Core i5搭載、富士通のタブレットSTYLISTIC Q702/Gのスタイラスペンを試す

2017年時点の古い情報です。
今から購入するのはお勧めしません。

富士通の法人向けハイブリッドタブレット、STYLISTIC Q702/Gのリファービッシュ品(IBM Refreshed PC)がかなり安く販売されていたので(弟が)購入してきました。

さて、今回はこのSTYLISTIC Q702/Gをイラスト制作用途としてはどうなのかという観点で簡単にレビューを行います。IBM Refreshed PCであることから、新品の製品とはインストールされたソフトウェア等の内容が異なる可能性があることをご了承ください。

本体の特徴

STYLISTIC Q702/Gは11.6型の液晶ディスプレイを搭載したWindowsタブレット。他のWindowsタブレットと違い、CPUにAtomではなく、Core i5-3427Uを搭載している点が最も大きな特徴と言えるでしょう。

フルサイズのSDカードスロットやHDMI出力端子、USB2.0/3.0がそれぞれ1つずつなど、拡張性は非常に高いです。キーボード・ドッキングステーションを接続すれば、USB2.0が増え、有線LAN接続やD-SUB 15ピン、45Whの追加のバッテリーが利用できます。

拡張性が高い反面、キーボードを取り付けると約1.70kgと重くなってしまうほか、本体のみでは約4.8時間という短いバッテリー寿命が欠点と言えます。また、ファンが搭載されているので、高負荷になるとファンがうるさく感じる点も(タブレットとして考えると)マイナスポイントでしょうか。

Windows 10 Pro搭載モデル

バージョン1607適用済みのWindows 10 Proが搭載されていました。メーカーサイトによると、元々のプリインストールOSはWindows 8 ProかWindows 8.1 Proのようです。パーティション構成は以下の通り。

IBM Refreshed PCだからでしょうか、メーカー独自のリカバリー領域に数GB割り当てているようなタイプではないようです。ディスク0が内蔵SSDで、ディスク1はSDカードです。

CLIP STUDIO PAINTやSteam、Shadowverse等をインストールした後のストレージ使用量です。64GBのストレージですが、OEMリカバリー領域が無いことやプリインストールアプリが皆無だったこともあって、比較的余裕があるほうだと思います。

解像度は1366*768

解像度1366*768の11.6インチディスプレイを搭載しています。タッチパネルとなっているので、指での操作が可能です。どうやらノングレアの保護フィルムが最初から貼ってあるらしく、指紋がつきにくくなっています。

スタイラスペンに対応、WacomではなくN-trig製

リファービッシュ品にはスタイラスペンが付属していました。このペンはN-trig製の電磁誘導方式ペンで、上部をひねると蓋が外れて単6形の乾電池が出てきます。2ボタン式のペンで、太さは程よい感じでしょうか。ペン先を押すと、少し引っ込むような感覚があります。

N-trig

紛失防止用にケーブルが伸びており、タブレット本体に取り付けておくことが可能です。取扱説明書によると、ペン先は交換可能とのことですが、新品でないと付属品には含まれていないことや代替品の入手方法が不明なため少々不安を感じます。N-trigとのことなので、もしかするとSurface 3以降のSurfaceペンや、VAIOのペンで代用可能かもしれません。物がなくて検証していないので、可能であれば調べておきたいところです。→MPP2.0対応の、「Bamboo Ink Plus」や「HP MPP アクティブペン」が動作することを確認しました。

ペンを繋いでおけるストラップホール

ペンの実力は?

