【VRChat】Radeon RX9070XTとRX7900XTではどっちが有利?アンチエイリアス設定の違いを検証

前回VRCMark v2でベンチマークを行った際、MSAAの倍率によってはRX9070XTとRX7900XTのスコアが逆転する結果が出ました。今回は特にアンチエイリアス設定に着目して、どちらの方がパフォーマンスが出やすいのかを検証してみます。

【VRChat】AMD Radeon用の起動オプション「disable-amd-stutter-workaround」を検証
普段からVRChatの起動オプション「disable-amd-stutter-workaround」を使った方が良さそうという話をしていますが、今回Radeon RX9070XTを試す機会に恵まれたため、追加で検証を行うことにしました。Ra...

大まかなスペック

AMD公式サイトやTechPowerUpあたりを眺めながらざっと用意したものです。数字だけ見るとRX7900XTの方が強そうなのですが、1世代新しくなったことで効率などが向上しています。多くのゲームにおいてはRX9070XTの方が+10%程高速となるそうです。

Radeon RX9070XTRadeon RX7900XT
ストリーミングプロセッサ40965376
TMU(テクスチャマッピング)256336
ROPs(最終出力)128192
CU(演算ユニット)6484
ピクセルレート380.2 GPixel/s460 GPixel/s
テクスチャレート760.3 GTexel/s810 GTexel/s
FP32(Float)48.7 TFLOPS51.6 TFLOPS
VRAMGDDR6 16GBGDDR6 20GB
メモリインターフェイス256bit320bit
メモリ帯域幅640GB/s800GB/s
Infinity Cache64MB80MB
ベースクロック1660MHz1387MHz
ブーストクロック2970MHz2400MHz
ゲームクロック2400MHz2000MHz
TBP304W315W
平均性能差+10%

VRChat Homeで事前テスト

アンチエイリアス設定の有無でパフォーマンスの差が出ることは以前から気になっていたので、今回はそこに着目して検証を進めていきます。

まず、VRChatのグラフィックスプリセットを「高」に設定しておきます。アンチエイリアス設定である2xMSAAと4xMSAAをそれぞれ適用した状態で、GPUフレームタイムが11.1msをギリギリ下回る解像度を探してみました。Virtual DesktopのHigh解像度(片目2592x2592px)をベースに10%ずつ変更して確認します。

Radeon RX9070XT

2xMSAA

3664x3664pxで11.1msとなりました。

4xMSAA

3172x3172pxで11.2msとなりました。

Radeon RX7900XT

2xMSAA

3756x3756pxで11.2msとなりました。

4xMSAA

3380x3380pxで11.2msとなりました。

4xMSAAで性能が逆転するのは片目3K解像度付近?

VRCMark v2でベンチマークを取った際に、片目3120x3120pxの状態でVRChatのグラフィック設定を中から高に変更するとスコアが逆転したのと大体一致します。

RX9070XTのスコアがRX7900XTを下回った部分を青色で示しておきます。

PICO Connect 3120pxでVRCMark v2をテストしたときのもの

必要なVRAM帯域幅を計算する

RX9070XTは片目3K解像度で4xMSAAを使うと遅くなるのは、VRAM帯域幅の差ではないかと仮定して計算してみます。適切な見積もりを出すには知識がなさ過ぎるので、細かな部分を考えずに大雑把に行きます。

  • 片目解像度:3168x3168px(両目分でx2)
  • リフレッシュレート:90Hz(90FPSが出せている前提の計算
  • カラーバッファはRGBA形式(各2Byteで合計8Byte)で深度バッファは4Byteで計算(合ってるのか?)
  • 半透明オブジェクト多めと仮定し、オーバードロー4回程度を見積もり
  • ややこしいので半透明部分のMSAA関連コストは考慮しないことにする
  • ポストプロセス(ブルームやカラーグレーディングなど)はフレームバッファの4倍ぐらいで見積もり

