2024年12月5日、PICO Connect 10.3.10が配信されましたが、誤配信されていた10.3.9からの通知でアップデートすると中国版がインストールされます。公式サイトからインストーラーをダウンロードしてください。

本記事はPICO Connect 10.4.5での情報です(随時更新)
「PICO Connect」は「PICO OS 5.9.0」以降で利用できるようになった、PICOデバイス向けの新しいストリーミングアプリです。これは、これまで利用できた「Streaming Assistant」の後継アプリとなります。
「PICO Connect」ではPCのデスクトップに接続して操作したり、SteamVRのゲームをストリーミングで楽しんだりすることができます。早い話が、無料で「Virtual Desktop」と同じようなことができるアプリです。
今回は、「PICO Connect」が「Virtual Desktop」などと比べてどう違うのか、どういった利点があるのかに注目してレビューしていきたいと思います。
※6月18日に配信された10.1.5アップデートでBetaの表記がなくなりました。解像度やビットレート設定も大幅に向上しています。
良かった点
- 公式機能なので無料ですぐ試せる
- PICO 4のディスプレイに合わせた鮮やかな色合いで楽しめる
- 解像度は片目3480pxまで対応
- Wi-Fiでも、USB接続でも簡単に利用可能
- コントローラーのトラッキングも良好
- コントローラーの位置・角度調整に対応
- 「AVC 1000Mbps」設定が追加(※USB接続時のみ)
- AV1対応(PICO 4 Ultra専用)
悪かった点
- マルチディスプレイ時、画面の切り替えに時間が掛かる(PICO 4 Ultraでは3画面表示に対応しました)
- Windowsのソフトウェアキーボードを呼び出せるが、PICO内のキーボードは使えない
- SteamVR側へHMDとコントローラーのバッテリーを通知してくれない(XSOverlayなどで確認できない)
- ハンドトラッキングはまだ利用できない(バージョン10.4以降で実装の見込み)
記事長過ぎ、簡単にまとめて。
PICOヘッドセット専用に作られた、Wi-FiとUSBどちらでも簡単に接続できる無料のPCVRストリーミングアプリ。価格・手軽さ・機能等を考慮すると個人的に甲乙付け難く、Virtual Desktopとは良い勝負。専用トラッカーなどはPICO Connectでしか使えないので注意。
アップデートとインストール
「PICO Connect」は「PICO OS 5.9.0」から利用できるアプリなので、まずはPICO本体のアップデートを行う必要があります。特筆のない限りはPICO 4を使っている前提で説明をします。
PICO 4本体のアップデート
設定から「PICO OS 5.9.0以降」へアップデートをします。詳細は割愛しますが、ここで手間取ることはないと思います。
PICO本体側のアプリをアップデート
PICO OSを更新しただけでは古いアプリのままなので利用できません。ストアで新しくアプリを入れる必要がありました。
- ストアで「Connect」と検索してアップデートをします。
- スマートフォン側からアプリを検索してインストールすることもできます。
※現在はPICO Connectではなく「Connect」にアプリ名が変更されています。
スマートフォンアプリは以下
PCにPICO Connectをインストールする
【SteamVRの新規インストール・修復をしておこう】
トラブルを避けるためにも、予めSteamVRをインストールしておきます。また、以前から利用している場合はSteamライブラリでSteamVRのプロパティを開き、インストール済みファイルの欄で「ツールファイルの整合性を確認」しておくのをお勧めします。【Streaming Assistantはアンインストールしておくこと】
PICO Connectと競合してしまい、上手く動作しなくなる可能性があります。
公式サイトからダウンロードして、PCにインストールしましょう。
PICOアカウントへのログインは行わなくても利用できます。
但し、ログインしていない場合は同一ネットワーク内にある他のPICOヘッドセットからPCに接続できてしまいますので、そのような環境ならばログインしておいた方が安全です。(個人ではそういう心配はほぼない)
自動接続機能が使いたい場合はログインしてみてください。
各種設定
(※スクリーンショットは一部10.0.24 Betaのものも含まれています)
ゲーム
解像度
PICO 4の解像度は片目2160pxですので、「高画質」設定でほぼ同等になります。「超高画質」設定だとそれを上回るようになります。ここで設定した解像度に合わせて、PICO 4のレンダリング解像度(eye buffer)も変更されます。
SteamVRのレンダリング解像度は手動設定で100%にしておくことをお勧めします。(※SteamVRの自動設定だと過剰に解像度を上げてしまって高負荷になることがある)
あるいは、軽量なOpenVR実装である「OVR Dynamic Resolution」を使うことで負荷に応じたレンダリング解像度に自動変更する手段もあります。高頻度に動作させると引っ掛かるので、解像度の変更頻度や割合は緩やかにしておきましょう。
設定 | 解像度(グラフィックボードの目安) |
---|---|
スムーズ(Smooth) | 1728px(GTX1070/RX5500XT) |
標準画質(Standard) | 1920px(RTX2070/RX5700XT) |
高画質(High) | 2208px(RTX3070/RX6800XT) |
超高画質(Super) | 2592px(RTX3090/RX6950XT) |
ウルトラHD(Ultra) | 3120px(RTX4090/RX7900XTX) |
ウルトラHD+(Ultra+) | 3480px(RTX4090/RX7900XTX以上) |

