白ロム価格が3万円と安い
AQUOS sense7 plusはSHARPが2022年に発売したSoftBank専売のスマートフォンです。大容量バッテリーや大型センサーのカメラといった特徴があります。
定価は69,840円ですが白ロムが多く流通しており、Amazonでも3万円台とかなり安価に購入できます。イオシスなどであれば3万円を切る価格で販売されています。(2023/10/06時点)
良かった点
- ミドルレンジモデルとしては頑張っているカメラ
- 動画周りに特化した各種機能
- フラットでシンプル、落ち着いたカラーリング
- バッテリー持ちが良い
- 白ロム価格3万円という安さ
悪かった点
- Softbank用のバンド構成なので他社で使いにくい
- カメラのパフォーマンスは低い
- ステレオスピーカーは期待するほどではない
- 今から買うにはちょっと気になる性能
映像を楽しむことに特化したplus
AQUOS sense7との差別化が図られ、plusの名を冠するAQUOS sense7 plusですが、カメラや搭載SoCといったスペックは同じです。大きくなったディスプレイやステレオ化したスピーカーなど、動画コンテンツを楽しむことに特化した違いがあります。
同じくplusと付くAQUOS sense4 plusのときはメモリが倍の8GBになっていましたが、AQUOS sense7 plusの場合はそのようなスペックアップはありません。(6GBのメモリと128GBの内部ストレージを搭載)
AQUOS sense7 plusには、AQUOS sense7よりも強化されている部分がありますが、Softbank専売ということもあってバンド構成がSoftbank向けになっているところはマイナスポイントです。自分はY!mobile(物理SIM)と楽天モバイル(eSIM)の組み合わせで利用しています。eSIMでの楽天モバイルは問題なく利用可能で、通話やSMSも行えます。但し、パートナー回線が利用出来ないので、地域によっては圏外になりやすいです。
AQUOS sense7との主な違い
AQUOS sense7 plus | AQUOS sense7 | |
---|---|---|
ディスプレイ | 約6.4インチ IGZO OLED(1080 × 2340) | 約6.1インチ IGZO OLED(1080 × 2432) |
リフレッシュレート | 黒画面挿入による疑似240Hz(120Hz) | 60Hz |
動画のフレーム補間 | 専用プロセッサによる120fps補間 | なし |
スピーカー | ステレオ | モノラル |
バッテリー容量 | 5,050mAh | 4,570mAh |
対応バンド(簡易表記) | Softbank向けバンドのみ | 主な国内バンドに対応 |
カラー | ディープカッパー、シルバー、ブラック | ライトカッパー、ブルー、ブラック、(ラベンダー※ドコモ向け)(フォレストグリーン※SIMフリー) |
疑似240Hzと動画のフレーム補間に対応
AQUOS sense7 plusは最大240Hzのリフレッシュレートと、専用プロセッサによる動画を120FPSまで補間するフレーム補間機能を搭載します。
240Hzといっても、120Hz駆動の合間に黒画面を挿入することで擬似的に240Hzを実現しているので、それに合わせてゲームなどが240FPSで動いているわけではありません。フレームレートは通常60FPSで、対応しているゲームならば120FPSとなります。恐らく、残像が抑えられる部分がメリットなのだと思われます。また、動きが無い場合は1Hz駆動となるので、省電力な設計なのも良い点ですね。
AQUOS sense7 plusのディスプレイをスローモーション撮影すると、点滅していることが分かります。
動画のフレーム補間については、専用のプロセッサを搭載することでDRMなどが掛かった有料動画でもフレーム補間ができるようになりました。これはAQUOSスマートフォンでは初とのこと。
AQUOS sense8が発表されたけど、どう?