MSAAなしの状態

1フレームあたりのピクセル数

片目ピクセル数:3168 x 3168 = 10,036,224

両目分:10,036,224 x 2 = 20,072,448(約2,007万px/フレーム)

フレームバッファ

カラーバッファ:20,072,448 x 8Byte = 160,579,584(161MB)

深度バッファ:20,072,448 x 4Byte = 80,289,792(80MB)

合計:161 + 80 = 241MB/フレーム

不透明オブジェクトレンダリング分

カラーのwrite1回と、深度のread + writeの2回で合計3回分

161 + (80 + 80) = 321MB/フレーム

半透明オブジェクトレンダリング分

半透明が多かったりパーティクルが飛び交ってるのを想定してオーバードロー4回ぐらい

1レイヤーあたり(read + writeで2回分):161 x 2 = 322MB

4レイヤー分:322 x 4 = 1,288MB/フレーム

ポストプロセス

ブルームやカラーグレーディングなどで、雑にフレームバッファx4ぐらいを想定

241 x 4 = 964MB/フレーム

1フレームあたりの合計

不透明+半透明+ポストプロセス

321 + 1,288 + 964 = 2,574MB/フレーム

90Hz換算

2,574 x 90 =  231,660(約232GB/s)

2xMSAAの場合

不透明レンダリング部分を2倍に

321 x 2 = 642MB/フレーム

不透明+半透明+ポストプロセス

642 + 1,288 + 964 = 2,894MB/フレーム

90Hz換算

2,894 x 90 = 260,460(約260GB/s)

4xMSAAの場合

不透明レンダリング部分を4倍に

321 x 4 = 1,284MB/フレーム

不透明+半透明+ポストプロセス

1,284 + 1,288 + 964 = 3,536MB/フレーム

90Hz換算

3,536 x 90 = 318,240(約318GB/s)

グラフでイメージを掴む

計算してみた結果をグラフにしてみました。少なくとも8倍にするのは避けた方が良さそうなのが明確に分かります。

実効速度を考慮

スペック表記にあるVRAM帯域幅が理論値で出せるかというと、きっとそんなことはないでしょう。

VRAM帯域幅159GB/sのGTX285(DDR3)のメモリベンチマークで0.71~0.83倍程度の結果が出ていることや、768GB/sのRTX A5000(GDDR6)の場合はピーク速度で0.88倍ぐらいというデータが見つかったほか、「70%以上の効率に達するのは難しい」という話もあります。

メモリのランダムアクセスやキャッシュミスなどの効率が悪くなる要素や、各種待ち時間、ROPが処理できる書き込みやブレンド処理などの限界で100%の速度は出せないという感じだと思われます。

NVIDIA GPUの実効メモリ帯域(STREAMベンチマーク)
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実効帯域幅50%で見積もってみる

VRChatではどうなのかというと、最適化とはほど遠い最悪ケースが多いことでしょう。4Kのテクスチャだらけで、透過とポストプロセスがてんこ盛りです。Infinity Cacheも上手く作用しないものとし、実効帯域幅は50%程度になると仮定して計算してみます。

Radeon RX9070XTRadeon RX7900XT
VRAMGDDR6 16GBGDDR6 20GB
メモリインターフェイス256bit320bit
メモリ帯域幅640GB/s800GB/s
メモリ帯域幅@50%320GB/s400GB/s
3168x3168px@90FPS2592x2592px@90FPS
MSAAなし232GB/s154GB/s
2xMSAA260GB/s174GB/s
4xMSAA318GB/s212GB/s
8xMSAA434GB/s290GB/s

ワールド内に1人しか居ない状況のデータを参考にしていますので、実際はもっと悪くなることを考えると片目3Kでは4xMSAAが厳しいのは明らかです。

VRAM帯域幅だけではなく、ROP数の差などの複合的なボトルネックが生じると思いますので、4xMSAAを使うとRX9070XTでは処理が間に合わなくなる可能性がありそうです。

