前回の問題点を改善してパワーアップ
前回Makuakeで出資して手に入れたネッククーラーの「Metaura(メタウラ)」ですが、後継機が登場しました。

その名もRANVOO AICE 3(ランボー アイススリー)です。
AICE 1とAICE 2はどこに行った?Metauraの名前は?と思うかもしれませんが、国内で発売されたMetauraはAICE 1なのだそうです。しかし、最新のファームウェアにアップデートしたMetauraはアプリからはAICE 2だと認識されているので、一体どっちなんだって感じです。1と2の違いがどこにも記載されていないので謎のままです。(探しても見つけられなかった)
RANVOOは会社の名前で、Metauraの本体をよく見るとちゃんとRANVOOって書いてあります。ロゴも同じです。また、Metauraの名前については、RANVOO AICE 3起動時に「MetauraOS」と表記が出ることや、制御用スマホアプリの名前はMetauraアプリのままですので、ソフトウェアの名前として残っているようですね。
さて、名前についてはそのぐらいにしておいて、どこが改良されたのかを見ていきます。レビュー時点のファームウェアバージョンは、OS:V0.0.16 MCU:V0.0.14 アプリ:V1.6.17です。
※2024年7月時点の最新はOS:V0.0.20 MCU:0.0.23 アプリ:V2.1.1です。(2024年4月2日更新)
良かった点
- 装着感が改善された
- 風量が改善された
- バッテリー持ちが良くなった
- 放熱性能が上がった
- サーマルパッド部分はしっかりと冷たさを感じる
悪かった点
- やはり高温多湿下では無力(除湿できるわけじゃないので仕方ない)
- 炎天下でも無力(そんな気はしてた)
- 「本当に冷たい心地よい風」は吹いてないように思う
- 心拍センサーなどが付いたことで首後ろの部分が冷えなくなったので、そこだけ熱く感じる(断熱パーツが無償提供されました)
- アプリとの接続が不安定
首にフィットするようになった!
U字型の先端が狭くなっており、首からずり落ちるような事はなくなりました。Metauraの時は広く開いた形状になっていたため、回転して横を向いてしまったり、首から落ちてしまいそうになる事が多々ありましたので大きな改善点です。
また、サーマルパッドの位置が首後ろではなく左右になっています。頸動脈の辺りを冷やしてくれる感じです。かなり細身の身体ですが、割とサーマルパッドが当たるので大丈夫そうです。首の太い方であれば、ピッタリと密着してくれることが期待できます。
首後ろは心拍センサーが搭載されたので、そこは冷えません。むしろ熱を持つ事があります。(放熱が間に合わない場合など)
冷却材は超伝導ダイキャストアルミニウムを採用し、サーマルパッド部分も結露しにくくなりました。決して結露しないわけではありませんので、設定温度が低すぎると結露します。
断熱材による対策部品
心拍センサー周辺に冷却機構がないことによって首の後ろで熱を感じてしまう問題に対処するため、公式から断熱パーツが提供されるようになりました。
入手経路は購入方法によって異なるかもしれません。Makuakeで出資した場合は、RANVOO公式のLINEへ問い合わせるように案内があったかと思います。
既に暑い時期は過ぎてしまったので、放熱が難しくなる高温時にどの程度役に立つのかは不明です。以前よりは不快感が減ったような気はします。元々酷く発熱するほどではなかったことから、この断熱パーツで対策は可能ではないかなと感じました。
ファームウェアのアップデートもそうですが、常に改良を続けていることは好印象ですね。ちなみに後継モデル(AICE LITE)では心拍センサーがなくなり、この問題は解消しているようです。
風がしっかり当たるようになった!