2023年10月3日にAQUOS sense8が発表されました。
SoCはSnapdragon 6 Gen 1と新しくなり、カメラも光学手ブレ補正(OIS)の対応や画質エンジンのProPix5への更新といった各種アップグレードで、より綺麗に撮影できるようになりました。1/1.55インチのイメージセンサーはsense7シリーズと同じ物を使用していると思われますが、CPUの処理能力向上や後述するISPの大幅強化によりノイズの低減や撮影パフォーマンスの向上が期待できそうです。
AQUOS sense7 plusの利点は、3万円台の安さで入手できる部分が一番大きいですね。機能面では大画面と動画のフレーム補間、ステレオスピーカーあたりでしょうか。Softbank用のバンド構成なのが弱点なので、その1点のせいでオススメしづらいです。
AQUOS sense8との主な違い
AQUOS sense7 plus | AQUOS sense8 | |
---|---|---|
SoC | Snapdragon 695 5G | Snapdragon 6 Gen 1 |
ディスプレイ | 約6.4インチ IGZO OLED(1080 × 2340) | 約6.1インチ IGZO OLED(1080 × 2432)50%ブルーライト低減 |
リフレッシュレート | 黒画面挿入による疑似240Hz(120Hz) | 黒画面挿入による疑似180Hz(90Hz) |
動画のフレーム補間 | 専用プロセッサによる120fps補間 | なし |
スピーカー | ステレオ | モノラル |
バッテリー容量 | 5,050mAh | 5,000mAh |
対応バンド(簡易表記) | Softbank向けバンドのみ | 主な国内バンドに対応 |
光学手ブレ補正(OIS) | なし | あり |
画質エンジン | ProPix4 | ProPix5 |
電源ボタンと指紋センサー | ボタン別 | 一体型 |
DisplayPort | 非対応 | 対応 |
フラットなボディとシックなカラーリング
さて、気を取り直して外観を見ていきましょう。
AQUOS sense7と比較すると、上品で落ち着いたカラーリングです。このディープカッパーカラーが魅力のひとつではないかなと個人的には思っています。
アシスタントキーがなくなり、側面指紋センサーが追加
AQUOS sense7 plusでは、AQUOS sense6sまで搭載されていた「アシスタントキー」がなくなりました。正直なところ邪魔だなと感じていた方は居るかと思いますし、自分もその一人です。
代わりにというわけではありませんが、静電式の指紋センサーが側面部に搭載されています。
この指紋センサーは電源ボタンと一体ではありません。しかし、指紋センサーに触れてのスリープ解除が行えますので、電源ボタン一体型のものと同じように使うことができます。
マスクOK、顔認証にも対応
マスク着用状態での顔認証にも対応しています。電源ボタンを押すなど、指紋センサー以外でスリープを解除した際に利用することが可能です。認証速度もそれなりです。
マスクOKに加えてなんと暗闇でもしっかり認識されるので、使い勝手は非常に良いです。AppleのFaceIDのような仕組みではありませんので、やはりセキュリティ強度的には不安が残りますが、顔認証の不満点は解消しています。
Snapdragon 695 5Gを搭載
Snapdragon 695 5Gを搭載し、従来製品と比べてパフォーマンスと省電力性能が向上しました。
しかし、Snapdragon 720Gや690 5Gと比べるとISPのグレードが落ちてしまい、4K動画の撮影は行えなくなっています。(Spectra 350L/Spactra 355L→Spectra 346T)その他にはディスプレイのHDR10が非対応となってしまいましたが、全体的には良くなっています。
AQUOS sense6sがSnapdragon 695 5Gを搭載していたためスペック据え置きのように感じますが、AQUOS sense7用の設計を急遽AQUOS sense6に取り入れて発売したのがAQUOS sense6sという背景があるため、結果として据え置きのような状況になってしまったそうです。
そのお陰か、AQUOS sense6sで試行錯誤した結果を取り入れることができ、senseシリーズとしては最も開発期間を取れた製品となったとのことです。