ROPは最終的な結果を書き出したり、MSAAなどの処理を担う部分です。ということは、解像度によってはVRAM帯域幅よりも先にROP側がボトルネックになる事がありそうです。
参考:ROP は何の略 | Coelacanth’s Dream

今回は扱っていませんが、RX9060XTだとRX9070XTの半分の性能(CU数32 ROP数64 帯域幅128bit 320GB/s)となるので、実効帯域を50%として160GB/sになるのを想定すると片目2592x2592pxでは2xMSAAすら難しいのが容易に想像できます。

片目2.5~3Kでは4xMSAAがボーダーラインになるというおおよその見当がついたので、幾つかのワールドで実際にテストをしてみます。

片目辺り3168pxから順にテスト

PICO 4 UltraとVirtual Desktopを使用し、H.264+ 600Mbpsの設定でテストしています。VRChatの設定はアンチエイリアス設定以外を全て最高設定にしてあります。(高プリセットベースでミラーを無制限に)

設定解像度
Godlike3168x3168px
Ultra2784x2784px
High2592x2592px

使用するアバターはVRCMarkで使ったRobotでも良いのですが、今回は今どきのアバターを使っていると想定して、サンプルアバターの「ラムネ」を使用しました。

オリジナル3Dモデル『ラムネ』 - Ramune - えも研 - BOOTH
オリジナル3Dモデル『ラムネ』🪼💜🌟 クラゲのような透明感をまとった女の子です。こんぺいとうが好き。 ┈┈┈┈ 『ラムネ』試着ワールド Ramune Sample World

『ラムネ』試着ワールド
Ramune Sample World
https://vrchat.com/home/world/wrld_eafbb9e0-ed99-4cbd-884f-dd57473d6948/info

PC構成

メインPC検証機
  • ASRock B650 LiveMixer(AGESA ComboAM5 1.2.0.3g)
  • Ryzen 9 7950X3D
  • SAPPHIRE PULSE Radeon RX 7900 XT GAMING OC 20GB
  • DDR5-5600 64GB
  • Windows 11 Pro 25H2
  • 【備考】空冷クーラー、デュアルディスプレイ(WQHD x2)
  • ASUS TUF GAMING B850-PLUS Wi-Fi(AGESA ComboAM5 1.2.7.0)
  • Ryzen 7 9800X3D
  • Radeon RX 9070 XT Steel Legend Dark 16GB
  • DDR5-5600 64GB
  • Windows 11 Pro 25H2
  • 【備考】水冷クーラー、シングルディスプレイ(WQHD x1)、Windows新規セットアップ直後
  • SteamVR 2.15.1 beta
  • Virtual Desktop 1.34.14
  • PICO Connect 10.6.6
  • PICO 4 Ultra 5.14.5.U
  • AMD Software:Adrenaline Edition 25.12.1
  • AMD Chipset Drivers:7.11.26.2142
  • HAGS:オン
  • ゲームモード:オフ
  • 電源プラン:バランス
  • 電源モード:最適なパフォーマンス

Ryzen 9 7950X3DとRadeon RX7900XTのPCは空冷ファンでの冷却なうえ、ディスプレイが2台接続されているという全体的に不利な構成でのテストになります。その影響か、GPU温度はRX7900XTが67~69℃に対して、RX9070XTが57~60℃でした。

測定位置のスクリーンショットはRX9070XTでアンチエイリアスなしの状態を掲載しています。

RX9070XTが逆転された部分だけ赤色で示しておきます。

Carnelian Town – Rainy Night

VRChat - Home
Carnelian Town - Rainy Night by Nekoro - a virtual reality world on VRChat

RX9070XT優位のワールドです。単純にシェーダー性能差で勝ってる感じがあります。普通にGPU負荷が高い場所なので、フレームレートの低さはVRAM帯域幅以前の問題だと思われます。流石に8xMSAAにするとVRAM帯域幅の方で足を引っ張ってそうですね。

