raytrektab RT08WTのCPU負荷が高すぎる不具合

解決策

タッチパネルを無効にする。

修理に出してみる(小声)

性能の割に遅い(調査)

動作が遅いとは聞いていた「raytrektab 8インチモデル RT08WT」ですが、それにしてもどうにも様子がおかしい……。Celeron N4000にメモリ8GB、SSDは128GBと、初代raytrektab DG-D08IWPと比べて多少なりとも性能は良くなっているはずなのですが、その初代よりも動きが遅いのです。

OSバージョン:Windows 10 Pro 21H1 / Windows 11 Pro 21H2

Systemプロセスが3割ほど専有している

ログオン後、動作が落ち着くまでしばらく待った後タスクマネージャーを確認しました。

CPU使用率が常に高い

「System」と「システムの割り込み」が常にCPUを使用している状態となっていました。これは何度再起動しようと、そして何時間放置しても全く変化はありません。

Systemプロセスの内訳を確認する

Process Explorerを使って確認する

「Process Explorer」を使って詳細を確認してみると、「Interruputs」という項目がCPUを使用している事がわかりました。要するに割り込みですね。

Process Explorerの説明には「Hardware Interrupts and DPCs」、つまり「ハードウェア割り込みと遅延プロシージャコール」という内容の事が書いてありましたが、何が割り込んでいるのかまでは分かりません。

Tracelogでログを取る

さて、このTracelog.exeなんですが、Windows Driver Kitを入れるとあるよ~との情報を見かけましたが、WDK単体で拾ってきても見当たりませんでした。Microsoftのドキュメントにあるように、素直にVisual Studio 2019をインストールし、そこからWindows SDKを追加するとようやく入手できました。

Windows Driver Kit (WDK) のダウンロード – Windows drivers | Microsoft Docs

次に、管理者権限で起動したコマンドプロンプトからTracelogを実行してログを収集します。開始コマンドは以下の通り。

tracelog -start -f test01.etl -dpcisr -UsePerfCounter -b 64

例 15 DPC/ISR 時間の測定 – Windows drivers | Microsoft Docs

ログが集まるまで1分ほど待ってから停止コマンドを打ち、レポートを出力します。

tracelog -stop
tracerpt test01.etl -report dpcisr.html -f HTML

出力されたHTMLのログを開き、DPCの欄を確認してみると、「wdf01000.sys」の使用率が高いことが分かりました。Windows Driver Frameworkのコンポーネントみたいですね。WDFを使って作られたドライバが悪さをしているのだろうということは分かりました。うん、うーん?

タッチパネルを無効にしてみる

結局はっきりした情報が得られませんでした。軽く検索してみても、ワイヤレスアダプターが悪いだとか、USB機器の問題だとか、特定のマウスやゲームコントローラーなどの入力デバイスを繋ぐと起こるだとかそういった情報ばかりです。

raytrektabで入力デバイスといったら、タッチパネルとペンと物理ボタン、あとは指紋センサーぐらい……嫌だなぁと思いつつ、タッチパネルである「Goodix Touch HID」を無効にしたところCPUが落ち着きました。

Goodix Touch HID

Goodix Touch HID無効化後

タッチパネル、タッチパネルか……そうか……。

ドライバを替えてもどうにもならない

きっとGoodixのドライバ(1.2.2.5)が原因なのだろうと考え、Microsoft Update カタログからバージョン1.3や1.4のドライバを拾ってきて適用してみましたが、変化はありませんでした。また、TouchSetting.gtを置き換えしないようにアップデートを行っても、初期のドライバ以外はタッチ位置が微妙におかしくなるので試すのは非推奨です。

WDFを利用して作ったドライバではよくあることらしいですが、よくあっても困ります。不具合といっても差し支えないでしょう。修正済みのドライバがあれば改善されるのかもしれませんが、2018年以降Goodixからドライバが出ている様子はないのであんまり期待はしてません。