Snapdragon 695 5Gは2022年から非常に多く使われているSoCです。ミドルレンジモデルが695一色に染まっている状況は、昨今の時勢が関係してそうな気もします。採用製品によっては物足りなさを感じますが、大きな問題を抱えているというわけではありません。2018年辺りから2020年頃まで使われ続けたSnapdragon 630を思い出しますが、2020年の時点で相当厳しかった630と比べるとまだ十分使える性能はあります。
流石に新モデルのAQUOS sense8ではSnapdragon 6 Gen 1になりましたので、そろそろ695の採用も減ってくるのかなと。
ゲームは厳しいものの、概ね良好なパフォーマンス
スクロール操作が所々引っかかる事はありますが、Snapdragon 720Gを搭載しているAQUOS sense4 plusと比べてスムーズに動いているように感じました。メモリは8GBから6GBに減りましたが、SoCのスペック自体はCPU・GPU共に少しだけ向上しています。
ゲームのFPS計測にはTakoStatsを用いました。
原神 Ver4.1でテスト
AQUOSのゲーミングメニューで「快適動作を優先する」設定を行いました。この設定により解像度がFHD+からHD+に低下しているはずです。原神側は低設定がデフォルトでしたが、最低設定(ブラーなども全てオフ)としました。
モンドやフォンテーヌを歩き回った感じでは30FPSちょっと出るぐらいとかなり低め。場所によっては40FPSを上回ることもありますが、基本的には30FPS設定でなんとか遊べそうな感じです。流石に戦闘をしようと思うとなかなか厳しいです。原神リリース当初ならまだしも、最低設定かつHD+まで解像度を下げている状態でこのパフォーマンスですので、快適に遊ぶのは難しいと思います。
プラシーボ効果かもしれませんが、「なめらかハイスピード機能」使用時は24FPSや30FPS設定でも違和感なく遊べたように思います。タッチレスポンス向上効果もありますが、低フレームレートであっても快適に感じられたのは、黒画面挿入で残像感が抑えられているからかもしれませんね。ちなみに「なめらかハイスピード機能」を使用していると、タイトル画面において「まだデータロード中なのに先に扉が出てきてしまう」ちょっとした不具合がありました。というか、データロード中のバーだけが普段の4倍かかるぐらい遅くなっていて、既にロードが終わっているのに無駄に待たされている感じのように見受けられます。とはいえ、ゲームプレイ中は特に支障はなさそうでした。
デイリーや秘境を軽くこなすぐらいは十分可能ですが、原神目的で使うことはあまりオススメはしません。
Pokémon GOでテスト
こちらは、かなり軽量な部類のゲームです。AQUOS sense7 plusでは非常に快適に動作します。
Pokémon GOにはネイティブリフレッシュレートで動作させる設定がありますので、こちらを有効にすることで30FPSから120FPSへとフレームレートが向上します。(リフレッシュレートに合わせるだけなので、60Hzの機種であれば60FPSで動くようになるはずです。)
原神と同様にHD+解像度に下げてプレイしていますが、FHD+のままでも大丈夫です。ほぼ120FPSで張り付いており、引っ掛かりもありませんでした。
ステレオスピーカー搭載、イヤホンジャックもあり
BOX構造の大口径スピーカーを搭載し、横持ち時に有効な「サラウンドプラス」という機能があります。動画コンテンツを楽しむことを目的としたplusならではの特徴です。
低音をアピールポイントとしているようですが、あまり低音は感じられませんでした。ミドルレンジモデル相応の音であると思います。サラウンドプラスについても広がりが感じられるようになりますが、変化が分かりにくいように思いました。
有線周りは、USBポートの横に3.5mmイヤホンジャックが搭載されています。USBポートはアナログ接続に対応していないので、そちらを使う場合はDAC付きのイヤホンである必要があります。(素直にイヤホンジャックを使おう。)
ミドルレンジモデルとしてはリッチなカメラ
AQUOS Rシリーズで培ったカメラ品質を、ミドルレンジのSenseシリーズ用に落とし込んだ感じがあります。SoCのグレードが落ちてしまって、ハードウェアの支援がない中でのやりくりをしていることもあり、結構無理をしているような気はします。ハイエンドモデルのようなサクサク軽快動作とは程遠いものの、十分な品質の写真が撮影できます。
ミドルレンジモデルとしては良好な暗所撮影