None2xMSAA4xMSAA8xMSAA
Godlike 3168x3168px
9800X3D4.2ms4.1ms4.1ms4.2ms
RX9070XT21.4ms/47FPS25.3ms/40FPS28.5ms/35FPS45.5ms/22FPS
7950X3D5.2ms5.1ms5.0ms5.1ms
RX7900XT24.8ms/38FPS28.2ms/34FPS30.2ms/32FPS39.1ms/25FPS
Ultra 2784x2784px
9800X3D4.2ms4.3ms4.2ms4.2ms
RX9070XT17.0ms/59FPS20.0ms/50FPS22.4ms/45FPS35.6ms/28FPS
7950X3D5.5ms5.2ms5.1ms5.2ms
RX7900XT19.6ms/48FPS22.2ms/43FPS23.7ms/40FPS30.7ms/31FPS
High 2592x2592px
9800X3D4.4ms4.4ms4.4ms4.4ms
RX9070XT15.1ms/66FPS17.7ms/56FPS19.9ms/50FPS31.3ms/32FPS
7950X3D5.4ms5.4ms5.1ms5.2ms
RX7900XT17.4ms/53FPS19.8ms/47FPS20.7ms/46FPS27.1ms/36FPS

Complex 7

VRChat - Home
Complex 7 by Fins - a virtual reality world on VRChat

ポストプロセスなどもしっかり掛かってそうなワールドです。

他の結果と違って、7950X3D/RX7900XTのCPUフレームタイムが一定ではないのが気掛かりです。ギミックなどもあるため、CPUボトルネックとなりやすいように思います。

None2xMSAA4xMSAA8xMSAA
Godlike 3168x3168px
9800X3D6.1ms6.2ms6.2ms6.4ms
RX9070XT13.8ms/71FPS16.9ms/59FPS19.6ms/51FPS29.2ms/34FPS
7950X3D14.2ms7.8ms7.6ms9.3ms
RX7900XT10.3ms/68FPS14.4ms/62FPS16.3ms/56FPS24.9ms/38FPS
Ultra 2784x2784px
9800X3D8.0ms6.4ms6.1ms6.2ms
RX9070XT11.3ms/86FPS13.6ms/72FPS15.7ms/63FPS23.1ms/43FPS
7950X3D12.0ms7.9ms7.4ms7.6ms
RX7900XT8.2ms/80FPS11.2ms/79FPS12.4ms/72FPS19.0ms/49FPS
High 2592x2592px
9800X3D11.0ms6.5ms6.4ms6.5ms
RX9070XT9.6ms/86FPS12.2ms/81FPS14.0ms/71FPS20.4ms/49FPS
7950X3D11.9ms11.6ms7.5ms7.5ms
RX7900XT7.7ms/81FPS8.9ms/83FPS11.3ms/79FPS17.1ms/54FPS

Last Generation ⁄ 最後の世代

VRChat - Home
Last Generation ⁄ 最後の世代 by _Harim - a virtual reality world on VRChat

4xMSAAで僅差となるので、結構綺麗に結果が分かれました。

None2xMSAA4xMSAA8xMSAA
Godlike 3168x3168px
9800X3D2.9ms3.0ms3.0ms6.4ms
RX9070XT11.5ms/85FPS16.9ms/59FPS22.4ms/45FPS39.1ms/26FPS
7950X3D3.4ms3.5ms3.4ms3.4ms
RX7900XT13.0ms/69FPS17.1ms/54FPS20.3ms/46FPS33.3ms/29FPS
Ultra 2784x2784px
9800X3D3.0ms3.0ms3.1ms3.7ms
RX9070XT8.5ms/90FPS13.1ms/76FPS17.2ms/58FPS29.8ms/34FPS
7950X3D3.7ms3.5ms3.6ms3.6ms
RX7900XT10.2ms/86FPS13.3ms/67FPS15.6ms/59FPS26.1ms/37FPS
High 2592x2592px
9800X3D3.2ms3.3ms3.3ms3.3ms
RX9070XT7.7ms/90FPS11.4ms/86FPS15.2ms/65FPS25.7ms/39FPS
7950X3D3.9ms3.5ms3.5ms3.5ms
RX7900XT9.2ms/90FPS11.7ms/74FPS13.7ms/66FPS22.7ms/42FPS