タッチパネルを諦めよう(対策)

raytrektab RT08WTはCeleron N4000を搭載ということで、初代raytrektabのAtom x5-Z8350と比べて性能自体は上がっています。コア数は4つから2つに減っていますが、本来ならばシングル性能で2倍、全体でも1.5倍ぐらいの性能アップとなるはずです。しかし、常に割り込みで3割程度CPUを使用している状態となると微妙なところですし、絶対的な性能が低いので動作はかなり酷い感じとなってしまっています。

Goodix Touch HID有効時

Goodix Touch HID無効時

1コア使い切ってるの笑うしかないんだが……。

Goodix Touch HID無効時

Goodix Touch HID有効時

こうなると妥協するしかありません。タブレットとしての魅力は薄れますが、タッチパネルを無効にしてペン操作のみで利用することにしました。ペンはワコムなので、Goodixのタッチパネルを無効にしても問題ありません。

とはいえ、付属の「raytrektab Stylus S2」をブラウジングなどの用途で使うのはペン先が細すぎて少し扱いにくいです。(スクロール操作でペン先をすり減らすのも癪に障りますしね。)raytrektabはWacom feel IT Technology対応のペンであれば利用できますので、Galaxy NoteのSペンや、初代raytrektabを所持しているのであればその付属のペンを流用し、絵を描くとき以外はそれらのペンを使うのが個人的にオススメです。

絵を描くときにキャンバス操作をタッチで行っていると少し不便になりますが、ペイントソフト側のレイアウト変更や、Bluetooth接続の小型コントローラーなどでカバー可能だと思います。

手軽なお絵描きタブレットとしてもっと気楽に使いたかったのですが致し方ありません。ドライバが更新されるか、他の改善策が見つかるまではタッチ無しで運用していこうと思います。

たまにタッチパネルを使いたい場合

→「TouchSwitch」でオン・オフできるようにしておく

あまり使わない音量ボタンを、タッチパネルオン・オフスイッチとして設定します。デバイス指定はGoodix Touch HIDです。

Windowsキーをトグルスイッチとして使用すると若干不便があったので、PowerToysのKeyboard Managerで音量上ボタンに適当なショートカットキー(他と被らないこと)を登録し、同じものをTouchSwitchにも登録しました。

とりあえずこれで、タッチパネルのオン・オフを音量ボタンで行えるようになります。すぐにペンが取り出せないときや、どうしてもタッチパネルで操作したいときなどに一時的にオンにすると良いかと思います。

オン・オフするときにタスクトレイが伸びたり縮んだりする謎の現象に見舞われていますが、まぁ大きな問題ではないです。

(でも、肝心のPowerToysが重たいんだよなぁ……。)

そもそも性能が低いので色々削る(番外編)

まぁ気休め程度に。

  • スタートアップを減らす
  • 設定の「プライバシーとセキュリティ」からおすすめ表示や追跡に関連するものを止める
  • Windows Searchサービスを停止する
  • 電源モードを「最適なパフォーマンス」にする(そんなに電力食わないCPUなので)
  • 電源オプションのプラン設定で「インテル グラフィックスの設定」を高パフォーマンスにする(そんなに電力食わないCPUなので)
  • Windows Defenderをやめてアバストにしてみる
  • ウィジェットを消す
  • エッジスワイプを無効にする
  • Dropboxなどは入れない
  • MSIMEをやめてATOKにしてみる

Windows Defenderをやめてアバストにしてみる

個人的にWindows Defenderでええやん派なのですが、ファイルの読み書きが入るたびに行われるチェックがかなり高負荷となってしまっているようなので、「アバスト無料アンチウイルス」と入れ替えました。(ちょっと鬱陶しかったので結局Windows Defenderに戻したけど)

無料版を利用していることもあり、セキュリティは下がってる可能性はありますが……。セキュリティソフトがあるから安心なんてことは決してありませんので、自ら危険な橋を渡らないようにして安全な運用を心がけましょう。また、別途インストールしたセキュリティソフトはOSアップデートの際にトラブルを起こす可能性もありますので、それを念頭に置きつつ導入します。

ウィジェットを消す

Windows 11では左側からのスワイプ操作でウィジェットが表示されるようになっています。うっかり誤爆したときに邪魔なほか、多少なりともリソースを持って行くのでグループポリシーエディターで停止します。(raytrektab RT08WTはHomeではなくProなので)

