのを確認したら、VRChat内でマイクのミュートをしておいてください。今度は「Test Your Last Build」に変更します。
VRモードのまま2つ起動することはできませんので、1つ目のVRChatをVRモードで起動している場合はForce Non-VRにチェックを入れてからTest Last Buildボタンを押します。既に1つ目がデスクトップモードで起動していた場合はチェックを外してからVRモードで起動します。(Force Non-VRのチェックの有無は手順が逆でも大丈夫だと思います。)
PICOを装着して、少し後ろに下がるともうひとりの自分がそこに立っているのが分かると思います。(エラーアバターになっている場合もあります)
VRモードとデスクトップモードのどちらもPICOのマイクを使う設定になっている状態ですので、VRChatの設定で片方がミュートになっていれば声が二重に聞こえてくることはないはずです。
アバター同士が重なるほどの至近距離に移動したり、普段フレンドと会話をするぐらいの距離に移動したりしながら、マイク音量の調整を行います。コンプレッサーやリミッターなどの影響で、設定音量の割に声が大きく聞こえるのが分かると思います。また、声の劣化具合も確認できますので、イコライザー調整をする場合もローカルテストが役立つはずです。
但し、これは1台のPCで行うローカルテストなので、ネットワークを経由して相手の元に届いたときにテスト時と全く同じ聞こえ方をしているとは限りません。一応PC2台で確認したときと変化がないようでしたが、ローカルテスト後は念のため複数のフレンドに声を確認してもらうことをおすすめします。(いくつかのワールドで試した方が良さそう)
PICO Connectのノイズキャンセリングを「使用しない」場合は?
「ヘッドセットのマイクのノイズ削減」を使用しない場合、環境ノイズがそのまま入り、マイクブーストも掛からなくなります。上手く声を拾ってくれない場合もこちらで対応できる場合があります。
「ヘッドセットのマイクのノイズ削減」をオフにしておけば、非常に小さな声や、少し離れた位置からでも声が入るようになります。「声の減衰」もしなくなるので、歌を歌ったりしたい方や別のノイズキャンセリング機能を利用したい方向けです。
余談ですが、ヘッドセットを外して離れた位置から話したときに一瞬だけ声が途切れる事がありました。これについてはマイクそのものの途切れではなく、「デスクトップストリーミング時に起こりやすい一瞬の途切れ」である可能性が高そうです。SteamVRを起動して、VRストリーミングに切り替えたところ音が途切れにくくなりました。(※上の動画はデスクトップストリーミングの状態で録画したものです)
PICO Connectのマイク設定(ノイキャンなし版)
ヘッドセットのマイク「30~40程度」
ノイズキャンセリングを使用しない場合はブーストが掛からない分マイク音量が小さくなるので、30~40ぐらいまで上げる感じになりそうです。こちらの目安も-24dB付近です。
レベルメーターを見るついでにOBSのモニタリング機能などを活用し、声やノイズの入り具合を確認しておきましょう。無線の状態やストリーミングに問題がないにもかかわらず、声や周囲の雑音が常に途切れ途切れであったり、明らかにおかしな状態であれば初期不良や故障を疑ってください。
ヘッドセットのマイクのノイズ削減「オフ」
PICO Connectのノイズキャンセリングを使用しない場合なので、オフにします。
今のところPICO Connectを使用するときに限り、「PICO本体側のノイズキャンセリングも同時にオフに」できます。ALVRやVirtual DesktopではPICO側のノイズキャンセリングを完全にオフにはできませんので、声を伸ばすと2~3秒でノイズ判定されて大きな減衰が発生します。
VRChatのマイク設定(ノイキャンなし版)
マイクの出力音量
こちらも出力50%ぐらいにしておくと、ここから上げたり下げたりして調整をしやすいと思います。PICO Connectのマイク(ノイキャンなし)が30ぐらいなら、VRChat側は多分100で十分な音量になります。
OBSのレベルメーターを参考にして予め-24dB付近となるよう調節した場合は、VRChatのマイク音量は100のままにしておきます。声が大きいと言われたときに少し調節できれば十分です。
ノイズの抑制「必要に応じてオン」
自前でノイズキャンセリングを用意しない場合はここをオンにしておきます。VRChat側のノイズキャンセリング(RNNoise)を使用しないと、PICOのスピーカーから聞こえる他人の声がマイクに入ってしまう可能性があります。自分の声がノイズ判定されてしまう方は、VRChatの「ノイズの抑制」はオフにします。
マイクが有効になる音量
使用するノイズキャンセリングの具合に応じて調整します。1%の設定でも声が途切れる場合があるので、0%の状態にしておいて別途用意したノイズキャンセリング側で調整を行うのが無難かと思います。具体例を出すのが難しいので上手いこと頑張ってください……。
スピーカー経由で声が返ってきてしまう問題については、PCやPICOにBluetoothイヤホンを繋いでしまって、PICOのスピーカーから音を出さないようにするのも手です。
Voice Clarityは動く?