Windows XP – Bliss

VRChat - Home
Windows XP - Bliss by RED_SIM - a virtual reality world on VRChat

GPU Grassを使用したワールドです。かなり軽量とはいえ描画するものが非常に多いので、アンチエイリアスを掛けていなくてもROP数の多いRX7900XTのが有利そうです。

None2xMSAA4xMSAA8xMSAA
Godlike 3168x3168px
9800X3D1.5ms1.5ms1.5ms1.5ms
RX9070XT10.8ms/90FPS14.1ms/70FPS19.0ms/52FPS37.9ms/27FPS
7950X3D1.7ms1.7ms1.8ms1.8ms
RX7900XT8.7ms/90FPS11.5ms/76FPS14.7ms/62FPS27.9ms/34FPS
Ultra 2784x2784px
9800X3D1.6ms1.5ms1.5ms1.5ms
RX9070XT7.9ms/90FPS11.1ms/89FPS14.5ms/68FPS28.3ms/36FPS
7950X3D1.9ms1.7ms1.9ms2.0ms
RX7900XT6.5ms/90FPS8.7ms/90FPS11.4ms/78FPS20.6ms/45FPS
High 2592x2592px
9800X3D1.7ms1.7ms1.6ms1.7ms
RX9070XT7.0ms/90FPS9.5ms/90FPS12.9ms/77FPS24.6ms/41FPS
7950X3D1.9ms1.7ms1.8ms2.0ms
RX7900XT5.7ms/90FPS7.6ms/90FPS9.8ms/89FPS17.4ms/53FPS

春空の休息地 -BloomingSky Rest-

VRChat - Home
春空の休息地 -BloomingSky Rest- by Leiria_vrc - a virtual reality world on VRChat

桜の花びらが舞っており、全体にライトブルームが掛かっているような柔らかい雰囲気のワールドです。ポストプロセス周りの影響などで、ROP数やVRAM帯域の強いRX7900XTが有利になってそうです。

None2xMSAA4xMSAA8xMSAA
Godlike 3168x3168px
9800X3D5.0ms6.3ms5.8ms4.7ms
RX9070XT17.6ms/56FPS21.7ms/46FPS25.8ms/39FPS40.4ms/25FPS
7950X3D7.0ms9.0ms8.6ms7.0ms
RX7900XT16.0ms/57FPS19.9ms/47FPS21.7ms/43FPS31.7ms/31FPS
Ultra 2784x2784px
9800X3D5.9ms5.3ms6.8ms5.5ms
RX9070XT14.4ms/69FPS17.7ms/56FPS20.8ms/48FPS32.0ms/31FPS
7950X3D7.6ms6.9ms6.5ms7.4ms
RX7900XT12.8ms/70FPS15.9ms/58FPS17.4ms/53FPS25.2ms/38FPS
High 2592x2592px
9800X3D6.2ms5.9ms5.3ms5.9ms
RX9070XT12.7ms/77FPS15.7ms/63FPS18.3ms/54FPS28.2ms/36FPS
7950X3D8.1ms7.2ms6.9ms7.5ms
RX7900XT11.6ms/76FPS14.1ms/64FPS15.3ms/60FPS22.2ms/43FPS

西つつじヶ丘児童遊園 ⁄ Nishi-Tsutsujigaoka Children’s Playground

VRChat - Home
西つつじヶ丘児童遊園 ⁄ Nishi-Tsutsujigaoka Children's Playground by ぽぶ茶_pob - a virtual reality world on VRChat

最近流行りのVRC Gaussian Splattingを使用しているワールドです。この手のワールドではアンチエイリアス設定を無効にするよう案内されることが多いです。