Pixelシリーズと比べると流石に負けてしまいますが、夜景撮影の品質も改善されており、オートフォーカスも不満なく行えます。
AQUOS sense4 plusのときは、ノイズだらけになったりぐちゃぐちゃになったりと散々でしたが、AQUOS sense7 plusはかなり良くなったと思いました。
近くを撮影するときは
メインカメラで手元を等倍撮影をする場合、少し距離を取らないと周囲がボケすぎてしまいます。あまり寄りすぎないように注意した方がよさそうです。
少し撮りにくさは感じましたが、概ね良好だと思います。少しだけズームして撮影するのもありだと思います。
デフォルトでかなりボケるので、ポートレート撮影モードの出番は少ないかもしれませんね。
広角カメラとの比較
約800万画素の広角カメラでの撮影は、少し暗く写ります。
ズーム撮影
撮影位置と距離が全く異なるので比較としては良くないのですが、ズーム撮影も悪くないように思います。
AQUOS史上最大のバッテリー容量
バッテリー容量は5,050mAhと大容量です。大画面ではありますが、IGZO OLEDとアイドリングストップ機能のお陰か電力消費は小さくて長持ちします。
Y!mobileと楽天モバイルのデュアルSIMで利用していますが、電波状況が微妙でも急激に減るような様子はありません。サブ機として運用する場合、スリープ状態で1週間程度は余裕そうな消費速度だったので、充電の頻度が少なくて済みます。
また、インテリジェントチャージ機能により、バッテリーへの負担を抑えて寿命を延ばす事が出来ます。最大充電量を90%にする(月に1回は100%まで充電される)機能や、画面表示中は充電せずにダイレクト給電する機能がありました。
充電速度はSoftBankの急速充電器(SB-AC22-TCPD)で約155分との案内があります。USB PD 60Wの充電器とRouteRのチェッカーで確認したところ、8.8V/1.7A辺りを示しており、15W程度の充電速度でした。
発売後の主な修正
発売してから数回のアップデートがあり、大きな問題はしっかりと修正されています。
ビルド01.00.02
- 再起動後「NFC/おサイフケータイ」設定がオフになる場合がある事象の改善
ビルド01.00.04
- 音楽、動画再生時にノイズが発生してしまう場合がある事象の改善
- まれに「商品特長」アプリのビデオコンテンツが繰り返し再生される場合がある事象の改善
- まれに黒画面となる場合がある事象の改善
- セキュリティの向上
ビルド01.00.05
- 特定条件下で再起動を行った後、再起動を繰り返す場合がある事象の改善
- まれに端末が正常に起動しない場合がある事象の改善
- カメラアプリの動作安定性の向上
- カメラの画質改善
- セキュリティの向上
ビルド02.00.02
- Android 13へのOSバージョンアップ
- 音声、データ通信がまれに不安定になる、できない場合がある事象の改善
- セキュリティの向上
スピーカーやディスプレイの不具合は修正され、本機のウリとも言えるカメラの画質改善も早急に行われました。ここのところAQUOS senseシリーズの品質が低くなっているように感じられますが、ソフトウェア周りはちゃんと改善がされているようです。
カメラの画質改善については、SHARPの公式サイトで具体的な説明がされており、力が入っていることがうかがえます。
Softbank系の回線を契約しているのならアリ?
比較的安価に入手可能で、ちょっと背伸びしたカメラや高リフレッシュレートのディスプレイで動画コンテンツを楽しめる部分に価値があるスマートフォンだと感じました。
オススメしづらい一番の理由がSoftbank用のバンド構成であることなので、Softbank系の回線を使用しているのであれば購入するのもそんなに悪くはないかなと考えています。例えば、サブ機としてY!mobileのシェア回線を入れるなどの運用であれば不便を感じることはないでしょう。楽天モバイルのパートナー回線の提供がないエリアにお住まいであれば、楽天モバイルでの運用でも対応機種との差はないです。
しかしAQUOS sense8が発表されたことで、あえてAQUOS sense7 plusを選ぶ理由はかなり薄れてしまったと思います。メインで使うつもりなら尚更です。安いサブ機として都合が合えば検討してみてはいかがでしょうか。
Amazon | |
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