RANVOO AICE 3は、従来の左右の吹き出し口に加えて、下部にも吹き出し口が搭載されるようになりました。
下方向への送風も行えるようになっています。これに関しては正直なところ実感しにくいのですが、熱がこもりにくくなったような気はします。背筋を伸ばすと僅かに風が入り込むときがありました。
上方向への風量はしっかりとしており、ネッククーラーとしての役割をしっかり果たしています。物足りなさのあったMetauraと違って、AICE 3は最大風速でなくても良いかなと思う場面もあるので、アプリでの風量調整のし甲斐があります。ここはMetauraの時にもの凄く不満があったポイントなので、改善されたのは非常に嬉しいですね。(Metauraもファームウェアアップデートで風量が向上しています)
放熱は側面部から行っているようなので、熱が当たって不快に感じることはありませんでした。放熱性能も向上しているとのことで、強い直射日光に晒される事がない限りは本体の熱を感じる場面はないかと思います。
余談ですが、髪が送風口に入って接触音がすることもなくなっています。Metauraの時は時々髪が入り込む事があり、チリチリと鳴ってしまって気になっていたんですよね。
バッテリー増量で稼働時間アップ
Metauraの5800mAhバッテリーから、1.2倍の7000mAhに容量が増えました。ガンガンに冷やしてフルパワーで動かした場合は2.5~3時間程度とあんまり稼働時間は変わりませんが、適切な温度設定であれば風力最大でも5時間行けそうな感じでした。(公称値だと周囲温度±3℃、設定風量60の場合は6.5時間とのこと。)
充電しながらでも使えるように
Metauraは充電しながら利用できないようになっていましたが、RANVOO AICE 3は充電しながら利用できるようになりました。
新機能
単純な改良だけではなく、幾つかの新機能が搭載されました。
小型のタッチディスプレイ
側面に1.9インチのタッチディスプレイが搭載され、現在の運転状態が分かりやすくなっています。上の写真は冷却モード時の状態です。バッテリー残量は右下の水色のライン、写真では残り88%です。
タッチパネルとなっているので、スワイプすると心拍数モニターなどが表示されます。首に装着したまま見られないのが残念なところですが、あって困るようなものではないですね。
温度と風量の制御については、「画面をカチッと押し込む」事で制御画面を表示することが出来ます。
温度は+-ボタンのタップで、風量はスライダーで操作するのですが、タッチ感度が悪いうえに判定も曖昧なのでスライダー操作時に温度ボタンも触れてしまう事があります。もちろん首に装着したまま操作は出来ませんので、ここは物理ボタンだったMetauraのが良かった部分かもしれません。
各種センサーによる制御
首後ろにあるセンサーで心拍数や血中酸素濃度の測定が出来るほか、周囲温度や皮膚温度を元にして効率的な運転を行います。バッテリー駆動時間の増加はこの部分が大きく貢献してそうですね。
Metauraの時は設定温度と風量でほぼ変動なく動いている感じでしたが、RANVOO AICE 3は細かに出力制御をしているような挙動をします。具体的にはファンの速度が一定ではなく、時々変化があったりするのが分かりやすい部分でしょうか。サーマルパッド部分の冷たさもしっかり持続するので、慣れて冷たさを感じなくなるのを防ぐために変化を加えているのかもしれません。
マイクとスピーカーを搭載
完全におまけ機能なんですが、Bluetoothで接続するとマイクとスピーカーが使えます。品質は……まぁその……。
通常時のスピーカーは、主に電源ON時や運転モードが変わったときに「ポン」と案内音が鳴るのに使われているぐらいなので、もうちょっと操作音を鳴らすのに使ってもらっても良いんですけどね。あと、バッテリー残量が15%を切ったときにも音が鳴ります。しかし、音が小さくて気が付かないかもしれません。
アプリの使用感をチェック
スマホからの制御は前回に引き続き、Metauraアプリを使用します。
メイン画面についてはMetaura(AICE1/AICE2)と同様で、運転モードの切り替えや温度・風量の調整が可能です。何もないところをスワイプすると冷却優先や省電力モードなどのプリセットが出てきます。AICE 3では座りっぱなし解消、ストレス解消、運動疲労解消といったサポート設定も追加されます。
静音モード | 冷暖房を維持しつつ、動作音を抑えて運転します。 |
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温湿布モード | カーブ状に温度を変動させながら42℃前後を維持します。 |
冷却優先モード | 冷却を優先、設定温度も変更して冷房モードに切り替わります。 |
バッテリー優先モード | 設定温度に基づいて自動調整を行い、できるだけ長時間運転します。 |
座りすぎの緩和 | 初期設定では1時間座りっぱなしだと通知され、暑くない場所では温湿布モードをオンにします。 |