恐らくガウス分布の合成処理やデータの読み書きに掛かるコストが通常のメッシュよりも高いため、MSAAを適用すると早い段階でVRAM帯域幅が不足するのではないかと推測します。RX9070XTではパフォーマンス低下の具合が著しいのが分かります。

None2xMSAA4xMSAA8xMSAA
Godlike 3168x3168px
9800X3D1.2ms1.3ms1.2ms1.2ms
RX9070XT11.6ms/85FPS17.9ms/55FPS30.4ms/33FPS61.7ms/17FPS
7950X3D1.7ms1.9ms4.9ms9.6ms
RX7900XT11.4ms/76FPS14.0ms/63FPS18.4ms/50FPS33.4ms/29FPS
Ultra 2784x2784px
9800X3D1.6ms1.3ms1.3ms1.3ms
RX9070XT9.3ms/90FPS14.2ms/70FPS22.5ms/45FPS44.7ms/23FPS
7950X3D1.7ms1.5ms1.6ms1.7ms
RX7900XT8.9ms/90FPS11.4ms/77FPS14.8ms/61FPS25.5ms/37FPS
High 2592x2592px
9800X3D1.5ms1.4ms1.4ms1.5ms
RX9070XT8.5ms/90FPS12.8ms/77FPS19.4ms/51FPS37.8ms/27FPS
7950X3D1.7ms1.5ms1.5ms1.5ms
RX7900XT7.6ms/90FPS10.4ms/84FPS13.2ms/68FPS22.1ms/43FPS

まとめ

VRCMark v2のベンチマーク結果から、4xMSAAを使うかどうかで結果が分かれると思っていましたが、そんな単純な話ではなさそうです。

VRChatの比較的軽量なワールドではRX9070XTのパフォーマンスは優れており、RX7900XTを圧倒する場面が見られました。しかし、RX9070XTが有利なシーンでも4倍程度のアンチエイリアス(4xMSAA)を使用すると予想したとおり立場が逆転してしまうようです。それに加えて、アンチエイリアス未使用でも描画するものやポストプロセスなどが多いと遅くなってしまうため、最悪ケースを考慮すると全体的にはRX7900XTのが有利という結果が出ました。

これについては、主にROP数やVRAM帯域幅の差が影響しているのではないかと考えています。パーティクルのような半透明処理が多かったり、Gaussian SplattingやGPU Grass/Snowといった描画するものが多いときに性能差が顕著に表れたように感じます。

「VRChatではVRAM帯域幅が重要だ」とよく言われますが、具体的にどこで重要となるのかを扱った情報があまり見当たりません。もちろん、アバターを読み込んだりするときに必要な性能だとは思いますが、アンチエイリアス設定(MSAA)の有無も大きく関わってくるという点は見落とされているのではないでしょうか。ROP数については内訳不明で具体的な検証が難しそうなので推測程度に留めておきますが、今回の検証である程度の傾向が分かったような気がします。

解像度別目安

今回の検証結果から、解像度別に必要なVRAMの帯域幅が出せそうなので目安として置いておきます。これは90FPSきっちりと出せている前提の計算なので、実際には想定したとおりの性能が出ないことを考慮してください。Virtual DesktopとPICO 4 Ultraを使用した場合の解像度です。