ホバー距離は1cmあるかどうか。ホバーさせたままペンを動かすと、カーソルが遅延してついてきます。他のペンでも同様です。

カーソルを見ながら操作しようと思うと、遅延が気になってしまいます。ただし、N-trigなだけあって、ペン先のズレは感じられませんでした。ピンポイントでボタン等を押すのは苦戦することはないでしょう。

筆圧感知については何段階か明記されていないので不明です。感知能力的な問題なのか、弱い筆圧での微妙なタッチは難しく、少し筆圧が弱まったときに線が急激に細くなってしまいました。CLIP STUDIO PAINTの「筆圧検知レベルの調整」である程度は制御可能かと思われますが、線を引くときは少し強めの筆圧で描くほうが使いやすかったです。

落描きをしてみた

CLIP STUDIO PAINTを使い、何も考えず手癖でざっくりと落描きをしてみた感想としては、慣れるまでは思うような線が引けない状況に悩まされました。ペン先のズレがないこともあって、位置がズレるようなことはないのですが、ペン先が引っ込むような感覚があるおかげで安定感が感じられません。

また、カーソルの遅延が気になり、カーソルを見ながら描こうと思うとスムーズに描くことが難しいかもしれません。それについてのオススメの設定としては、カーソルを極小ドットに設定してほとんど見えないようにしてしまう手があります。ペン先のズレがほぼ無いといえるN-trigならではの対策でしょうか。私と違って筆圧が強い弟は、極小のカーソル設定にしたところ非常に満足してイラストを制作しています。厚塗り系の作風である関係もありますが、Wacomのペンタブレットからの移行でもすんなり馴染めているようです。

パームリジェクション機能は搭載していますが、ペンが離れすぎたときに手のひらが反応してキャンバスがどこかへ飛んで行くのはタブレットではよくある話です。タッチパネルの反応はまぁまぁといったところで、キャンバス操作は快適に行えました。

タブレットでありながらノートPCのスペック構成という、性能面に余裕のある設計なため、もたつくような場面はそうそうない(※2020年にもなると流石に厳しい。)でしょうが、付属のペンを使う限りは筆圧が低めの人にはあまりオススメできないかもしれません。

落描きといってもざっくりしすぎなんだよなぁ…

バッテリー持続時間は3時間

メーカー公称の約4.8時間というバッテリー時間は、JEITA 1.0での測定方法であるため、実際のところは大体3時間ぐらいが限度といったところです。AtomでもCore MでもなくてCore i5だからね、仕方ないね。どうせ持ち歩くこともないのでマッチョな仕様でもよろしいかと。

総評

2017年当時、税込29,800円で購入できたので、価格相応どころかちょっと得した気分になれました。この値段であれば、ちょっと絵を描くツールとしてAtomのタブレットを購入するよりは、とてもいい選択肢であると思います。ただし、付属のペンに癖があるので人を選びそうです。新しい規格のペンでも互換がありましたので、MPP方式の別のペンを購入したほうが描きやすさはグンと上がります。

2014年に出た製品ということで、第3世代Core i5(2コア4スレッド 1.8-2.8GHz)搭載とそろそろ古いものなります。タブレットとしてはある程度パワーがある反面バッテリーが3時間しか持たないので、外で絵を描くのにはちょっと厳しいです。もちろん、ノートPCとして考えるとノートドックをどう入手するのかといった苦しい部分があります。自宅で遊び用に購入し、リビングなどで使う想定なら十分に使える製品であると思います。

2022年現在、代用品は?

2022年も終わりを迎えようとしている今から購入するのはお勧めしません。安価に入手できるQ50xシリーズも、Atomプロセッサ搭載の物は古すぎるため、Celeron N4000などを搭載するQ509以降の中古品を探すのが無難であるかと思われます。画面が大きいほうがいいというのであれば、Q702と同じQ70xシリーズという手もありますが、あちらはアクティブペンとなるためペンに電池が必要です。(Q50xシリーズは電磁誘導方式なので電池不要)

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富士通 タブレット STYLISTIC Q702/G 製品詳細 -FMWORLD(法人):富士通

2020-07-24:久しぶりに電源を入れる機会があったので、Bamboo Ink Plusなどでの動作を確認したので追記。
2022-12-08:もう手元にありません。同じ富士通関連で代用となるデバイスの紹介を追記しました。

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