XiaoXin Pad Pro 2020は、Lenovoから出ている「Lenovo Tab P11 Pro」やNECの「LAVIE T11 T1195/BAS」とほぼ同一のモデルです。
そのため、LAVIE用のキーボードや専用ペンが利用できたりします。
どのペンなら使える?
さて、その専用ペンなのですが、Lenovoのサイトを見ると「Lenovo Precision Pen 2」だけが公式に対応しているペンのようです。NEC版はこれといったスペックが出てきませんが、使えるかと思います。
結論を先に述べておくと、SurfaceペンなどのMPPプロトコルを使用したペンなら使えます。
AES対応とあるが、AESペンは使えない
「Lenovo Precision Pen 2」は、4096段階の筆圧と傾き検知機能を備え、プロトコルにWGPとAES 2.0を使用しているとの記述があります。
AES 2.0が使えればなんでも良いのかというと、どうやらそうでもないらしく、AES 2.0/1.0を使用している「Lenovo Precision Pen」は非対応と明記されています。他のAESペンも動作しません。例えばLAVIE Tab W TW710及びVersaPro タイプVTに付属していたAES 1.0ペンは無反応でした。
WGPってなんぞや
調べてみましたが、詳細は分かりませんでした。
分かったことといえば、Windows Hardware Engineering Conference 2018(WinHEC 2018)内の「Windows Input: Pen, Ink, and PTP」セクションにおいて、Bamboo Ink PlusがWGPに対応している(スライドを見る限りはそのように読み取れる)ということと、TCLのディスプレイが、WacomのWGP Lv1認証とMicrosoftのMPP 2.5認証に合格したという情報が出てくるぐらいでした。
Bamboo Ink Plusなどが使える
WGPとAES 2.0に対応している(ホントに?)ということで、ひとまず「Bamboo Ink Plus」は使えました。「第2世代のBamboo Ink」も動くらしいです。
反応も良好で、いつものようにKritaで簡易計測してみたところ、ON荷重は2~3gぐらいのようです。
具体的にはMPP(N-Trig)のペンが使える
Lenovoプレシジョンペン2はWGPとAES 2.0対応とあり、AES 2.0のペンは全く動かないのでWGPでやり取りをしているのかなと思い込んでいたら、MPP 2.0のSurfaceペンが動作しました。
SurfaceペンはAES 2.0ではなくMPP 2.0です。レビューに使っていたBamboo Ink Plusも、AESモードに切り替えたつもりでしたがENVYを引っ張り出して確認したところ、実際はMPPモードでした。傾き検知も動作しています。
逆に、Bamboo Ink PlusをAESモードにしたら一切動作しませんでした。
まさかMPP対応のペンが動くとは思わず、慌ててLenovo Tab P11 Proとプレシジョンペン2の製品仕様を確認していますが、「Lenovoプレシジョンペン2が対応のペンで、プロトコルにWGPとAES 2.0を使ってるよ。」という情報以外は見つからず首を傾げているところです。
尚、Lenovoプレシジョンペン2やNECのペンがMPP 2.0対応のWindows PCなどで動作するかは、ペンを所持していないので不明です。
Lenovoプレシジョンペン2はMPP対応の製品で動作するよと情報を頂きました!ありがとうございます。案の定AESには対応していないようです。
製品名 | 使用プロトコル | XiaoXinPadでの動作可否 |
---|---|---|
Surfaceペン(EYU-00015) | MPP 2.0 | ○ |
HP MPP アクティブペン | MPP 2.0 | ○ |
ATiCのペン(ME-MPP308) | MPP 1.5? | ○ |
Bamboo Ink Plus(MPPモード) | MPP 2.0 | ○ |
Bamboo Ink Plus(AESモード) | AES 2.0 | ✕ |
VersaPro タイプVTのペン | AES 1.0 | ✕ |
Lenovo Precision Pen(未所持) | AES 1.0/2.0 | ✕(公式に非対応と明記) |
Lenovo Precision Pen 2(未所持) | ○(公式に対応と明記) | |
Lenovo Precision Pen 3(未所持) | MPP 2.0 | 多分動く |
使い勝手としては、どのペンも後述するCLIP STUDIO PAINTでの不具合が発生するのですが、HP MPP アクティブペンは事故率低めでした。というか、Bamboo Ink Plus(標準芯)が異様にトラブってます。
ATiCのスタイラスペンだけやけに細いのは、MPP 2.0未満で筆圧検知も1024段階、傾き検知も無しという違いがあるからかなと思います。(ENVY x360 13などでも同じようなことになる)
最も購入しやすいのはSurfaceペンだと思いますが、個人的にはHP MPP アクティブペンが扱いやすかったです。
10,780円と高価なのがネックですが、Apple Pencilのような傾けても描きやすい形状のペン先なのが良いですね。接地面積も広いので安定感があります。ペン先の摩擦は小さめです。また、付属するC to CのUSBケーブルでタブレットに繋いで充電することも可能です。かっこ悪いですが。
イラスト制作には使わず、単なる筆記用途だけで良いならばAmazonで2000円ぐらいのペンを買ったらいいと思います。
他機種での対応状況は?(対応表)
手元にあるのが2020年モデルのXiaoXin Pad Proだけなので、他のモデルでもSurfaceペン等MPP対応ペンが使えるかは確認しておりません。調べた感じではXiaoXin Pad Pro 2021やYoga Tab 13でもSurfaceペンが動くらしいです。