Windows 11の新機能である「Voice Clarity」の「音声フォーカス」でノイズキャンセリングが利用できるようです。
しかし、PICO Connectのマイクでは動作しないように感じられます。まだVoice Clarityを利用できないPC環境も多くありそうです。DJI Mic Miniなどでは動作しましたが、他のノイズキャンセリングと同様に当面の間は本記事内で検証はしない予定です。
【コラム】VRChat内での音質劣化について
ボイスチャット品質にエンコードされて相手に届く(イコライザー設定について)
VRChatに入力した自分の声は、非常に小さく圧縮されて相手に送信されます。手元で確認したときと全然違う声が相手に聞こえるのは、恐らくこの部分が大きく影響しています。低ビットレートでのエンコードとなるため、かなり音質が劣化するようです。とはいえ、ここについての知識も乏しく手元ではちゃんと検証できていません。
これについて調べてみると、かなり詳しく検証している方がいらっしゃいましたのでご紹介いたします。配信関連の音響設定に関するアドバイスや研究をされているようで、大変詳しい方だとお見受けします。
どのような設定でエンコードされるのかについては、YouTubeの動画説明文から引用すると以下の通りです。
●ボイストラックのエンコード仕様について
一聴してわかる通り、VRCのボイス用音声チャンネルは サンプルレートとビットレートが非常に低いようです。
測定結果と、VRCのボイス機能実装(Photon Voice)等からみて おそらく下記の設定であると思われます。
コーデック:Opus voip
サンプリングレート:24kHz
ビット深度:16Bit
チャンネル数:1ch
ビットレート:30kbps (Photon Voice標準設定)この設定はPhoton Voiceのデフォルト設定です。
手元で用意したUnity上の試験環境にて実施した Photon Voice2を用いた試験でもほぼ同じ音響特性の 測定結果が得られたため、上記設定である可能性が高いです。一般的な音楽ではサンプリングレートが44.1kHz、或いは48kHzであるため、 この半分程度であることがわかります。
同じくOpusを用いているDiscordのデフォルトが 「 48kHz / 64kbps 」であることを踏まえると、 その半分以下の品質ということになります。
VRChat 音質改善EQ 比較試聴動画★本動画がモノラルであることは意図的なものです★★字幕を有効にしてご視聴下さい★============================多くの人に使われている無料の仮想ミキサである、「Voicemeeter Banana」を用いて、VRCh...
PICO 4 UltraのマイクとDJI Mic Miniを比較して大差ないように感じるのも、このあたりの関係がありそうですね。Discordの半分以下の品質になってしまうことを考えると、DJI Mic Miniよりも高いマイクを使っても、VRChat内で良い感じの声になることを期待できるかは怪しいところです。


YouTubeの動画説明文にはより詳細な説明がありますので、そちらも是非読んでみてください。イコライザー設定に関する投稿がリンクされていますので、その一部を引用しておきます。
EQの設定ファイル置いときます。
①設定したい出力デバイスのEQボタン右クリック
②ウィンドウタイトル右クリック
③Load EQ Settingshttps://t.co/2HWRJvuXDi pic.twitter.com/E01fzPJ3xi— ✞きょう✞ (@2ZGRG) February 27, 2022
令和最新版
VRChat内でマイクを用いてライブする際の音質を改善できるEQカーブ pic.twitter.com/itUboBGOns
— ✞きょう✞ (@2ZGRG) November 1, 2024
もちろん、PICO 4 Ultraのマイク特性に合わせて調整は必要だと思いますが、イコライザーを使ってマイクの補正もしたいならこれらの情報が参考になるはずです。たとえ音割れしてなくてもガビガビとした声になりやすい方は、イコライザー調整で抑えられるかもしれません。
VRChat側では改善に取り組んでいる
VRChatでは、ボイスチャット周りの改善を予定しているようです。実現するかはまだ分かりませんが、音声処理を行わないモードなども提案されているとのこと。



【コラム】PICOでの音声処理の流れについて
PICO 4 Ultraにおいては、おおよそ以下のような流れでマイクの処理が行われているものと考えられます。
①のPICO OSで動作するノイズキャンセリングについては明確な記載がありませんが、簡易的なノイズキャンセリングが機能しているような挙動を確認できました。声を伸ばすなど同じ音を出し続けると2~3秒でノイズ判定されて音の減衰が入ります。ノイズキャンセリングを設定していないALVRやVirtual Desktopでも同様の減衰が確認されたので、基本的にはオフにできない機能です。(OS内に設定項目が存在しない)
②ではPICO Connect側で強力なノイズキャンセリング処理が入ります。恐らくPC側で処理していると思われますが、こちらも詳細は不明です。ノイズキャンセリングと同時にマイクブーストも掛かるので、デフォルトの音量50でも結構大きな音になります。PICO Connectの設定でノイズキャンセリングをオフにすると、①のPICO OSでのノイズキャンセリングも同時にオフになるようです。今のところこれが完全にノイズキャンセリングをオフにする唯一の方法となります。
Windows上で簡単に確認できるのはPICO Connectで処理が行われたマイク音量まで(図では②に該当)なので、この時点で音割れせず程よく聞き取りやすい音量に調整してしまうと、③のVRChat側でブーストされたときに音が割れる可能性があります。
