XiaoXin Pad本来の状態に戻す
お店側でグローバル版ROMが焼かれた状態で届くことの多いXiaoXin Padですが、機能面ではXiaoXin Pad本来の姿であるZUIの方がしっかりと作り込まれていて多機能だったりします。
しかし、単純にZUIのROMを焼いただけでは、最近導入されたリージョンチェック機構が働いて起動しなくなってしまう場合があります。中途半端にグローバル版化されているからですね。
今回はリージョンを変更し、最新のZUI 13ZUI 14で起動する方法を記載します。以降はXiaoXin Pad Pro 2020(TB-J706F)での説明となります。
細かい説明は端折りますので、実践する場合は全て自己責任でお願いします。
メリット
- グローバルROMと異なり多機能
- グローバルROM比でバグ少なめ
- 後入れでGoogle Play対応可
- Google Play 開発者サービスがプリインストール、Playプロテクト認定状態かつWidevine L1
- アプリロックやクリップボード通知などのセキュリティ機能
- ペンボタンの設定やカーソルの表示設定が可能
- ゲームモード搭載
- 擬似的なゲームコントローラー対応が可能
- 非PCモード時にフローティングウィンドウが使用可能
- PCモードの挙動も比較的安定
- ダークモードが正しく動作(グローバルROMでも最近直った)
- Android 12が使える(グローバルROMはAndroid 11のままサポートを終了)
デメリット
- 設定アプリ内は英語表記(システムUIは日本語化される)
- AOSP相当のマトモな通知(どうにもクセがあるように感じられる)
ZUI化前のXiaoXin Pad Pro 2020の状態
- 2021年3月にBanggoodで購入
- 店側でグローバルROMを焼かれて届いた状態
- Android 11 バージョン211226ROWが動作している
- ####6030#から国コードを日本に変更してPlayプロテクト認定が通っている
- WidevineはL1の状態
- ZUIを焼いてみると12.5以降リージョンエラーで起動しない(リージョンがグローバルになっている)(※国コードとは別)
以上の前提でZUI化を進めていきます。
大まかな手順
- 初期ROMをダウンロードして焼いておきます。
- FFBM Modeで起動してQCNファイルをバックアップします。
- バックアップしたQCNファイルをHxDで開き、「88 00 01 00 CA 1A 00 00 02」を検索し、02を00に書き換えて保存します。(リージョンロックの解除)
- 書き換えたQCNファイルを書き戻します。
- EDL Modeで起動し直して、ZUI 12.6のROMをダウンロードして焼きます。
- 起動を確認したらZUI 13へ直接アップデートをします。OTAをするか、予めOTAファイルをダウンロードしておいてリカバリーからsideloadして焼きます。
- 【追記】ZUI 14へOTAアップデートします。
詳細な手順
全データが消去されますので、初期設定は最後に行ってください。
初期バージョンのZUI ROMを焼く
(※初期版ではなく、いきなりZUI 12.6.133を焼いてしまっても大丈夫でしたが、リージョンチェックでOSが起動しないので慌てないように。)
ZUI 12.0.335のROMをダウンロードして展開しておきます。
電源オフの状態で、音量上ボタンを押したままUSBケーブルを接続してEDL Modeに入ります。(システム起動状態でadb reboot edlでも可)(不明なデバイスとなっている場合はQualcommのドライバを入れてください)
QFILを開き、「Configuration」でDownload Protocolを「0 – Sahara」Device Typeを「ufs」に設定してOKを押します。「Load Content …」からダウンロードしたファイル内にある「contents.xml」を選択します。
「Download Content」を押すと書き込みが開始されます。書き込み完了後に再起動する設定ではない場合は、電源ボタンを長押ししてリセットしてください。初期ROMはまだリージョンチェックが無いバージョンなので普通に起動します。
FFBM Modeで起動してQCNファイルを取り出す
電源オフの状態で、電源ボタンと音量上ボタンを同時押しして、Lenovoロゴが出たら電源ボタンだけ離します。(両方離しても良い?)