標準画質でも「超高解像度ビデオ」機能をオンにすると見栄え良くしてくれるので、無理に解像度を上げなくても大丈夫。
もし「OVR Dynamic Resolution」を使うのなら、ストリーミングの解像度を超えないようにMaximum resolutionを100にしておくのがいいかも?
ビットレート
AVCはワイヤレスの場合に20~300Mbpsまでの間で設定が可能で、USB接続すると1000Mbpsまで設定できます。
HEVCとAV1では20~150Mbpsまでの間で設定することができます。どのコーデック設定でも可変ビットレートらしいので、150Mbpsに設定したとしても100Mbpsを切ったり、150Mbpsを超えたりする事が多々あります。
10.3.10アップデート以降、Transmitの値は8msから赤色に表示されるようになりました。恐らくPICO 4 UltraをWi-Fi 7やUSBで接続した場合を想定した基準になっていると思われるので、赤文字で表示されていても10ms前後であれば概ね問題はないと見て良いでしょう。
接続方式 | Transmitの目安 |
---|---|
Wi-Fi 5やWi-Fi 6 | ~19ms(※PICO Connect 10.2.7までの基準値) |
Wi-Fi 7またはUSB 3 | ~7ms(※PICO Connect 10.3.10からの基準値) |
ビットレート設定は、まず初期設定のままスムーズに動作するかを確認してください。その後どこまで品質を上げるかはTransmitの値を見ながら無理のない範囲で調整します。しっかりとしたWi-Fiルーターであれば最高設定の150Mbpsや300Mbpsでも安定して動きますが、設定や環境によって映像が停止したり接続が切断されてしまうこともあります。
例えば、同じビットレート設定でUSB接続なら問題ないという場合は、Wi-Fi側の問題の可能性が高いです。USB接続時でもDecode部分で大きな遅延が生じているときは、PICO 4側が処理しきれない解像度やビットレートの組み合わせということになるので、下げる必要があります。

どこで問題が発生しているかを把握する事がトラブル解決への近道。
リフレッシュレート
リフレッシュレートを72Hzから90Hzに変更します。PICO 4 Ultraではホームスペースのパフォーマンス設定が、最初から「高画質」になっているはずなので特別な設定は不要です。PICO 4の場合はPICO本体の設定でも90Hzを有効にする必要があります。
フレームレートを高く維持出来ない場合は72Hz設定にしておいた方が、1フレームあたりのビットレート割り当てが多くなります。

VRChat用途だと90FPS出せないことが多いので、72Hz設定でじゅうぶん。
コーデック
AVC(H.264)とHEVC(H.265)そしてAV1を選択できます。ビット深度の設定は見当たらなかったので、恐らく8bitでしょう。
※AV1コーデックはPICO 4 Ultra専用です。(10.2.7で対応)

画質最優先ならAVCにしてギリギリまでビットレートを上げる。
Wi-Fi接続での安定性重視や、よく分からない場合はHEVCにしておこう。
フレーム補間(ASW)
ネットワーク接続の問題でフレームが欠落した場合に、既存フレームに基づいて補間してくれるとのこと。
よくよく調べてみたところ、これはASW(Asynchronous SpaceWarp)のことでした。
フレームレートが著しく下がったときにフレーム補間を行う機能となっており、頭の動きに対しては比較的綺麗に補完してくれます。但し、スティックを使っての移動や、視点の操作をすると視界が歪んだりうねったりします。
個人的に「Virtual Desktop」のSSW(Synchronous Spacewarp)でも違和感があるのですが、ASWの方が視界を動かしたときの歪み方が顕著でした。また、UIや文字を凝視する際に結構な歪みを感じられます。30FPSぐらいまでフレームレートが落ちるほど重たい場面では結構厳しいように思えるので、この手の機能をVRChat民はオフにしてることが多そうな印象があります。
普段から30~45FPSしか出ないような状況で、ASWを活用したいという場合はVRChatの「回転のスナップ」をオンにして、場合によってはホロポート移動も使うと酔いにくくなりますのでお試しください。
デフォルトでオフとなっています。歪みが気にならないなら有用な機能ですが、違和感があるようならオフのままにしておきましょう。
今後のアップデートでは、本機能がより最適化されるようです。

フレーム補間のせいでVR酔いしちゃう人もいるとかなんとか。好みが分かれる設定です。
色彩強調
カラーエンハンスメント機能です。自然・鮮明・飽和色の3つの設定から選べるようになりました。再起動不要で即座に反映されます。「自然」がデフォルト設定となっており、「鮮明」はRec. 2020の色域を基にしているようです。「飽和色」はコントラスト強調している感じでしょうか。(hsv1_4という表記がありました)
自然 | Default(恐らくPICO 4がこれ) |
---|---|
鮮明 | rec2020(PICO 4 Ultraはこっちが初期設定のはず) |
飽和色 | hsv1_4(全体的に濃くなる) |
こちらは、バージョン10.3.9/10.3.10から増えている項目です。(10.3.9は正式版ではないようですが、多くの環境で勝手に降ってきてる状況でしたので記載しておきます。)
フレームバッファリング
フレームレートが増加しますが、接続が不安定な場合は遅延が発生するとのこと。
詳細な説明がないのであくまでも推測ですが、フレームレートが増加するというよりも、バッファを溜め込むことでビデオストリーミングのコマ落ち発生が軽減される感じではないかと思われます。デフォルトで有効です。
画像のシャープ化
後述する超解像度ビデオと併用可能だったので、PC側での映像エンコード時のシャープ化だと思われます。デフォルトは75%です。
超高解像度ビデオ
PICO 4のデフォルトのレンダリング解像度(eye buffer)は1504pxとなっているようで、実解像度である片目2160pxよりも小さく設定されています。超高解像度機能を使うと、レンダリング解像度を上げる代わりに画像補間によるアップスケーリング(高解像度化)を行うとのこと。(※PICO 4 Ultraのeye bufferは1920pxがデフォルトになっています)
PICO自体は「Snapdragon Game Super Resolution (SGSR)」に対応しているようです。「Virtual Desktop」にもSGSRの設定があるので、こちらの機能を使用しているのかもしれません。
さて、「PICO Connect」の「超解像度ビデオ」についてはなんとも言えないところではあるのですが、「Virtual Desktop」のSGSRと同様なのではないかと思われます。「スムーズ」や「標準」設定のような実解像度よりも低い設定においては綺麗にアップスケーリングされるので有用ですが、「超高画質」や「ウルトラHD」設定だと恩恵が小さくなることでしょう。(本来は低解像度時しか機能しないはずですが、動作しているようです。)
スイッチのオン・オフをして見比べてみると、エッジの利いた鮮明な感じになっていました。必要以上に設定を上げなくてもくっきりとしたディテールになるので、PC側の負荷を抑えつつ高品質な映像で遊べそうです。