但し、最新の12.6インチモデルは対応ペンが「Precision Pen 3」に変更されています。Lenovo公式のスペック表(PDF)によると、ペンはMPP 2.0をサポートしていると書いてあります。
Lenovo Precision Pen 3 with built-in rechargeable battery, 4096 levels of pressure sensitivity. Support Microsoft® Pen
Protocol (MPP 2.0), wireless (inductive) charging and BLE (Bluetooth® Low Energy).
また、サポートページにある説明を読む限りでは、Bluetooth接続は主にペンボタンによるリモート操作や、紛失防止アラート用だと読み取れるので、Xiaomi Pad 5のように純正ペン以外を使わせないというようなことは無いと思うのですが……。
以下対応表です。(順不同)
ラインナップが多すぎて抜けや間違いがあるかもしれません。購入時には公式情報をご確認ください。(Precision Pen 2≒デジタルペン)
製品名 | 公式対応ペン | 備考 |
---|---|---|
Lenovo Tab P11 | Lenovo Precision Pen 2 | |
Lenovo Tab P11 Pro | ||
XiaoXin Pad | ||
XiaoXin Pad Pro | ||
Lenovo Tab P11 Plus | Helio G90T搭載モデル | |
Xiaoxin Pad Plus | Snapdragon 750G搭載モデル | |
XiaoXin Pad Pro 2021 | ||
Lenovo Yoga Tab 11 | ||
Lenovo Yoga Tab 13 | https://weekly.ascii.jp/elem/000/004/066/4066020/ | |
LAVIE T11 T1175/BAS | デジタルペン | |
LAVIE T11 T1195/BAS | ||
Lenovo Tab P12 Pro | Lenovo Precision Pen 3 | |
XiaoXin Pad Pro 12.6 | ||
LAVIE Tab T12 T1295/DAS | デジタルペン2 |
Amazon | |
---|---|
2021-04-29:細かいところを追記。
2021-05-05:MPP対応のペンが動作したので追記、想定外な事態に混乱してます。
2021-05-29:文面の修正。
2021-07-29:レイヤーペイント HDを試したので追記。
2021-10-01:不具合が修正されていたようなので追記。
2021-11-05:構成を変更、若干の追記。
2021-11-20:微修正。
2022-02-25:Precision Pen 3についてや、対応表を追記。
2022-08-15:Precision Pen 2についての情報を追記。
以下は現在アップデートで修正済みの情報となります。
CLIP STUDIO PAINTで使ってみたが……(改善済み)
XiaoXin Pad ProとBamboo Ink Plusの組み合わせで、CLIP STUDIO PAINTを使ってみました。普段から使い慣れていることもありますが、描き味は最も良いです。
TABMATEもたまに反応しないなど少し鈍いですが、ちゃんと動作します。
クリスタでバッチリ使えるオッケー!で締めくくることができれば良かったのですが、なにやら挙動がおかしいです。
ペンを離しても入力状態のままになる(改善済み)
2021-10-01追記:改めてテストしてみたところ、CLIP STUDIO PAINT バージョン1.11.1とファームウェア210804の組み合わせでは、この問題は起きていないように思われます。
パームリジェクションが上手く機能せずに誤タップがあったりなどもしましたが、一番困ったのはこれです。
ペン先を離してもペンが離れた扱いにならず、タッチ操作が一切効かなくなる状態になります。それだけならまだ良いのですが、ペンを再び戻したときに、前回離した点からペンを戻した点にかけて一気に直線が描画されてしまいます。
色々と検証してみたところ、タッチパネルに指や手のひらが触れている状態での発生頻度がかなり高かったです。
また、ペンを離してすぐにタッチをするような状況でも起きやすかったので、2本指タップで戻る操作やツール変更をする操作を多用するスタイルだと事故率が上がります。
クリスタの設定を開き、タッチ操作関連を全て無効にしても変化はなかったのでソフトウェア側での対策はなさそうだと思いました。
一応、手袋をして全操作をペンだけで済ませ、できる限りペンのホバー範囲内から外れないようにすると、ある程度の回避が可能でした。TABMATEを接続して上手いこと粘るのも意外と悪くない感じでした。(それでもツラい)
Lenovo Tab P11 Proでも起こる
Lenovo P11 Pro vs Samsung Tab S7 and S7+ (artist review) | Parka Blogs
海外のレビュー記事では次のように書かれています。
On the Lenovo P11 Pro, Clip Studio Paint would occasionally freeze but thankfully it’s a not a hard crash. You can move the cursor to the menu to unfreeze the app thereby introducing a stray stroke you have to erase later.
