ジャパネット専売かつ2019年11月発売のモデルでありながら、Y!mobileのアウトレット1円セールで再注目されることとなった「arrows J」のレビューです。本文を読むまでもないようなタイトルですが、興味のある方はお付き合いください。
ベースモデルがSoftBankから発売されているarrows Uとなっており、同じODM生産モデルの親戚にarrows RXやarrows M05などがあります。(※arrows Be3のみ異なる)
2021年も終わろうとしている今、arrows Jを購入して使うのはどうなのかと思うところはあります。アウトレット商品のため、保証がなく初期不良のみの対応になることも注意が必要です。「機種変更でも1円」だしな~と、とりあえず飛びついてる方は理解しているかと思いますが、2019年当時においても性能は低めの機種となります。
高めの年齢層がターゲットとなっている本機が今どの程度使い物になるのか、軽くレビューしてみようと思います。
良かったところ
機種変更1円で安い- 丈夫で持ちやすいデザイン
- 程よい大きさで見やすいディスプレイ
- ちゃんと撮れるポートレート撮影
悪かったところ
- OSバージョンはAndroid 9止まり(セキュリティパッチは2022年2月現在「2021年11月1日」V18R022B)
- 今から使うには苦しい性能(2019年発売、中身は2018年相当)
- 指紋認証などは無し
ジャパネット専売のarrows
ジャパネット要素はアプリがひとつ入っているだけで、これといってなにかがあるわけではないです。
arrows J独自のカスタマイズは、時計ウィジェットの午前・午後表記があることや、「かんたんセット」があることぐらいでしょうか。
arrows Uがベースになってはいますが、Android 10へのアップデートはなく、Android 9となります。
大きく見やすいがコンセプト
画面サイズは約5.8インチとそこそこ大きめ。そこに「シンプルモード」が追加され、大きな表示とフォントサイズでの利用を想定されています。
また、フォントはUD書体である「UD新丸ゴ」が採用され、文字の区別がしやすくなっています。
解像度はFHD+となる2280×1080です。HDだったarrows Be F-04Kと同じSoCを使っているにもかかわらず、解像度が向上しています。これはSnapdragon 450で扱える最大サイズの解像度となります。
比較的大画面で高解像度となるので、処理能力的な不安はありますが、おかげで見づらいということはありません。
指紋が目立ちにくく、スリムなデザイン
マットな感じのコーティングをされた滑りにくいデザインです。昨今の端末にありがちなガラスや光沢のあるプラスチックではありませんので、指紋が目立ちにくいです。ノッチのあるデザインは、今となっては古臭くて邪魔な感じがしますね。電池残量のパーセント表示を加えるとアンテナピクトなどが追いやられて消えるので、実際邪魔なんですが。
ストラップホールが付いていたり、イヤホンジャックがあったりと機能性も申し分ないです。また、Googleアシスタントを呼び出すキーは端っこにあり、出っ張りもないのでうっかり押してしまうことはなさそうですね。
丈夫なボディではあるが……
IPX5・IPX8 / IP6Xの防水防塵に加え、独自にMIL規格に対応し、耐衝撃性能が備わっています。残念ながら同じミドルレンジモデルであるarrows Beシリーズのように、高温・低温動作などの計23項目対応ということはなく、耐衝撃性能のみとなります。
ドコモ向けのarrows Be以外はODM生産ということで、ハードウェアの設計は海外となっており、コストの差などがこういう点で表れてきているのかなと感じます。
しっかりとしたポートレート撮影
思いのほか良かったのはカメラです。いや、別に綺麗に撮れるわけではないのですが、意外性があった感じです。
補助カメラが搭載されているので、ポートレート撮影が行えます。広角や望遠といった別のレンズに切り替えるタイプの組み合わせではないので、実質的にシングルカメラです。ポートレート撮影モードでのぼかし具合は、最大の設定で撮影を行いました。
カメラのUIはほぼ何もないシンプルな設計になっています。露出とホワイトバランスを調整するボタンは設定で追加できますが、撮影モードの切り替えボタンなどはありません。設定画面を開いてからポートレート撮影モードに切り替えるので、ワンタップで切り替えはできないのですが、ターゲット層が高年齢なのでこのぐらいが丁度いいのかもしれません。
尚、暗所撮影性能は皆無です。
写り具合は安スマホにありがちな仕上がりといった感じがしますが、変に背伸びをしていない価格相応のカメラであると思います。料理が青白くてメシマズな写りになることはないですし、ピントが合いにくいということもありません。安価なカメラとしてはちゃんとした作りであると思います。
また、わざわざ補助カメラを乗せただけのことはあり、ポートレート撮影は思っていたよりも良くできています。この手の撮影は、境界線が上手く撮れずに滅茶苦茶になりがちですが、不自然さも少なくて良好であると感じました。
性能、足りる?