「超高解像度ビデオ」と「画像のシャープ化」は設定が即座に反映されるので、遊んでいて見た目が気になったときは調節してみよう。
ガンマ
ガンマ補正の設定です。暗すぎたり明るすぎたりして、細部が見づらいと感じたときに少しだけ弄ると良さそうです。「Virtual Desktop」にも同様の設定があります。
デスクトップ
テキストの鮮明化
テキストだけではなくデスクトップ画面全体にシャープニングが掛かるようなので、画像のディテールも変化します。
音声
マイクをオンにする
デフォルトでオンになっています。音量の設定もここで行えます。音量のデフォルトは50です。
PICO 4はデュアルマイクを搭載しており、Windowsからは「2チャンネル 16bit 48000Hz」のマイクとして認識されます。声量によると思いますが、自分の場合はマイク音量50~75ぐらいであれば問題ありませんでした。マイク音量100はバリバリに割れるのでNGです。

PICO Connectの音量は50のまま、VRChat側の音量を100にすればOK。
そしてVRChatの「ノイズの抑制」はオフにしよう!
音声出力デバイス
音声の出力先を、「ヘッドセット」「PC」「ヘッドセットとPCの両方」から選択することができます。
一般
同一アカウントにログインしているヘッドセットを自動接続する設定があります。デフォルトでWindows起動時に開始する設定になっているので、煩わしい方はここでオフにしておきましょう。
言語設定とバージョン確認もここにあります。
ラボ
フェイストラッキング
国内では販売されていない「PICO 4 Pro用の設定」で、グローバル配信されている「PICO Connect」にはこの項目はありません。こちらは中国版をインストールすると表示されます。(※1,国内向けにはPICO 4 Enterpriseがありますが、本記事では取り上げません)(※2,グローバル版でも設定ファイルには記述があるため、内部的には有効になっている可能性はあります。)
コントローラーの感度
コントローラーのトラッキング感度を設定することができます。感度を上げすぎると僅かな動きも反映するようになる(そのように感じる)ので、手ブレが生じてしまいます。50%が初期値です。
SteamVR内での設定(コントローラー位置や角度とPICO Motion Tracker)
コントローラー
SteamVR内でコントローラーの位置や角度を調整できます。
VRChatにおいて、両手でハートを作るハンドジェスチャーを入れている時などに重宝します。
Motion Tracker
PICO専用の周辺機器である、「PICO Motion Tracker」の設定もあります。PICO NEO 3以降で使用可能で、全身モーショントラッキングデータをSteamVRと共有できます。
ここでは、必要に応じてSteamVRに送る部位をオン・オフ可能です。VRChatで使用する場合、「肩」と「手首」と「ヒップ」は使用しません。

肘はあったほうが自然な動きになるよ。
(※今のところはPICO側のPICO Integration SDK 3.0.0がUnityやUnreal Engineのアプリケーションしか対応しておらず、OpenXRの方はモーショントラッカーに必要なエクステンションが存在しないそうです。OpenXRでのトラッカーサポートが追加されない限りは、Virtual DesktopやALVRでPICOモーショントラッカーを扱うことが出来ないようなので、今のところはPICO Connectを介したときしか使えません。OpenXR側ではByteDance用に15個分のエクステンションIDが予約されているようなので、それらが実装さえされれば使えるようになるはずです。)
基本操作
デスクトップモード | |
---|---|
Aボタン・Xボタン・トリガー | 左クリック |
Bボタン | 右クリック |
左・右スティック | ホイールスクロール |
左メニューボタン・Yボタン・終了ボタン(画面右上) | PICOのホームに戻る |
SteamVRを起動ボタン(画面右上) | SteamVRを起動・SteamVRに戻る |
数字ボタン(画面左上) | 表示するディスプレイを切り替える |
キーボードボタン(画面右上) | Windowsのスクリーンキーボードを起動 |
SteamVRモード | |
左メニューボタン2回押し | デスクトップモードに戻る |
左メニューボタン長押し | パフォーマンスパネルを表示・非表示 |