ストレス緩和 | 安静時の心拍数や体温をモニターし、自動的に冷却モードにして快適な体温を維持します。 |
運動効果 | 運動中、周囲温度が高い場合は積極的に冷却モードになります。 |
AICE 3との接続時はスマートタブが表示されます。天気や心拍数モニターが出ていますが、週間天気予報が上手く出ないことが多く、モニタリングも機能していないことが殆どでした。上手く機能するようになるまで修正を待つしかなさそうです。ちなみに、モニタリングしたデータを活用する方法はありません。
ファームウェアのアップデートもMetauraアプリで行いますが、どうにもPixel 7との相性が悪くて全く動作しませんでした。100%まで進んでからアップデートに必ず失敗するか、0%のまま進行しないという状況です。(よく見るとアップデート内容もちぐはぐであり、アップデート後もアップデートを要求されたりすることもあったり……。)
これは他のAndroid端末を使うか、iPhoneと接続することで問題を回避できます。iPhoneだけあれば良いかというとそうでもなく、ファームウェアのアップデートを行うまでiPhoneでは一切認識されない状態でした。今のところすんなりと接続されますが、ファームウェアバージョンとアプリバージョンの組み合わせによってはいつまで経っても繋がらない事がありました。
所謂おま環なのか、手元のPixel 7とだけやけに相性が悪いのですが、とりあえずQualcommのSoCを搭載するAndroid端末を用意しておけば大丈夫そうな気はしています。
炎天下では無力、日陰で使おう……。
数々の改良点により、性能は25%向上したRANVOO AICE 3ですが、冷たい風が吹いてくるかと言われると個人的に疑問が残ります。
もちろん日陰や屋内で使うと大変涼しいのですが、そう感じるときは自然の風やただの扇風機からの風も同じであり、RANVOO AICE 3だからこそ吹いてくる風というわけではないです。一応、送風モードと冷却モードで何度か比べてみたところ、冷却モードであれば少なくとも熱風が吹いてくる状況にはなりませんでした。本当に微々たる差なので冷たいとは感じにくいのですが、そこは利点のように思います。
しかし、34℃を超える暑さと強い日差しの中では全く冷えなくなり、AICE 3だけの「特別な風」を感じられる機会はありませんでした。直射日光下では、ものの数分もすれば本体センサーは38℃を指し示し、サーマルパッドでの冷却は機能しなくなりました。この点はMetauraの時から変わらない部分です。
ジリジリと日が照っている中、少しでも涼しくしたいと思っても残念ながら役に立てないのです。とはいえ、「直射日光に晒されても過熱せずちゃんと冷却できる」なんてのは、かなり難しい要求でしょう。人間にも言える事ですが、やはり大きめの帽子を被ったり、日傘を差すなどして日光が当たらないようにする事を心掛ける必要があると思います。
雨の日など、30℃未満で湿度が非常に高い時は、ファンを強めに回していれば割となんとかなるように感じました。サウナ状態だと流石に無理ですね。梅雨の時期はちょっと厳しいと思いました。
ファンをオフにして冷却優先にするが……。
ファンを低回転にするかオフにして、ファンの回転に使う電力を、全て冷却に回すことでサーマルパッドの冷却を維持する手段もあります。暑すぎなければよく冷えてくるので効果が分かりやすいのですが、暑すぎて冷却が機能してない状況では特に変化がありませんでした。
また、世界的な酷暑のせいか、最近のアップデートでアプリからもそのような操作を薦めてくるようになりました。
どうやらこのダイアログが出たときは、温度差10℃かつ風量60%に自動設定されるようです。アプリと接続されたときだけなので、この後自由に設定を変更することは可能です。
38℃の日に使ってみた
折角の暑さなので(?)38℃という猛暑日にも利用してみました。
結果としては、どんな設定にしようと熱風しか吹いてこないという地獄のような状況で、日陰に居ても全くどうにもなりませんでした。自宅の玄関を出て1分も経たずに本体が熱くなり、常に熱風が出ています。
RANVOO AICE 3があろうとなかろうと、こんな日に出かけてはいけません。日本の夏には太刀打ちできないということがよく分かりました。
暑すぎない日に使うとして、買うならどれ?
Metauraと比較して色々と改善はされているのですが、もしMetauraが格安で売っていて屋内でラフに使うつもりならば、そちらでもありだと思います。Amazonで大幅な割引クーポンが出ているときもありますね。
2024年現在の最新モデルは「RANVOO AICE LITE」で、冷却面積も増えて性能アップしています。しかもAICE 3の反省を活かして不要な機能を減らすことで価格も安くなっているようです。
尚、MetauraはiSwiftのブランド名も書いてあるので、そちらから出品されている物であれば同じのはずです。