VRChatによる15dBのブーストについては最後に音声がミックスされる段階で行われるので、各クライアント側で処理されています。相手側の「スピーカーやイヤホンの音量設定が100のまま」ってことはあまりないとは思うので、常に爆音ボイスを聴かせているということはなさそうです。しかし、デフォルトのマイク音量設定だと歪んだ感じの声や、ガビガビとした声となった状態で相手に聞こえている可能性が高いのは容易に想像ができますね。
【コラム】QuestとPICOのマイク入力比較
Virtual Desktopの音量を100%に設定した場合、QuestとPICOでどういった差があるかを確認しました。
また、Virtual Desktopだけでのマイク比較は公平ではない可能性があるので、ALVRでも同じ傾向にあることも確認しました。
Meta Quest 2の場合
Quest 2の場合は、気持ち大きめの声を出しても半分ちょっとぐらいでした。Virtual DesktopとVRChatの両方を100に設定していても、そこまで酷く割れることはなさそうです。そのため、Questでもマイクインジケーターが半分を超えないような音量調整にしておけば、メガホンなどのギミックを使ってもVRChatのコンプレッサーやブーストで音が潰れたりせずに済むと思います。
OBSで確認すると、-12dB付近で入力された声がVRChat側で15dBブーストされてクリッピングした形跡がありました。Quest側でコンプレッサー処理などが入らない都合上、音の密度がそこまで高くならず、多少のクリッピングがあっても音割れしたように聞こえにくいのだと思います。
ALVRではVirtual Desktopと比べてマイク音量が小さめでした。ちょっと声を張り上げても以下のようなレベルです。
PICO 4 Ultraの場合
PICO 4 Ultraの場合、Virtual Desktopの音量が100%だと余裕で振り切れます。Virtual Desktopのマイク入力がそのままパススルーされてるのかは分かりませんが、ゲイン調整があったとしてもPICO向けの調整となってない感じはします。
OBSで確認すると、Virtual Desktopから送られてきた時点で音割れしています。クリッピング防止の処理でVRChat側の音量は一見小さく見えていますが、最初から歪んだ音が入っている状態なのでNGです。
ALVRでも試してみたところ、Virtual Desktopよりは小さいのですがQuestと比べてマイク音量が大きい傾向は一緒でした。ALVR(VB Cable)のマイク入力の場合は、Virtual Desktopほど簡単に振り切れるというわけではなさそうです。
前述したように、Virtual Desktop側を10%まで下げて、更にVRChat側の音量も30以下に絞ると良さそうです。
PICOの音が割れやすいのは、そもそもQuestと比べてマイクの入力音量が明らかに大きいという理由があるようです。特にPICO 4 Ultraにおいては、正面のカメラで空間ビデオを撮影する機能があるので、周辺の音も記録できるようなマイク構成になってそうな感じがします。
【コラム】PICO 4 Ultraのマイク位置について
PICO 4 Ultraのマイクは4つ搭載されています。口元に左右2つしかなかったPICO 4から変更されています。
便宜上適当に番号を振ってありますが、PICO Connectでは口元の①と②がメインのマイクとなっているようでした。③と④は「ヘッドセットのマイクのノイズ削減」をオンにしていると機能しないか、ノイズキャンセリング用途に使用されているかのどちらかだと思われます。
「ヘッドセットのマイクのノイズ削減」をオフにすると、側面にある③④のマイクもステレオマイクとして動作します。それぞれ左右のチャンネルに振り分けられています。そのため、うっかり触ったりするとノイズが混入する原因になりますのでお気を付けください。尚、VRChatでは左チャンネルしか入力されないので、ノイキャンなしのときは図の③である左側マイクに触れると雑音が入ります。ステレオマイクである利点は少ないです。
Virtual Desktopでは①~④全てが同じ1チャンネルにまとめられているように感じられました。……もしかして、Virtual Desktopの音量だけが異様にデカいのはこのせい?
どうにもならなかった方は
手元の3台ある検証環境(5800X3D/RTX2080・7950X3D/RX7900XT・9800X3D/RX9070XT)ではマイクの遅延対策が有効であることを確認しています。しかし、ネットワークなどの都合上どうにもならない場合は、外部マイクに頼ることになります。
DJI Mic Miniを試したときのレビューを用意してあります。PICO 4 Ultraとほぼ変わらないぐらいの音質で使えます。


DJI Mic Miniとの比較に挙がることがあるHollylandのLark M2も良い勝負らしいです。
2025/04/27:マイクの遅延についても追記
2025/05/04:ノイズキャンセリングを二重に使用する場合や、マイクが有効になる音量について補足
2025/05/24:マイク遅延について追加情報があったので追記
2025/08/30:VRChatの新機能であるマイクテスト機能について追記
2025/12/01:マイク音量の目安を更新
2025/12/02:記事全体の見直しを行い、参考動画などの追加情報を幾つか追記
2026/03/28:古い情報を整理し、OBSのレベルメーターでの目安について追記
2026/04/10:より細かな内容を追記
2026/04/11:PICO 4 Ultraのマイク位置について追記
2026/05/17:遅延の仕組みについてレポートが公開されていたので引用
2026/06/02:記事の構成を変更















