左手コントローラーのメニューボタン(三)はよく使うので覚えておこう。
パフォーマンスなどを比較
動作確認環境
- Windows 11 Pro 23H2
- Ryzen 7 5800X3D
- Radeon RX 7900 GRE / Radeon RX 6800
- AMD Software: Adrenaline Edition(24.5.1~24.10.1)
- PICO 4 / PICO 4 Ultra
- PICO Connect(10.1.5~10.2.7)
- ガンマ 1.00
- 超高解像度ビデオ オン
- 画像のシャープ化 75%(75%が初期設定)
- Virtual Desktop(1.32.5)
- Gamma 1.00
- Increase video nominal range オフ
- Sharpening 50%
- ALVR(20.6.1)
- 無線:Aterm WX1800HP Wi-Fi 6(5GHz)/ ASUS RT-AX3000 Wi-Fi6(5GHz)
- 有線:USB3.0ケーブル(5Gbps)
- VRChat 高設定(アンチエイリアス4x)
10.1.5アップデート時に検証し直しているので、幾らか設定にばらつきが生じています。また、PICO 4標準のスクリーンショット機能を用いていますので、画像の劣化が生じています。予めご了承ください。
10.1.5アップデートでビットレート上限が大幅に変更されました。HEVCコーデック使用時は150Mbpsのまま変わりませんが、AVCコーデックの場合は300Mbpsを超えてもPICO本体側が簡単には悲鳴を上げないようになっています。それでも負荷は掛かってバッテリー消費が増える可能性があるので程々にしておきましょう。
解像度は片目3480pxまで設定可能
PICO Connect | Virtual Desktop |
---|---|
– | Potato 1488px |
スムーズ(Smooth)1728px | Low 1776px |
標準画質(Standard)1920px | Medium 2064px |
高画質(High)2208px | – |
超高画質(Super)2592px | High 2544px |
– | Ultra 2736px |
ウルトラHD(Ultra)3120px | Godlike 3120px |
ウルトラHD+(Ultra+)3480px | – |
(※近そうな解像度で比較)
10.1.5アップデートで設定可能な解像度が引き上げられました。「PICO Connect(Beta)」の頃はUltra設定(2560px)が最高設定でしたが、アップデート後は「Virtual Desktop」のGodlike(3120px)相当の設定やそれを超える設定が追加されました。
通常のスクリーンショットは1920×1920のJPEGファイルにされてしまうので、adbコマンドで取得しました。超高解像度ビデオ(SGSR)は全て有効で、コーデック設定はワイヤレスで無難に接続できるHEVC 150Mbpsとしています。
adb shell screencap -p /sdcard/スクリーンショット.png
解像度別比較
まずは「スムーズ」から「高画質」まで。
ビットレートを一定にできないので大雑把な比較となりますが、遠目に見ても順当に鮮明になっているように感じられます。
次は「超高画質」から「ウルトラHD+」です。
PICO 4 Ultraの解像度(2160px)は既に超えているので、コメントに困りますね。
最後に、最低画質の「スムーズ」と実解像度に近い「高画質」、そして最高画質の「ウルトラHD+」で比較してみます。
「スムーズ」設定でも「超高解像度ビデオ(SGSR)」が上手く効いていますね。「高画質」か「超高画質」あたりでシャープ設定を調節するのが丁度良いぐらいになりそうに感じました。
ちなみに、過去にPICO 4で「超高画質(Super)」と「ウルトラHD+(Ultra+)」で比較したときのスクリーンショットが以下。PICO 4 Ultraとは色合いの補正が違うようで、ちょっと緑っぽいです。
拡大してみます。
なんとなくですが、「ウルトラHD+」の方が細かな部分が潰れずに済んでいるように見えます。スクリーンショットでは上手く伝えられないのが残念です。
※公式の案内によるとウルトラHD(Ultra/Ultra+)設定に関してもバッテリー寿命の低下の他に、Dockバーの遅延、画面録画のスタッタリング、モーショントラッカーの遅延増加などが生じる可能性があるとのこと。適切な設定を心掛けましょう。
【備考】SteamVR側でレンダリング解像度を上げるのと何が違うの?
PICO Connectの解像度設定を変更すると、SteamVRのスケーリング100%時のサイズも変更されます。では、「PICO Connectの解像度設定は標準画質(1920px)のままSteamVRのレンダリング解像度を3480px相当まで大きくした場合」と「PICO Connectの解像度設定をウルトラHD+(3480px)まで大きくした場合」では、後者の方が綺麗に見えるはずです。
PICO Connectで設定した解像度でエンコードも行うと思われるので、「PICO Connectの解像度設定は標準画質(1920px)のままSteamVRのレンダリング解像度を3480px相当まで大きくした場合」は実際にPICO本体に送られてくる映像は1920pxとなります。逆にSteamVRのレンダリング解像度を1000px相当まで下げていても、PICO Connectの解像度をウルトラHD+にしていると1000pxを3480pxまで引き延ばしただけの映像が送られてくるはずですので、PICO本体に無駄な負担が掛かることになります。
PICO Connectの解像度設定をウルトラHD+(3480px)に設定したところ、PICO 4側のEye Bufferも連動して3480pxとなるのを確認しています。SteamVR側でレンダリング解像度を変更してもEye Bufferは連動はしません。
これはVirtual Desktopでも同様で、Godlike設定時に3120pxになることを確認しました。
エンコード解像度とレンダリング解像度の関係はVirtual DesktopやALVRでも同様ですから、SteamVRのレンダリング解像度を変更する際はアンバランスな設定にしないよう気をつけましょう。
コーデックはAVCやHEVCの他にAV1が利用可能に
映像のエンコードに使用するコーデックを変えることで、画質を優先したりネットワークの負荷を軽減したりすることができます。Wi-Fi接続での上限で比較するなら、AVC 300Mbpsが最も綺麗に感じられました。HEVCとAV1の150Mbps設定は甲乙付け難い感じがあります。
PICO 4 Ultraを使っていて、なおかつ低ビットレート設定ならばAV1のが優位性がありそうです。
大雑把な比較、レイテンシーの差は小さい
USB接続の状態で負荷やレイテンシーを比較してみましたが、Radeon RX 7900 GREにおいては差が出ないという結果になりました。全く負荷のない状態で試したところ、AVCが最も遅いという結果になりましたがそれでも2~4ms程度の差でした。
GeForce環境では違いが出るかもしれませんし、Wi-Fi接続で使用する場合はAVCで300MbpsにするとHEVC150Mbpsと比べて伝送が間に合わなくなる可能性が出てきます。

AV1だと若干バッテリーを消費するかも?
AVC 300Mbpsと500Mbpsを試す
10.1.5アップデートで、AVCコーデック使用時にUSB接続で最大1000Mbpsを設定可能になりました。また、ワイヤレス接続時の上限も150から300Mbpsに向上しています。
Betaの頃はファイルを改変して無理やり300Mbpsなどに設定する手法がありましたが、PICO側のデコードが間に合わなくなるなどのトラブルが起きるので実用的ではありませんでした。しかし、今回のアップデートからはAVC 300~500Mbpsでのデコードは問題なく行えるようになっています。とはいえ、流石に1000 Mbpsはやり過ぎなようで、USB接続でもマトモに動作しなくなり、映像が止まってしばらく応答が無くなる事もあります。その場合はPICO本体のメニュー画面はすぐ出せるので、一度アプリを終了して開き直すと復帰できます。
ほとんどの場面で綺麗に表示されるため、今回は桜並木やアスファルトの路面がある場所といった、あえてかなりの悪条件で比較をしてみます。こういったものは細かいせいでエンコードが潰れやすいからです。金網とかも表示が潰れやすいです。
解像度設定は高画質(High)2208pxで、超高解像度ビデオ設定を有効にしています。
ワイヤレス接続の上限値では、AVC 300MbpsとHEVC 150Mbpsが大体同じぐらいか、AVCのが少し上という感覚がありました。どちらもアスファルトのようなディテールが細かなものは潰れてしまいます。
簡易的な確認だけで限界は切り詰めていないのですが、700~800Mbpsぐらいから苦しそうな感じがあるので上げすぎは禁物です。とりあえず半分の500Mbpsかなと試したわけなのですが、十分に綺麗な表示で楽しめます。
HEVCがイマイチなように見えますが、AVC 250~300Mbps相当(?)を150Mbpsで実現しているのでネットワーク周りが安定するはずです。余裕があるのならUSB接続でAVC 500Mbps、Wi-FiではAVC 300Mbpsで遊ぶという運用が丁度良いかもしれません。