SoCはSnapdragon 450が搭載され、メモリ容量は3GBです。内部ストレージも32GB(外部ストレージはmicroSDXC 400GBまで対応)と、2021年現在においては心許ない性能・容量となっています。発売は2019年ですが、中身としては2018年のモデル(F-04K)と何ら変わりがないです。
所謂、「電話とブラウザ・メッセージアプリぐらいしか使わないよって人にオススメ」と言われるようなスペックです。しかし、ブラウザは決して軽いものではありません。レスポンスが悪いと、押したかどうか判らず数回タップしてしまったり、誤操作をしてしまったりします。
ブラウザを利用していると、やはりスクロールがもたつきがちです。ページの読み込みもそれなりに待たされます。3GBあるメモリは、目一杯アプリを削った状態で1GB程度の空きがあるので、常駐アプリなしでシングルタスクな運用をする分には問題ないというレベルです。サブ機未満の使い方であれば、使い道があるでしょう。
そんなわけで、やはりメインで使うべきではないと思います。arrows Jがターゲットとしている高めの年齢層の方がミニマムに運用するような状況は考えにくく、正直なところ苦しいことでしょう。というのも、「電話やLINEしか使わないよ」と言いつつも、裏ではキャッシュレス決済アプリや漫画アプリなどが動いていたり、友人に教えてもらって入れたアプリなどが通知をバンバン飛ばしているということはよくあります。
長押し操作が遅い
初期設定では長押しの長さが「中」になっていました。恐らく、長めにタッチしがちなお年寄り向けの設定なのだと思います。
ユーザー補助から長押しの長さを「短め」にすることで、他のAndroidデバイスと同じ長さになります。
アップデート情報
Y!mobileのサポートページでは、2021年2月配信の「V14R018A」でアップデート情報が止まっていますが、2022年2月現在「V18R022B」が配信されています。セキュリティパッチレベルは2021-11-01です。
楽天モバイル動作可
SIMロック解除手続きを行ったので、楽天モバイルを試してみました。
楽天モバイルのSIMカードを挿入してAPN設定を行った後、Rakuten Linkにログインできることを確認しました。Linkを介さない通話・SMS共に動作しています。
arrows Jの対応周波数はLTE Band 1/2/3/8/28となっていますので、楽天モバイルはBand 3で接続が行えます。ただし、パートナー回線は利用できません。
楽天モバイルでのバッテリー持ちは微妙な感じがしました。バッテリー容量は2,880mAhですし、こんなものかなとは考えましたが、機内モードかつWi-Fiのみで軽く使っただけでも消耗が早いです。当初は楽天回線の電波状況の問題なのかとも思っていましたが、電波強度は十分にありました。
分かってる人のおもちゃ
ジャパネット専売だったものが機種変更でも1円ということで少し注目されましたが、2021年の末にもなって、これから真面目に使い始めるスマホではないことは言うまでもないでしょう。スマホ初心者であり、機種は絶対にarrowsがいいというのであれば、12月に発売される「arrows We」を選ぶことをオススメします。
過去にほぼ同等スペックの「arrows Be F-04K」を利用していたことがあり、大きな不満は感じていませんでしたが、そろそろ期限切れではないかなと。とりあえず1円で貰ってきたものの、代わり映えはしませんでした。おうちで使うおもちゃとしては丁度いいです。例えば画像ビューアーとか、お風呂用端末とか……。
タッチパネルの動作に問題はなく、持ちにくかったり操作しづらいということもありませんので、個人的にはXperia 8よりは使いやすいのですがね。(根に持ってる)