スタートメニューの検索窓で「gpedit」と入力すると「グループ ポリシーの編集」が候補に出てくるので開きます。「コンピューターの構成→管理用テンプレート→Windows コンポーネント→Widgets」を開くと「Allow widgets」という項目があるので、「無効」にします。

設定後はログオンしなおすか、再起動しましょう。

エッジスワイプを無効にする

ウィジェットを削って僅かながらリソースを確保しましたが、右利きの方は絵を描いているときに画面右端からのスワイプで通知センターが出てきて邪魔なことでしょう。同じくグループポリシーエディターで潰します。

「コンピューターの構成→管理用テンプレート→Windows コンポーネント→画面端のUI」と辿り、「エッジ スワイプを許可する」を「無効」に設定します。

但し、Windows 11では画面右下の時計をタップすると出てきてしまうので、タスクバーの位置を変更できるアップデートとかに期待したいところです。ちなみに、通知センター表示のショートカットキーはWindows + Nキーです。

注意点がひとつあり、2 in 1デバイス向けのタッチに最適化されたタスクバーを有効にしている場合、スワイプでタスクバーを展開できなくなります。その場合はエッジスワイプを有効に戻してください。

Dropboxなどは入れない

スタートアップアプリを減らそうというところにも繋がりますが、DropboxやOneDriveなどのオンラインストレージサービスはファイルの同期で負荷がかかります。使っていないつもりでも裏でアップデートしていたりもします。

CLIP STUDIO PAINTを利用している場合はクラウド機能を利用してみましょう。

あるいは、Sモード版で茶を濁します。

Dropbox Lite
Dropbox Lite
開発者: Dropbox Inc.
金額: 無料

MSIMEをやめてATOKにしてみる

有料じゃないか!と言われそうですが、iOS版の為にATOK Passport契約してたりしませんか?(しない?)

MSIMEとGoogle日本語入力、そしてATOKを使ってみた感触としては、体感でATOKが最も軽かったです。タッチキーボードで利用した際にもたつき具合が一番マシで、ある程度の長文であってもあまり苦もなく入力できています。

【追記】修理に出した

うっかり致命的な壊し方をしたので、修理に出しました。入っていて良かったセーフティサービス!(改造を施すなどの明らかにダメな壊し方ではない限り、落下や水没といったユーザー過失での故障も補償対象です)

タッチパネルの件はきっと仕様と言われるだろうと諦めており、修理に出す際は特に触れていませんでした。ところが。

おかしい、何故か直ってる(失礼)

Goodixのドライバはバージョン1.2.2.5のまま変更はなく、OSはWindows 10 20H2の状態で修理から帰ってきました。

さて、新品で買ったときは初回起動時から既におかしかったのですが、修理後は特に問題は起こっていません。製造番号はそのままですが、タッチパネルからのコイル鳴きの音(悪化したw)やスピーカーの具合が修理前と異なるので、ハードウェアが殆ど別の個体となっているかもしれません。(壊したのはマザーボード部分、部品交換したと記載)

不具合のある個体ではOSをクリーンインストールしてもダメという話もありますし、こうなるとタッチパネルの不具合が起きるかどうかは「ハードウェアの個体差」ということに……?

Windows 11 21H2にアップデートしても大丈夫でした。

9ヶ月ほど前と比べてEdgeのバージョンが上がっていますが、タッチパネルを有効にしたままのベンチマークテスト結果も良好で、問題ありませんでした。

外装はちゃんと綺麗になって帰ってきたし、製品のコンセプトも好印象なんですが、やっぱり当たり外れがあるってなんだかなぁ……。(何年も前に発売日購入した初代raytrektabも画面にゴーストが出る不具合を引き当てていたのですが、まぁ致命的でもなかったので。現在はタッチパネルもお亡くなりに。)ドスパラから何台かタブレットを購入してますが、どれもタッチパネルが壊れてしまって長持ちしないところが辛いところですね。

BIOSバージョン

TVE8016ET13_ROHM 5.13, 2021/10/19

肝心の修理前のバージョンを控えてないのですが、買ったのは2021年の6月なので日付は新しくなってるっぽい?でもアップデートの案内はないのでなんとも。しかも5.13のまま日付違いってものもあるようなので……。大抵はリリース時の日付になっているものだと思うのですが、まさか工場で書き込んだ日付になってたりする?