USBケーブルを接続して有線で遊ぶなら、AVCにしたほうがいいね。
※公式の案内によると高ビットレート設定はバッテリー寿命の低下の他に、Dockバーの遅延、画面録画のスタッタリング、モーショントラッカーの遅延増加などが生じる可能性があるとのこと。適切な設定を心掛けましょう。
Virtual DesktopとHEVC 150Mbpsで比較
PICO 4の場合、HEVCでのビットレートは「Vitrual Desktop」と同様に150Mbpsが上限です。「PICO Connect」の方はパフォーマンスを監視していると150Mbps以上出ているときもあるようです。
PICO 4 Ultraの場合、Virtual DesktopはQuest 3と同様にH.264+で600Mbps、HEVC/AV1で200Mbpsが選べるようになっています。PICO ConnectではAV1対応以外の違いはありません。
但し、先程のように雨が降っているワールドなどの視界はイマイチで、「PICO Connect」のHEVCコーデックはエンコードが潰れやすい状況下での表示品質は悪いようです。
動きのある場面も苦手なようで、車で桜並木を駆け抜けていくような場面でも表示が潰れてしまいがちです。道路の中央線が潰れて遠くの方が消えているほか、桜もモヤがかかってしまいました。そういうときはビットレートが100~130Mbpsぐらいだったりして、150Mbpsは出ていません。
Radeonにおいては同じHEVC 150Mbps設定の場合、「Virtual Desktop」の方が表示が潰れにくくて良好でした。「Virtual Desktop」はステータス表示を見ると固定ビットレートで動作しているように見えますが、設定値が表示されているだけなのでPICO Connectと同様にビットレートは変動していました。それでも画質を最優先にかなり詰めた調整をしているようで、同じビットレート設定でもVirtual Desktopのが綺麗に表示されます。(その分エンコードやデコードに時間が掛かっている?)
また、AVCの場合は「Virtual Desktop」の方が「ワイヤレスでH.264+ 400Mbps」に対応している分だけ優位性があります。(※「PICO Connect」はワイヤレスでAVCは300Mbpsまで)ネットワーク環境によっては400Mbpsは安定しないのですが、300Mbpsあれば良い感じでした。
画質を優先したいけれどもWi-Fiルーターとの接続が安定しないのであれば、「Virtual Desktop」でHEVC 150Mbps(※こちらは10-bitモードも選べます)で遊ぶのが良さそうです。
「PICO Connect」と「Virtual Desktop」共にWi-Fiルーターの性能に余裕があるのなら、HEVCよりもAVCのが高ビットレートに設定できてより綺麗です。
HEVC/AV1使用時の色は8bit?
10bit表示になっているかどうかについては、恐らく8bitのままだと思われます。VRChatのロード画面で見比べてみるとカラーバンディングはあるものの、普段から目立つかどうかについてはそこまで顕著ではないと感じました。
10bitモードではないので、AMD Radeon RX 6800 / RX 7900 GRE(ドライバ 24.5.1~24.10.1)でもHEVC/AV1コーデックは不具合なく快適に動作しています。
シャープや超解像度ビデオで調整するのもアリ
シャープの掛け具合で品質にかなりの差が生じますので、無理して超高画質やウルトラHDに設定する必要はなさそうだと感じました。高画質設定でもシャープや超解像度ビデオ機能を有効にするなどして、PCに負荷を掛けすぎないようにするのも大事だと思います。
負荷について
10.1.5アップデート後、簡単に検証しました。他と比べてPICO Connectの方が明らかに重いという事はなかったので大丈夫です。
GPU負荷比較(大体の目安)
Radeon RX 6800とSteamVR Homeで確認したときの負荷です。大雑把な比較ですが、VRAM使用量はかなりの差が出ているのでVRChat用途であれば「High」か「Super」ぐらいにしておくのをおすすめします。
解像度 | GPU使用率 | VRAM使用量 |
---|---|---|
高画質(High)2208px | 63~80% | 5.7GB |
超高画質(Super)2592px | 78~85% | 6.0GB |
ウルトラHD(Ultra)3120px | 67~89% | 6.8GB |
ウルトラHD+(Ultra+)3480px | 85~90% | 7.4GB |
パフォーマンス比較 その1
PICO Connect 10.1.5 | Virtual Desktop 1.32.5 |
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KanaRoom入ってすぐ横のミラー前と、Carnelian Town入ってすぐのガイド前で簡易測定をしました。
簡易測定した限りではフレームレートはどちらも大差なく、変動もありません。VRAM使用量についても影響が出るほどの違いはなさそうです。短時間の測定なので、平均フレームレートについては無視してください。GPU/CPUのフレームタイムを見ると「PICO Connect」の方が若干負荷が高いように見えますが、そもそも解像度が違うのでその差は出てしまいそうです。
というわけで、SteamVRの設定を変更して可能な限り解像度を合わせたのが以下。
96%設定にすると片目2540pxになるので、レンダリング解像度は大体同じになります。(エンコード解像度はそのまま)GPUのフレームレートとフレームタイムもほぼ横並びとなりました。GPU側の条件をできる限り揃えてみましたが、それでも「Virtual Desktop」の方がCPU使用率が僅かに低いという差が見られます。タスクマネージャーで確認すると、どちらも全く使ってないように見えます。
表面しか見えていないので流石にどのような処理の違いがあるのかまでは分かりませんが、数値の差は小さくて体感できるような違いはありませんので、許容範囲だと思います。
尚、SteamVRの解像度スライダーを弄るときにうっかり解像度を上げてしまった影響が出ているので、96%設定時のRAMとVRAM使用量、平均フレームレートは参考にしないでください。
パフォーマンス比較 その2
色々と環境も変わったので、PICO 4 UltraとRadeon RX 7900 GREで軽く確認してみました。
PICO Connect 10.3.9 | Virtual Desktop 1.33.3 |
---|---|
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できる限り解像度とコーデック、ビットレートを合わせてあります。PICO ConnectのLatencyの値は各項目の合計値が出ていますが、Virtual Desktopの場合はそうではないようで16~18ms程度大きい値が出ているように見えます。
表示は色鮮やか
Quest 2などからPICO 4に乗り換えたとき、「Virtual Desktop」の映像があまり鮮やかではないと感じたことかと思います。これはQuest版の「Virtual Desktop」で使用している機能がPICO側にない都合だとは思いますが、「PICO Connect」や「ALVR」ではちゃんと色合いが鮮やかに表示されます。
鮮やかさについては「ALVR」はエンコードの細かな設定ができるという都合もありますが、そもそもPICO用の「Virtual Desktop」では、Quest版に存在する「Increase color vibrance(色の鮮やかさを高める)」の項目が存在しません。OS側のカラープロファイルを変更しているらしいのですが、PICO 4では「Virtual Desktop」側から呼び出せるカラープロファイルが存在しないようです。(※Increase video nominal rangeの設定はある)
また、「πランチャー」などからAndroid標準の設定を呼び出して、ディスプレイ表示をビビット設定にしても「Virtual Desktop」ではあまり変化を感じられないと思います。
別に「Virtual Desktop」に何か問題があるわけではなく、ありのままを映しているだけです。恐らく「PICO Connect」側はPICO 4の液晶に合わせて何かしらの補正を掛けているのだと考えられます。その為、スマホなどでスクリーンショットを見ると濃すぎるように感じますが、PICO 4のディスプレイではこのぐらいが丁度良く見えます。
最終的にこれは好みの問題ですが、個人的には「PICO Connect」の彩度の方が心地よく感じられました。
色合いは変更可能
PICO Connect 10.3.10で「色彩強調」機能が追加されました。再起動不要で即座に反映されます。
PICOのディスプレイで見栄えするような調整が入っていると思われるので、スクリーンショットをPCやスマホから見ると「鮮明」設定はかなり赤みがかって見えると思います。PICOヘッドセット越しに見ると、「自然」は少し緑っぽさが感じられ、「鮮明」では全体的に色の表現が豊かに感じられるように思いました。色の正確さを求める機能ではないので、好みで設定したら良いと思います。
元々動いていた機能に、選択肢が追加されたという感じに見えました。うろ覚えですがPICO 4では「自然」、PICO 4 Ultraでは「鮮明」がバージョン10.2.7までの見え方に近いような気がします。PICO 4 Ultraを使っていて、「アップデートで以前と色が変わった気がする?」という方は「自然」から「鮮明」に変更してみてください。
マイク音量と遅延について
お勧めは「PICO Connectの音量50以下」「VRChatの音量100」「ノイズの抑制はオフ」「マイクが有効になる音量は2~5%程度」です。(※個人差あり)PICO Connectアップデートの度に確認を推奨します。
VRChatでよく遊ぶフレンドに確認してもらいましたが、「Virtual Desktop」と比べてマイク品質の変化は感じられなかったそうです。しっかりと聞き比べると差はあると思われますが、気になるほどではなさそうです。
PICO 4発売当初は「マイクがバリバリと割れるんだけど!」という話を耳にしていました。今更ですがちゃんとチェックしましたところ、初期設定の音量50であれば多くの場合問題ありません。わざわざ音量を上げて100に設定しなければ大丈夫ですが、話し声の大きな方は50よりも下げる必要があるかもしれません。PICO Connect側で行った音量設定はWindowsの録音デバイスのレベルと連動していますので、勝手にマイク音量を弄るようなアプリケーションを使っている場合は影響するかもしれないので注意してください。
「Windows標準のサウンドレコーダー」で録音したmp3データは以下の通りです。(※Audacityでくっつけました)
話し声程度の声量で、PICO Connect マイク音量100→75→50の後にVirtual Desktopで100→75を収録してあります。(Virtual DesktopはノイズキャンセルOFFの状態)PICO Connectでは2つあるマイクをそのまま使用した16bit 48000Hzのステレオ録音になりますが、Virtual Desktopはモノラルになるという違いがありました。
スクリーンショットの波形を見て分かるとおり、PICO Connectの音量100は爆音なので、十分に注意して再生してください。(ちょっと声枯れてるけど勘弁ね)
デュアルマイクだったPICO 4に対して、PICO 4 Ultraではマイクが4つに増えて空間オーディオの録音をサポートするといったハードウェア面で大きな変更がありますので、時間のあるときに改めて録り比べをする予定です。(※VRChatにおいてはステレオマイクは左側音声のみ拾って尚且つモノラル音声出力になると思うので、ステレオマイクかどうかはあまり関係ないはず……?)
音声の遅延に関してはWindows側で監視した限りでは殆ど感じられませんでしたが、VRChat上ではリップシンクの反映までに若干の遅れが見られました。無線接続であることを考慮しても十分許容範囲の遅延だと思います。Wi-Fiの接続具合などの問題で、マイクが入力されるまで1~2秒も遅れるような大きな遅延が発生してしまった場合は、ビットレート設定を見直したり一度接続を切って再接続してみると良いかもしれません。もちろん、VRChatにおいては相手へ声が届くまでに更にネットワークの遅延が生じてしまうので、ジェスチャーも上手く活用して会話するのが良いでしょう。
ノイズ抑制機能があるとのこと
マイクに関しては、より詳しい情報をまとめている方がいらっしゃいます。PICO 4関連情報を探すと必ず見かけるので皆さんご存じの、みみずくさんの記事です。