そうすると、FFBM Modeに移行するはずです。「Qualcomm HS-USB Android DIAG 901D」となっていればOKです。
QFILを開き、Toolsから「QCN Backup Restore」を開き、Backup QCNを選んでQCNファイルをバックアップします。
HxDというバイナリエディタでバックアップしたQCNファイルを開き、「88 00 01 00 CA 1A 00 00 02」を検索します。
検索に引っかからない場合は最後が02ではなく、00か01になっているかもしれませんので状況に合わせて検索します。今回はUnLock状態である「88 00 01 00 CA 1A 00 00 00」に書き換えます。(今回はZUIに戻したいので、既に00か01だった場合はQCNファイルは書き換えなくても良いです。)
- 00 UnLock
- 01 China
- 02 Global
(念のため、QCNViewで書き換えたQCNファイルを開き、NV items内の一番下にあるNV item: 6858が00から始まっていることを確認しておきます。)
書き換えたQCNファイルをRestore QCNを押してタブレットへ書き込みます。本来ならば、一度再起動してもう一度QCNファイルをタブレットから取得し、書き換わったことを確認するべきですが、今回は怠りました。
ZUI 12.6.133を焼く
OTAでバージョンを上げていくのは億劫なので、ZUI 12.6のROMをダウンロードして展開しておきます。(※最初から12.6を焼いた場合はQCNファイルを書き換えた後、ZUI 13アップデートへ進んでください。)
初期ROMを焼いたときと同様に、EDL Modeで起動し、展開したファイル内にある「contents.xml」を読み込んで、「Download Content」を押して焼きます。
ZUI 13.0.343へアップデート
多分このままでもZUI 13のOTAが降ってくるとは思いますが、ZUI 12.6.133からZUI 13.0.343へアップデートするOTAファイルをダウンロードします。
adb reboot recoveryしてRecovery Modeに入り、「Apply update from ADB」を選んでadb sideloadします。
【追記】ZUI 14へアップデートする
いつの間にかZUI 14(Android 12)がリリースしていました。
ZUI 13.1.551辺りまでアップデートをしないと、ZUI 14のOTAは当てられないようなので注意。順次アップデートしていきましょう。(12.6.133→13.0.343→13.1.551→13.1.572→14.0.193→14.0.280)
セキュリティパッチレベルは2023年5月1日でした。
ZUI化後の設定や機能紹介など(ZUI 13)
グローバル版でやれていたことはもちろん、ZUIでしかやれない設定が結構あるので(個人的に)気になるところを設定していきます。
日本語にする
英語か中国語しか選べないので、adbコマンドで日本語を有効にします。これを行っても設定アプリ内の殆どが英語のままですが、基本的に日本語で動作します。
adb shell settings put system system_locales ja-JP
再起動で適用されます。
Google Play ストアをインストール
適当にAPKを拾ってきてインストールします。
Android 5.0+でnodpiかつuniversalなものを拾ってきました。
Google Play 開発者サービスのアップデート
Playストアを開いて右上のメニューからアップデートを確認するか、URLを直接開くなどしてPlayストア上でアップデートをします。まだGoogleアカウントにログインしていなくてもアップデートだけは可能です。
アップデート後、再起動しておくことをお勧めします。(不安定になってトラブったので)
Googleアカウントでログインをする
設定画面、Playストア、どこからでも構わないのでログインします。
エラーが出る場合は、Google Basic Servicesを一度オフにして再度有効にする必要があるようでした。躓きポイントです。
設定 > Apps management > 右上の・・・ > Google Basic Services
ZUI ホームの設定
ホーム画面を長押しして設定を開くと、スタイルやレイアウトの変更が行えます。ドロワースタイルにしてみました。
ペンボタンの設定
設定 > General settings > Lenovo Pen
グローバル版と異なり、ペンボタンの割り当て変更とカーソルの非表示設定が行えます。お好みに合わせて設定しましょう。
周辺機器モードの設定
設定 > Advanced features > Peripheral Mode
マウスやキーボード、ゲームコントローラーなどを画面上にマッピングできます。GPD XPやGameSir X2とかでやってるようなやつですね。
インストール済みのアプリは下の方にトグルスイッチがあるので、個別に有効化します。
フリーフォームアプリなどの設定(One Vision)
Smart Split