TVE8016ET06_ROHM 5.13とTVE8016ET07_ROHM 5.13はダメだったというのは確認してます。いずれも2020年のものですね。なんかかなりの数バリエーションがありそうなんですが、どうなんでしょう?

もし、新しいバージョンで改善されるとかならば配信して欲しいところですが、新しい部品でないと適用できないとかあるのかもしれないですね。

尚、ベースボードはTechVision製です。ですが、TVE8016は見つけられませんでした。

シリアルナンバー

8016EE2012**** → 8016EE2104****

製造番号はそのままに、シリアルナンバーが更新されました。

ブラウザでの動画再生も問題なし

そういえばすっかり忘れていましたが、ChromeやEdgeでYouTubeなどを再生すると、動画の枠内から大きくはみ出して正常に再生できない不具合がありました。

このタブレットで動画を観る機会がなく、自分の中では問題として認識されていませんでした。この手の問題は、ブラウザのハードウェアアクセラレーションを無効にすれば一時的に回避できると思われる他、グラフィックドライバの更新があれば直るだろうと考え、気にしないままでいました。

とりあえず、ドライババージョン27.20.100.8935(Windows Updateにて自動配信)とMicrosoft Edge 99.0.1150.55の組み合わせでは、ハードウェアアクセラレーションが有効でも動画再生の問題は起きていません。

【まとめ】ハズレを引かないことを祈る

タッチパネルを停止させると高いCPU負荷が収まることや、AndroidやChromeOS、その他LinuxといったWindows以外のOSでは問題がないことから、「Goodixのタッチパネルドライバだけが問題」であると思っていました。

しかし、基板故障(壊してゴメン)を理由に修理に出して帰ってきたところ、同一のタッチパネルドライバであるにもかかわらず、問題は起こっていませんでした。変化があったかもしれない部分としては、バージョンはそのままで日付とリビジョン?が異なるBIOSや、ベースボードと外装ぐらいでしょうか。部品交換がタッチパネルとセットであればそちらも変わっているかもしれませんが、判断は難しいですね。タッチパネル有効時にだけ聞こえるコイル鳴きの音?が変わってるので、ほぼ総取っ替えされたように見受けられます。

同じバージョンのタッチパネルドライバを使用した状態で個体差があるのようなので、BIOS側に問題があってドライバとの相性問題が起きているか、それとも実はタッチパネルそのものがおかしくてLinux上でも異常に割り込みが起きているが、WindowsにおいてGoodixのタッチパネルドライバで使用したときだけ負荷が顕著になるかのどちらかではないかと考えています。

既に手元には正常な個体しかなく、ベースボードごと壊した原因が他のOSを試していた際の事故なのでそこまで検証する気はありません。公式からアナウンスがあると嬉しいですが、問題だという認識ではない(仕様扱い)か、何らかの理由で修理対応じゃないと対処できないが割に合わないのかは分かりませんが、今のところ公式情報はありません。

仮に古いバージョンの物が原因である場合は、中古品や店頭在庫だとハズレを引き当てる可能性が高いかもしれないですし、公式通販で新品を買った方が良さそうだと思います。BTO扱いなのか、国内の工場で組み立ててから発送されたので、時間は掛かりますが恐らく新しい物が届くはずです。もちろん正常な物が届く保証はできませんので、祈りを捧げるか、ドスパラで買い物をして信仰を高めておくか……。

2021-06-15:ベンチマークテスト結果を掲載
2021-07-12:TouchSwitchのことを思い出したので追記
2021-11-12:余談
2021-12-11:エッジスワイプを無効にする話を追記
2022-02-23:手直し
2022-04-01:修理に出した件を追記
2022-04-11:手直し
2022-04-13:問題の起きていることを確認した個体のバージョンについて追記

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