その中で、「同じ音が続くと少々過剰にノイズカットされる機能がある」という情報がありました。それは知らなかったので驚いたのと同時に、詳細がとても気になったのでどのぐらい過剰か試したところ、こんな感じでした。
大体2秒連続音が続くとカットされるようです。VRChatでノイキャン無しで使っていて、爆音でファンを回してるPCや扇風機の音が全然入らなかったり、同じ部屋で家族が喋っていても割と平気だったりするのはなんとなく感じていましたが、これは知らなかった……。なかなか気が付かないですね。
以下は「あーーーー」って言ってるだけのしょうもない音声サンプルです。先程より大きめの声を出してるのでちょっと割れ気味かな?(音量70)
ちなみに風量を上げたサーキュレーターの目の前に居るときの音はこんな感じでした。(音量70)
その他機能や注意事項について
コントローラーの遅延が小さい(気がする)
「PICO Connect」にはコントローラーのトラッキング感度の設定があります。デフォルト設定の50%で利用していますが、軽快にトラッキングしているように感じられました。100%まで上げるとかなり敏感にトラッキングするようになるので、手ブレが酷くなります。速度重視なら感度高めにすると良いのかもしれません。(いや、それで合ってるのかは分からない)
また、手を後ろに回した時のトラッキングも問題はなさそうです。トラッキングが外れてもある程度はなんとかしてくれます。
Windowsのスクリーンキーボードは呼び出せる
「Virtual Desktop」で左手コントローラーのXボタンを押すと専用キーボードが出てきて、そちらから文字入力することができましたが、「PICO Connect(Beta)」の頃にはそれがありませんでした。
10.1.5アップデートで、右上にキーボードボタンが追加されました。現在はWindowsのスクリーンキーボードを呼び出すことができます。
但し、PICO 4 Ultraの「キーボードとマウスでのインタラクション機能」はPICO Connectに対応していません。つまり、PICO Connectで接続しているWindowsに対してPICOに繋いだBluetoothキーボードやマウスは利用できません。
また、マルチディスプレイ環境だと、PICOコントローラーだけではスクリーンキーボードの画面を跨いだ移動が行えません。他のディスプレイへウィンドウを動かす場合はPC側でのマウス操作が必要です。
PICO 4 Ultraの発表時に、最大3画面でPCやスマートフォンの画面をキャストする事が可能との情報がありました。スマートフォンのキャストに関してはPICO 4 Ultra 5.12.0.Uアップデートで追加されました。PICO 4 Ultraでの3画面表示は10.3.10アップデートで対応しています。
コントローラーから手を離してPC側のキーボードを使用することが多い場合は、誤作動防止のためハンドトラッキングをオフにしておくことをおすすめします。
マルチディスプレイの切り替えで(少し)時間がかかる
「Virtual Desktop」ではディスプレイ間の移動はYボタンで瞬時に切り替えができましたが、PICO 4での「PICO Connect」は左上に表示された1や2と表示されたボタンを押して切り替えることになります。ディスプレイの切り替えが完了するまでほんの少しだけ読み込み時間が発生します。
マルチディスプレイ対応そのものについては1画面のみでしたが、10.3.10以降は3画面に対応しています。PICO 4 UltraのOSバージョンを5.12.6.Uにアップデートすると、ディスプレイを跨いだウィンドウの移動も可能になりました。(※縦方向の移動は上手く行かない)
現在PICO 4 Ultraで対応する解像度はワイドディスプレイとなっています。
接続が切れても復帰できる
USBケーブルが外れたりWi-Fiネットワークの問題が生じるなどして、PCとの接続が切れてしまっても再接続が可能です。たとえPICOの電池が切れてシャットダウンしてしまっても、SteamVRなどは保持されています。充電して起動すれば、そのままPCVRへ復帰できます。
これは「Virtual Desktop」も同様です。接続が怪しいときなど、PICOヘッドセット側のアプリを立ち上げ直したりしてもPC側のSteamVR等は起動したままなので大丈夫です。
管理者権限で動くので注意
「PICO Connect」は管理者権限で動作します。
「XSOverlay」などでマウスカーソルが「PICO Connect」のウィンドウと重なると操作できなくなるので、「XSOverlay」に管理者権限を付与しておく必要があります。(XSOverlayの設定内にあります)
SteamVRからバッテリー残量は確認できない
「PICO Connect」のUI上でHMDとコントローラーのバッテリー残量を確認できますが、StemaVRに送ってはくれないようなので、「XSOverlay」などで確認したり通知することはできないようです。「ALVR」や「Virtual Desktop」ではHMDのバッテリー残量のみ取得可能でした。今後の対応に期待したいですね。
一部のショートカットキーが動作しなくなる(部分的に改善済み)
PICO Connectの使用中は一部のキーボードショートカットが「グローバルホットキー」として設定されるので、他のアプリケーションで使用することができなくなるようです。例えばPhotoshopやCLIP STUDIO PAINTの「選択範囲を反転(Ctrl + Shift + I)」やBlenderの「選択範囲の拡大/縮小(Ctrl + Num+またはCtrl + Num-)」などが動作しなくなります。ブラウザのズーム周りも同じショートカットですね。
これはPICO Connectを閉じると元通り動作するようになります。
PICO Connect使用中に動作しないショートカット一覧 |
---|
Ctrl + Shift + I |
Ctrl + Num+(テンキーの+)※10.3.10で削除 |
Ctrl + Num-(テンキーの-)※10.3.10で削除 |
Ctrl + =※10.3.10で削除 |
Ctrl + Shift + =※10.3.10で削除 |
Ctrl + -(テンキーじゃない方の-)※10.3.10で削除 |
Ctrl + Shift + –※10.3.10で削除 |
10.3.10がリリースされた際に、Ctrl + Shift + Iのショートカットキー以外は消えました。
SteamVRでのコントローラー設定について
バインドはPICOコントローラー用
また、SteamVRからQuestのコントローラーとして認識される「Virtual Desktop」とは異なり、「PICO Connect」ではPICOコントローラーとしての扱いになります。バインドは新しく設定し直すことになるので気をつけてください。一応、互換モードでQusetのコントローラーとして動作するようにはなっています。
デフォルトのコントローラーボタン割り当て
左スティック | left_axis0 |
---|---|
右スティック | right_axis0 |
左トリガー | left_axis1 |
右トリガー | right_axis1 |
左グリップ | left_axis2 |
右グリップ | right_axis2 |
Aボタン | right_a |
Bボタン | right_applicationmenu |
Xボタン | left_a |
Yボタン | left_applicationmenu |
SteamVR側で割り当てされていないaxis3やsystemなどは、どういった挙動をするか調べていません。ごめんね。
XボタンでSpace Dragする例
VRChatを楽しんでいる方であれば、「OVR Advanced Settings」のSpace Drag機能でプレイスペースの高さを変えて飛んだり地面に埋まったりするのも必須な設定ですよね。こちらもXボタンだけでドラッグ操作と高さリセットを行えるようにしてみます。
コントローラーバインド設定を見てみると、詳細設定に長押しが2種類あります。2つある長押しのうち、片方は一定時間長押しを続けると実行されるものです。今回は長押し1をリセット(resetoffsets)に割り当てて、長押し2をSpace Drag(lefthandspacedrag)にしてみましょう。
長押しを続けるとSteamアイコンが表示され、Steamアイコンの周りをインジケーターが1周するとリセットが実行されます。インジケーターが1周する前にボタンを放す場合はリセットは実行されません。
【VRChat】ピースサインしか出せなくなったときは
コントローラーから手を離してもピースサインになってしまうときは、タッチセンサーにトラブルが起きてると思われます。とりあえず該当するセンサーのタッチ操作を割り当て無しにすると対処できます。恐らくスティックのタッチセンサーが帯電しています。