なし2xMSAA4xMSAA8xMSAA
Potato 1344px41GB/s47GB/s57GB/s77GB/s
Low 1728px69GB/s78GB/s95GB/s130GB/s
Medium 2016px94GB/s106GB/s129GB/s176GB/s
High 2592px154GB/s174GB/s212GB/s290GB/s
Ultra 2784px179GB/s201GB/s246GB/s335GB/s
Godlike 3168px232GB/s260GB/s318GB/s434GB/s
Monster 3648px306GB/s345GB/s421GB/s574GB/s
  • 両目分の解像度:(片目縦 x 片目横) x 2
  • カラーバッファ:両目解像度 x 8Byte/px
  • 深度バッファ:両目分解像度 x 4Byte/px
  • フレームバッファ:カラーバッファ + 深度バッファ
  • 不透明オブジェクトのレンダリング部分:カラーバッファwrite + 深度バッファread + 深度バッファwrite
    • MSAAありの場合:不透明オブジェクトのレンダリング部分をMSAAの倍率で掛ける
  • 半透明オブジェクトのレンダリング部分:オーバードロー4回程度を想定(カラーバッファread + カラーバッファwrite)x4
  • ポストプロセス部分:ブルームやカラーグレーディングなどでフレームバッファの4倍程度を想定
  • 1フレームあたりの合計:不透明 +  半透明 + ポストプロセス
  • 1秒あたり:1フレームあたりの合計 x 90Hz
  • その他ディスプレイへの表示やエンコードなどは一切考慮せず

RadeonのVRAM帯域幅とROP数

TechPowerUpに掲載されているパフォーマンス順に並べています。シェーダー数やCU数、Infinity Cacheは考慮していません。

VRAM帯域幅ROP数
RX7900XTX(24GB)960GB/s(480GB/s@50%)192
RX9070XT(16GB)640GB/s(320GB/s@50%)128
RX7900XT(20GB)800GB/s(400GB/s@50%)192
RX9070(16GB)640GB/s(320GB/s@50%)128
RX7900GRE(16GB)576GB/s(288GB/s@50%)160
RX6950XT(16GB)576GB/s(288GB/s@50%)128
RX6900XT(16GB)512GB/s(256GB/s@50%)128
RX7800XT(16GB)624GB/s(312GB/s@50%)96
RX6800XT(16GB)512GB/s(256GB/s@50%)128
RX7700XT(12GB)432GB/s(216GB/s@50%)96
RX9060XT(16GB)320GB/s(160GB/s@50%)64
RX6800(16GB)512GB/s(256GB/s@50%)96
RX6750XT(12GB)432GB/s(216GB/s@50%)64
RX6700XT(12GB)384GB/s(192GB/s@50%)64
RX7600XT(16GB)288GB/s(144GB/s@50%)64
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【おまけ】GeForce RTX2080でテスト

今回計算してみた結果が役立つかはなんとも言えませんので、試しに表を元にGeForce RTX2080の場合を予測してみましょう。VRAM帯域幅が448GB/sでROP数は32です。大まかな性能はRX7900XTの半分未満らしいので、MSAA込みで片目2592pxが行けるかどうかぐらいだと予想します。

448GB/sの半分となる224GB/sで想定すると、Medium 2016pxで8xMSAAは問題なく行けそうな感じがします。High 2592pxは処理性能が足りてさえいれば4xMSAAまで行けるかもしれませんし、Ultra 2784pxならMSAAなしが90FPSで動作しそうです。

結果としては以下の通りとなりました。VRChat Homeのリスポーン地点のデータを使用しました。

RTX2080(224GB/s@50%)なし2xMSAA4xMSAA8xMSAA
Medium 2016px5.0ms/90FPS6.2ms/90FPS7.2ms/90FPS8.6ms/90FPS
High 2592px7.6ms/90FPS10.3ms/86FPS11.4ms/79FPS
Ultra 2784px9.4ms/90FPS11.5ms/75FPS
Godlike 3168px11.8ms/76FPS

「当たらずとも遠からず」ですかね。Ultra 2784pxが予想通りMSAAなしで90FPSが出ていますので、High 2592pxでMSAAを使用したときに微妙な結果が出ているのは、VRAM帯域幅ではなくROP側のボトルネックかもしれません。RTX2080と似たような性能となるRTX5050の場合、320GB/sなのでその半分となる160GB/sとした場合に、High 2592pxのMSAAなしがギリギリで、Medium 2016pxなら4xMSAAまでが限度だと予測できます。メモリ圧縮とかなんか色々と考慮してないので、大まかな目安にしかなりませんが。

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