内容としては、「クリスタが時々フリーズする事があり、カーソルをメニューに移動してフリーズを解除すると、後で消さなくてはならないストロークが発生する。」とのことです。
動画レビューの19分30秒付近では、Lenovo Tab P11 Proでクリスタを使うと不要な線が描画されるトラブルが起きていることが確認できます。
これは……純正のペンを買ってもダメそうな気がしてきたぞ……。というか何も解決しないですねこれは。
他のアプリで使ってみる
MediBang Paintやアイビスペイントなどを試してみましたが、クリスタ以外なら問題はありませんでした。安心して使えます。ペンのみのモードをサポートしているアプリもありましたし、傾き検知機能が使える場合もありました。
描き味という点ではクリスタよりも遅延が大きく感じましたので、あまり快適ではないように思います。
他に問題を挙げるならば、たまにパームリジェクションが上手く効かなくてタップが誤爆するぐらいです。まぁ、これはこの手のデバイスではよくあることですし個人差が出る部分なので、どうしても頻発する方は手袋をしましょう。
2021-07-29追記:6年ぐらい前にレイヤーペイントHDを購入していたのを思い出して試しました。遅延もかなり小さく、非常に描きやすいです。
まだ軽く触っただけですが、ペン周りの問題は見受けられず、筆圧調整も可能です。キャンバスへのタッチ操作を無視する設定もあるので、手袋などの誤タップ対策は必要なさそうです。
充電しながらはNGかも?
充電しながらペンを利用したところ、突然画面外からメニューが飛び出してきたり、急にホーム画面に戻ったりなど、おかしな挙動をしました。
静電結合方式のペンですから、充電中のノイズなどが影響してしまうのかもしれません。
T1195での状況も知りたい
現状、XiaoXin Pad Pro及びLenovo Tab P11 Proでは、CLIP STUDIO PAINTを使用時に不要なストロークが発生してしまう不具合があり、かなり工夫をしないと快適に扱うのが難しい状況となっています。
一応付け加えておくと、手元のXiaoXin Pad Proはファームウェアバージョンが「TB-J706F_S240073_201229_ROW」となっており、CTS認証も通っていないことから、グローバル版に変更された上でBanggoodから届いたものになります。(210326へ更新後も変化なし)
また、今回検証したCLIP STUDIO PAINTのバージョンは「1.10.7 202101260119」で、まだAndroid対応してからそれほど経っていません。利用している組み合わせ的に、安易に不具合報告するわけにもいきません。
そうなると、気になるのはLAVIE T11でのクリスタの動作なのですが、今のところはレビュー記事がひとつ見つかるぐらいでした。
『週刊少年サンデー』連載漫画家が薄型軽量11.5型タブレット<LAVIE T1195/BAS>+デジタルペンでイラスト制作を試す! 有機ELでHDR 10にも対応
中身はNEC仕様になっていることでしょうし、何かしらの変化があるかもしれませんが、LAVIE T11とLenovo Tab P11 Proのどちらとも値段が高いことから、誰かが人柱してくれることはあんまり期待はできなさそうです。
OS側のアップデートで改善するのか、それともクリスタ側がアップデートされるのか、しばらく様子見をしてみようと思います。→もう直ってます、大丈夫です。