【VRChat】人差し指だけが曲がるなど、ジェスチャーがおかしいときは(10.3.10まで)
VRChat 2024.3.1(ビルド1490)から、SteamVR Input 2.0とQuestを使ったPCVRでのハンドトラッキングサポートが追加されています。
しかし、PICO Connect 10.3.10までのバージョンではコントローラーのバインドがおかしくなり、人差し指や親指だけが曲がるなど、殆どのジェスチャーが行えない状況になってしまいます。これはSteamVRからはQuestコントローラーであると認識がされるVirtual Desktopでは発生しませんので、PICO Motion Trackerを使う為に乗り換えた方は困惑していると思います。
ひとまずの対処方法として、両手のスケルトン入力をオフにするとジェスチャーがおかしいのは直ります。ハンドトラッキング関連も、PICO Connect及びPICO向けのVirtual Desktopでは未対応なので、今のところはこれだけでほぼ解決するはずです。
今後PICO Connectにハンドトラッキング対応が来た場合は、スケルトン設定を元に戻す対処が必要になるのでお忘れなく。
ハンドトラッキングについて(10.4以降で対応予定)
既にハンドトラッキングのテストは行われており、近いうちに正式提供される見込みです。PICO 4 Ultraをお使いの場合で、既にバージョン10.4.5が自動配信されている方はハンドトラッキングを試すことができます。
VRChatにおいては、PICOコントローラーに戻したときにアクションメニューが操作できなくなる不具合がありました。その場合、もう一度ハンドトラッキングとコントローラーを行き来すると直る事があります。
アップデートのアンインストール方法(10.2.7に戻す)
開発者モードにしたPICO 4 UltraをPCに接続し、adbコマンドを打ってアプリ情報を開くか、settings.apkなどからAndroid標準設定を開いてConnectアプリのアプリ情報を開くと、「アップデートのアンインストール」が行えます。PICO 4 Ultraを5.12.0.Uにアップデート済みの方は、10.2.7に戻ります。
【adbコマンド】 adb shell am start -a android.settings.APPLICATION_DETAILS_SETTINGS -d package:com.picovr.picostreamassistant
【その他トラブルシューティング】繋がらない!動かない!落ちる!なにかがおかしいときは
別記事に移動しました。今のところ簡易的なメモです。WindowsやSteamVR、グラフィックドライバ等の自動アップデートで問題が起こることがよくありますので、頻繁な更新のないPICO Connectを疑う前にまずはそちらの修復や再インストールを試すのを強く推奨します。