ウマ娘 プリティーダービーなどの、「縦画面起動するアプリ」を横画面のまま利用する設定をここで行います。グローバル版のスマート ローテーションと比較すると、画面比率が異なります。
Freeform Apps
PCモードではない状態でも、アプリのフローティングウィンドウ化ができます。有効にすると、右端にスワイプで起動するアプリケーションバーが表示されます。
Free Split
3本指ダブルタップで画面分割ができます。
動作確認
独断と偏見で選んだアプリの動作確認をしました。
Playストア
Playプロテクト認定ステータスは通っていました。
開発者サービスはプリインストールみたいですし、XiaoXin PadはGoogleのリストに入ってるのだから、本来の状態であれば通るのでしょう。うん。Playストアは後入れですけど。
Amazon Prime Video
WidevineはL1のままでした。それはそれとして独自にホワイトリスト方式を採っているプライムビデオですが、「HD(高画質)」を選択可能でした。Netflixは契約してないので知りませんが、Playストアからインストールして起動することは確認しました。
ATOK Pro
専用のハードウェアキーボードを接続し、日本語配列設定にしても全角半角キーが動作しません。Alt + Spaceキーや変換キーも動作しません。IMEのオンオフが出来ず、日本語しか打てないのでGboardを使った方が良さそうです。
ソフトウェアキーボードしか使わないのであれば、これらを気にすることはありません。
Chrome
問題なさそうです。位置情報のパーミッションなどを求められたときに許可できない事がありましたが、Freeform Apps機能で表示されているアプリケーションバーのせいなので、一時的にオフにすればOKです。
CLIP STUDIO PAINT(バージョン1.11.8)
何故か「ご利用いただくための準備をしています。お待ちください…」の画面でバンバン落ちますが、根気よくリトライしました。
関係あるかは分かりませんが、Playストアのインストールと開発者サービスのアップデート後に再起動をしてなかったので、再起動をしたところちゃんと動くようになりました。再起動は大事です。
タブレットの再起動後は問題なく動いています。クリスタ側でカーソル表示が行えるので、OS側のカーソルが邪魔な場合は非表示にしておいた方が良さそうですね。
また、OS側でペンボタンの設定(割り当てなし)が行えるので、クリスタ側でペンボタンにツール変更などを割り当てても競合しません。
Gboard
現状、マトモにハードウェアキーボードを利用できそうなのがGboardです。
Gboard内で日本語と英語を設定しておくことで、「Shift + Spaceキー」で言語の切り替えができました。Gboardがインストールされている状態であれば、キー配列も日本語109Aにできます。但し、全角半角キーは動作しません。
Lenovo Project Unity
タブレットを同一ネットワーク上にあるWindows PCのサブディスプレイにする機能です。Microsoft Storeでアプリを入手してペアリングします。初期設定だと小さすぎるので、Windows側で200%スケールに設定しました。
起動時にアプリの更新を促されますが、Playストアでは更新できないので、「应用中心」アプリで更新します。
原神(バージョン2.5)
うわー、追加データが13GB強あるよ、デカすぎる……。
Snapdragon 730Gというスペックで原神が快適に動くのかはさておき、前述したマッピング機能は動いています。Bluetooth接続したXboxコントローラーでも遊べます。低設定+αぐらいで遊ぶのが無難かなと感じます。
ウマ娘 プリティーダービー
「Smart Split」の対象にしておくことで、横画面のまま起動ができました。Playゲーム経由でデータ連携もできます。
10:16で動作したグローバル版とは異なり、3:4の比率で起動してしまうため、レースやライブ時は縦画面のままにしないと横に引き延ばされてしまいます。相変わらずPCモードの状態では起動しません。
これは原神などもそうですが、課金は通信エラーが出てしまいました。翌日MatLogを入れて調査するぞと意気込んだら動くようになってました。なんで。
エラーになってからMatLogを入れてみるまで半日ほど期間が空いていますが、その間に追加で入れたのはGoogleアプリぐらいです。
アップデートと再起動をしておこう
さて、ZUI 13にしてから1日ほど経ちましたが、遭遇したトラブルは大方解決しております。ハードウェアキーボードがちょっと厳しいぐらいでしょうか。パフォーマンス面も問題ありません。
最初のうちはアップデートの確認と、再起動をしておいた方が良さそうですね。
XiaoXin Pad Pro(2020)はGoogle Playが……なんて言われていましたが、現在はサポート対象となっているため、ZUIのままだと使えないということはありません。グローバル版はバグが多く、アップデートが来ても既知の不具合が放置されているような状態ですので、ZUIに戻して使うのも悪くないと思います。
2023-12-19:ZUI 14への更新と、Googleへのログインについて追記