公式の機能で十分な品質
古いバージョンである「Streaming Assistant」は試していないので比較できなくて申し訳ないのですが、過去の評判を見る限りでは、「PICO Connect」になったことで品質はかなり向上したのではないかと感じられました。鮮やかな色合いでPCVRをやれるのが魅力のひとつだと思います。また、PICOモーショントラッカーを使用する場合は現状「PICO Connect」一択です。
PCのデスクトップを操作する用途としてはイマイチな部分がありますが、SteamVRでPCVRを楽しむのは快適に行えました。PICO公式の機能で無料ですから、気軽に試せます。Betaの頃から結構しっかりとしていて、正式版となった現在もかなり安定して動いています。あとはSteamVRへのバッテリー残量通知やハンドトラッキング対応など、今後のアップデートで追加されることに期待したいですね。
記事の冒頭に書いたとおり、2024年11月頃から誤配信によるバージョン不一致となるトラブルで混乱が生じていました。そちらのバージョン(10.3.9)からアップデートを行うと中国版がインストールされてしまいますので、公式サイトからインストーラーをダウンロードするようにしましょう。
2024/04/10:ビットレートについて追記
2024/04/17:Radeon環境での品質について追記
2024/04/27:超解像度ビデオ機能の効果について追記
2024/06/20:10.1.5アップデートによる解像度とビットレート設定の追加などを追記
2024/06/20:ASWについて勘違いしていたので修正、パフォーマンス測定と幾つかの古い情報を手直し
2024/06/22:解像度別の検証などを追加、細かな手直し
2024/08/20:PICO 4 Ultraが発表されたので少しだけ追記
2024/08/21:古い情報などを整理
2024/09/02:10.2.7アップデートについて追記
2024/09/12:トラッカー対応の情報を追記
2024/09/14:VRChatにおいてジェスチャーが機能しない問題について手直し、PICOモーショントラッカーの参考URLを日本版に変更
2024/09/16:基本操作一覧を追記
2024/09/19:マイク音量についてより詳しく追記
2024/09/20:あちこち微修正しつつレンダリング解像度とエンコード解像度の話とノイズキャンセリングについて追記(PICO 4 Ultra早く届いて欲しい~)
2024/09/22:PICO 4 Ultra関連情報を追記
2024/09/23:表示の鮮やかさについて手直し、OpenXR関連の情報を追記
2024/09/24:簡易的なトラブルシューティングを追加、そのうち追記予定
2024/10/05:Eye Bufferも確認したので追記
2024/10/21:解像度・コーデック比較をPICO 4 Ultraを用いて更新
2024/11/03:動作しなくなるキーボードショートカット一覧を追記
2024/11/15:文面の調整、ちょっとしたコメントの追加
2024/11/18:OVR Dynamic Resolutionの紹介を追加
2024/11/21:PC側のPICO Connect 10.3.9のダウンロードが行えない状態でPICO本体側のアプリがアップデートされてしまったので、一時的にアップデートのアンインストールを行う方法を記載
2024/11/29:パフォーマンステストを追記
2024/12/04:色彩強調について追記
2024/12/05:10.3.10アップデートについて追記
2025/01/06:マルチウィンドウやハンドトラッキングについて追記